ラベンダーを剪定しないとどうなる? 剪定の目的や時期、方法や注意点を解説

ラベンダーを育てているときに、必要となる手入れが剪定です。しかし、「どうやって剪定するの?」「なぜ剪定する必要があるの?」と疑問をおもちの方もいることでしょう。そこでこの記事では、ラベンダーの剪定方法をご紹介。また、ラベンダーを剪定する理由や目的、剪定時期などについても解説します。

ラベンダーには剪定が必須

ラベンダーを美しく育てるために、剪定は必須です。なぜ剪定が必要なのか、その目的と剪定方法を説明していきます。

ラベンダーの種類

「ラベンダー」と一口にいっても、種類がたくさんあります。まずはどんな種類があるのか、見ていきましょう。

ラベンダーとは

ラベンダーは、地中海沿岸が原産のシソ科ラベンダー属のハーブです。まっすぐ伸びた茎に、紫の花穂をつけ、風で揺れると心地よいフローラルな香りを放ちます。そのよい香りは、花、葉、茎に生えている短い毛の隙間から出る精油によるものです。精油はアルマオイルなどに活用されています。また、花は摘み取った後も香りが続くので、ポプリにしたり、ドライフラワーなどで楽しむことも可能です。

ラベンダーの種類は20種類以上あるといわれており、それぞれ系統が分けられています。おもな系統には5つあります。

株全体が白い産毛に覆われた「アングスティフォリア系」

イングリッシュラベンダー、トゥルーラベンダーなど

大株な「ラバンディン系」

グロッソ、スーパーセビリアンブルーなど

うさぎの耳のような苞葉がある「ストエカス系」

キューレッド、アボンビュー、エンジェルなど

葉に切れ込みがあり、レース状の「プテロストエカス系」

ビナータ、ブライダルレースなど

葉の縁がくし状の「デンタータ系」

デンタータラベンダー、リンダ・リゴン、スーパーサファイアブルーなど

代表的な品種

ラベンダーの代表的な品種には、「イングリッシュラベンダー」「フレンチラベンダー」「ラバンディンラベンダー」があります。それぞれの特徴をご紹介します。

イングリッシュラベンダー

イングリッシュラベンダーは、細い葉と小さな粒が集まったような花をつけるのが特徴で、「アングスティフォリア系」のラベンダーです。ラベンダーのなかでも香りが強く、香料の原料としてよく使われます。冬の寒さに強く、夏の暑さ、湿気に弱い性質です。また、挿し芽で増やすこともできます。

フレンチラベンダー

フレンチラベンダーは「ストエカス系」で、花穂にうさぎの耳のような苞葉(ほうよう)がついているのがポイント。紫、青、白、ピンクなど豊富な花色、香りは弱いものの甘い香り、かわいい見た目で人気があります。また、花が散ったあとも苞葉が残り、長期間鑑賞できるのも特徴です。暑さに強く、寒さに弱い性質なので、寒冷地などでは寒さ対策が必要です。

グロッソ

グロッソは「ラバンディン系」で、特徴は大きな花穂と太めの茎。生長すると株が大きくなり、見応えがあります。寒さに強く、ほかの系統にくらべて暑さにも強いので、初心者でも比較的育てやすいでしょう。香りが強く、花だけでなく葉からもよい香りがするので、ポプリなどにするのにぴったりです。

ラベンダーの剪定の種類と目的

ラベンダーの剪定には「弱剪定」と「強剪定」の2種類あります。それぞれ何のために剪定をするのか、剪定の目的を解説していきましょう。

弱剪定

弱剪定とは、芽を残して枝先を切る剪定のことをいいます。ラベンダーでは、花茎を間引くように切り戻す剪定のことです。弱剪定をすることで、混み合いがちな株の通気性をよくします。

強剪定

強剪定とは、太い枝を短く切り詰めたり、枝や芽をたくさん切り落とす剪定です。ラベンダーでは、強く枝茎を切り戻して株を更新することを意味します。強剪定は、木の生育を促すための剪定です。

ほったらかしにして剪定しないとどうなる?

