「抗生物質」が風邪にNGなワケは?専門家が語る付き合い方

5歳の娘がいる、パパライターの峯です。皆さんは、抗生物質について正しい知識をお持ちでしょうか?抗生物質は正しく使用しないと、病気が治らないどころか、皮疹や下痢といった副作用が起きたり、薬剤耐性菌が増えるきっかけになります。今回は、抗生物質と、それを正しく使用するために必要な医師とのコミュニケーションのコツを教えてくれるWebサイト「子どもと医療」を参考にご紹介します。

抗生物質(抗菌薬)は風邪に効かない

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院の藤友結実子先生(Webサイト「子どもと医療」)によると、抗生物質(=抗菌薬)について、誤った認識をしている人が多いとのことです。

抗生物質は「細菌」による感染症を治療する薬

ほとんどの風邪は「ウイルス」が原因の感染症のため、抗生物質は風邪には効きません。

また、抗生物質を不要なのに飲んだりすると、細菌が、抗生物質が効かないように変化する(薬剤耐性)きっかけになります。薬剤耐性菌が増えると、これまで効いたはずの抗生物質が効かなくなり、様々な病気の治療や予防が難しくなります。

新型コロナウイルスが感染拡大して、ウイルスに関心を持った人も多いと思います。筆者は、細菌とウイルスの違いを正確に理解するとともに、抗生物質をむやみに求めず、必要なとき以外は飲まないように注意したいです。小学生にも知ってほしいことですね。

医師や薬剤師に質問したことある?

藤友結実子先生らは「抗菌薬・抗生物質についてわからないことがあるとき、医師や薬剤師に質問していますか?」というアンケート調査を以前されたそう。

その回答者の約4割が「質問をしない」と回答。結構多いですよね。それだけ、医師に質問するというのが難しいのだと思います。こちらに余裕がなかったり、医師が忙しそうに見ていると、気が引けちゃいますよね。

藤友先生は、「分からないことがあれば、医師に質問をしてほしいです。そこから会話が始まり、患者さんの状態を詳しく把握でき、より効果的な治療が実現できます」と語っています。

医師に質問してみて

質問するためには、聞きたいことや心配していることを、診察前にスマホでもいいので、メモしおくのがよいとのこと。

処方された薬について医師に質問するのは、素人が口を出すようで抵抗があるかもしれません。しかし、質問しないと、モヤモヤするだけで何も解決されず、双方にとってマイナスになってしまいます。ぜひ、勇気を持って一歩踏み込んだコミュニケーションをしてみてください。

子どもの病気の記録にLINEスタンプを

前回の「小児ぜんそく」の記事に引き続き、Webサイト「子どもと医療」を立ち上げた、医療のかかり方の専門家である阿真京子さんにもお話を伺ってみました。

―医療機関に行く前にしておことは?

阿真さん「子どもの具合が悪くなったら、メモや動画をスマホで記録することが大切です。診察前に振り返り、ご自身の頭の中を整理してみるとより良い診察に繋がります。

医師の診察の判断材料は、患者が持っていますので、子どもの状態の経過と気になることを診察時にちゃんと伝えましょう。

また、子どもの状態を手軽に伝えられ、家族と共有できるLINEスタンプの活用がおすすめです。「子どもと医療」プロジェクトでは、熱、咳、下痢、嘔吐、発疹などの症状が出て来た時から使い始めると、小児科を受診する際に役立ちスタンプを制作しています。是非、活用してみてください。

 

LINEスタンプで子どもの体調を記録するアイデアはなかなか思いつきませんよね。日々忙しい親御さんもこれなら、すぐに始められそうですね。

筆者には5歳の娘がいます。仕事も医療に関わることをしているため、みなさんが参考になりそうな子どもの医療のことについてどんどん発信していきたいと思います。

記事監修

「子どもと医療」プロジェクト 代表
阿真 京子さん

「子どもと医療」プロジェクト 代表。2007年4月、保護者に向けた小児医療の知識の普及によって、小児医療の現状をより良くしたいと『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会を発足させ、2012年7月に一般社団法人知ろう小児医療守ろう子ども達の会となる。同会による講座は160回を数え、6000人以上の乳幼児の保護者へ知識の普及を行う。2018年からは企業でのセミナー、産婦人科の母親学級を実施(2020年4月末日同会解散)。東京立正短期大学 専攻科 幼児教育専攻(『医療と子育て』)非常勤講師。三児の母。
厚生労働省 上手な医療のかかり方を広めるための懇談会 構成員、厚生労働省 救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会 委員、総務省消防庁 救急業務のあり方に関する検討会 委員、東京消防庁 救急業務懇話会 委員、東京都 小児医療協議会 委員、内閣官房 薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議 委員、その他、多くの委員を歴任。

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取材・文/峯 あきら

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