心身ともに疲れて子どもたちに当たり散らしては自己嫌悪の日々。どうすれば…【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

親子3人でカゼで寝込んで以来、ペースがもどらずイライラ。子どもに怒鳴っては、自己嫌悪に陥っています

長女は、あまり手がかからない子で4歳ぐらいまで怒ることもなく、穏やかにかかわってきました。そのせいか、私の話をよく聞いてくれる、素直な子に育ってくれました。子どもにゲームや動画などを見せるのは嫌だったので、絵本をよく読んであげたり、手先を使う遊びをよくさせたりもしていました。私なりに、頑張って育ててきたと思います。

しかし小学校に入学してから、短期間で長女、次女、私が風邪をひき続け、私が看病ノイローゼ気味になってしまいました。小児科で「お姉ちゃんは、軽い喘息かも知れない」と言われて、それも心配で…。次女は、風邪で幼稚園を休むことが増えたので、それも私にとってはストレスになったと思います。

これまでの私とは違い、怒鳴ることが増えて「私の子育ては間違っていたのではないか!?」と思うようになりました。

今まで家事は午前中にこなしていたのですが、風邪気味で家事もはかどらず「今日も何もできなかった…」と自信を失ってしまうこともあります。「もう、ママは疲れた」と言って、子どもの前で泣いたり、落ち込んだりすることもあります。

そういう私の姿を見ると、子どもたちは私に気を遣うため申し訳なく思います。長女は、私の顔色をうかがうようなときもあります。心身ともに疲れきってしまった自分をどうしたらいいのか、わからなくて…。(小1&年中の女の子のママ)

今のあなたに必要なのは休息。勇気をもって、理想的なお母さん像を目指すのはやめましょう

疲れたら休む、これ人間の原則です。

お母さんは、これまで完璧に子育てをしてきたと思います。立派なことです! 今まで、よくやってきましたね。でもここらで力を抜かないと、これ以上、全力疾走は難しいと思います。

理想的な母親像を目指すから苦しくなるのです。子どもは立派で、完璧なお母さんが好きなのではなく、どんなお母さんでも大好きです。子どもたちが気を遣ったり、顔色を見たりするのは、お母さんのことが大好きだから。お母さんの嫌がることは避けたいと思う、健気な子ども心です。それだけお母さんは、子どもたちに愛されているという証ですよ。だから、一息抜いてわがままいってもだいじょうぶです。

まずは自分を優先に! お母さんが手抜きをすると、子ども達も気持ちがラクになりますよ

まずお母さんにしてほしいのは、体調を回復させることです。具合が悪いのですから家事なんて、二の次、三の次で構いません。ゆっくり休んでください。そしてお母さんの負担を減らしてください。といっても、真面目な人ほどどうやって負担を減らすのかわからないですよね。

とりあえずお母さんが負担に思うことは、いい加減にしていいです。料理が負担ならば、お惣菜を買ってきていいです。掃除が負担ならば、回数を減らしていいです。そして自分の時間を作りましょう。ドラマを見たり、本を読んだりなど何でもいいです。お母さんが何かに夢中になっているとき、子どもから声をかけられたら「後でね」「今、忙しいから」と断って構いません。

お母さんが真面目で一生懸命だと、子どもたちも一生懸命にならざるを得ません。でもお母さんが手抜きをすると、子どもたちも気持ちがラクになります。親子ともに居心地がいいと思える家庭が一番ですよ。今までの子育ても、きっと子どもたちの糧になっていることでしょう。でも、これからは、素のままで子どもと向き合っていったらいかがですか? お互いの笑顔が元気の素です。

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記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。


イラスト/海谷泰水

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