ラベンダーを剪定せずに放置すると、枝が伸びて密度が高まり、風通しが悪くなってしまいます。風通しが悪くなると、株が弱ったり、花がつかなくなったり、病害虫の被害にあいやすくなったりといったリスクがあります。最悪の場合には枯れてしまうこともあるので、剪定を必ず行いましょう。

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ラベンダーの剪定時期はいつ?方法は?

それでは具体的に、ラベンダーの剪定時期、方法をご紹介します。

剪定はいつ?どうやるの?

弱剪定時期

ラベンダーの弱剪定には2種類あります。

1つは、収穫のための剪定です。収穫のための剪定は、花の色が出てきてすぐ、もしくは開花し始めに剪定します。具体的には5月ごろ行うとよいでしょう。

もう1つは花が終わってからの剪定です。風通しをよくするために行う剪定で、花の色が茶色く褪せたら剪定します。具体的には梅雨入り前までに行います。

弱剪定方法・手順

収穫のための剪定手順

新芽を確認し、その少し上の部分をハサミで切ります。収穫した花は、ドライフラワーなどで楽しむとよいでしょう。

花が終わってからの剪定手順

【1】地面についている枝を株元に近いところからハサミで切ります。
【2】込み入った枝を減らすために、古い枝や株の中で絡み合って伸びる枝、細い枝を株元に近いところから剪定します。これを「透かし剪定」といいます。

強剪定時期

ラベンダーの強剪定は、「休眠期」と呼ばれる生育が緩やかな時期に行います。なお、強剪定の時期はラベンダーの種類によって異なるので注意してください。

イングリッシュラベンダー

2〜3月上旬

フレンチラベンダー

10〜11月

ラバンディンラベンダー

2〜3月下旬

なお、植え付けてから1年目は強剪定をする必要はありません。2年目以降、毎年行います。

強剪定方法・手順

【1】地面に近い部分の傷んでいる枝や、土に着いている枝などを切ります。
【2】枝を減らすため、古い枝、太い枝を根元近くの新芽の上で剪定します。
【3】小さい芽の上のほうまで切って、全体を整えましょう。

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ラベンダーの剪定のコツや注意点

ラベンダーの剪定を上手にする方法や、NG行為、注意点などを解説していきます。

新芽を切らない

剪定のときに気をつけたいのは新芽を切ってしまうことです。新芽を切ってしまうと、次の新芽が出ず株が枯れてしまうことがあります。剪定するときには必ず新芽の上の部分を切るようにしましょう。

開花し終わった花を放置しない

ラベンダーの花は開花後そのままにしておくとエチレンガスを発生させます。このガスが熟成したラベンダーの花に作用すると、株全体が枯れたり、悪影響を及ぼしたりする場合があります。花を放置せず、弱剪定を行ってリフレッシュしましょう。

剪定しすぎはNG

ラベンダーは剪定することが大事ですが、剪定しすぎるのはNGです。とくに透かし剪定をする場合、剪定しすぎると株が弱くなり、枯れてしまうことがあります。透かし剪定をする場合は、向こう側が透けて見える程度にとどめておいてください。

強剪定で木質化を防ぐ

何年も強剪定を行わないとラベンダーが木質化することがあります。木質化とは、茎が茶色くなり、木のように堅くなることです。木質化すると花や葉の数が減っていくため、強剪定で枝茎を強く切り戻して、株を更新するようにします。

強剪定後の水やり

強剪定後、水やりするときには茎が濡れないように水やりを行いましょう。茎が濡れてしまうと、早く枯れる原因となってしまいます。水やりをする場合には土に水をやるようにしてください。

剪定して美しいラベンダーを育てよう

ラベンダーを剪定する目的には、美しい樹形を保つことはもちろん、健康に育てるためでもあります。「剪定は難しそう…」というイメージがあるかもしれませんが、剪定しすぎない、新芽を切らないことを守れば、さほど神経質になる必要はありません。楽しみながら剪定を行いましょう!

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文・構成/HugKum編集部

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