「学校は楽しいだけでいい!」に目からウロコ!映画『夢みる学校』から思うこと

「楽しくなければ、学校じゃない!」を実践している私立の学校法人「きのくに子どもの村学園」をはじめ、自由な学校に密着したドキュメンタリー。テストもなく、先生もいない学校で、生き生きと体験型学習を楽しむ子どもたちがとても輝いています!

楽しいことを探求していく素晴らしさ!『夢みる学校』の教育とは?

©まほろばスタジオ

ユニークな教育方針を掲げる学校をフィーチャーしたドキュメンタリー『夢みる学校』が、2月4日(金)より公開されました。テストがない、先生がいないという、いろんな意味で目からウロコの学校が登場しますが、ぜひ多くのファミリーに観てほしいなと思いました。

史上最年少の14歳2カ月でプロ将棋棋士となった藤井聡太の活躍で、自己教育力、すなわち「子どもには自分を育てる力が備わっている」という能力を伸ばす“モンテッソーリ教育”も話題となったのは記憶に新しいところです。また、2020年度から教育指導要領が「アクティブラーニング(自主的探求学習)」にシフトしたことで、教育の現場も少しずつ様変わりしてきました。

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本作では、自己決定・個性化・探求学習という3つの原則を掲げる私立の学校法人「きのくに子どもの村学園」をメインに、個性的な教育方針をとる学校をフィーチャーしていますが、子どもだけではなく、大人が観てもワクワクするような学校生活が映し出されていました。

尾木ママや茂木健一郎も感心しきりの教育方針

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まずは序盤で、俳優・吉岡秀隆のナレーションにより、小学生たちが遊具や屋根、テラスなどを楽しげに作っている姿が紹介されます。しかもそれらは、彼ら自身が設計したものだと聞いて驚嘆しました!これを皮切りに驚きの連続となります。

ノコギリを持ち、2人がかりで木を切っている子どもたち。その不慣れな手つきを見て、一瞬ひやりとしますが、子どもたちは自分で考えて木を固定し、楽しそうに切っていきます。なによりも、子どもたちの表情が終始、生き生きとしていたのが印象的。

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授業のほとんどが「プロジェクト」という名称の「体験」で、子どもたちは自分がやりたいプロジェクトを選びます。学校には先生がおらず、いるのはアドバイザーのみ。子どもと大人が同じ目線で、意見を出し合いますが、時には大人の意見が不採用になることもあるようです。

外へ出て体験学習に出かける時もありますが、施設や店舗にアポイントを取るのも子どもたちの役割です。ちなみに修学旅行の宿や観光スポットも、予算を考慮しつつ、自分たちで計画します。まったく怖がることなく、きびきびとやりとりをしていく子どもたちが本当に頼もしい!

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「きのくに子どもの村学園」創設者の堀真一郎学園長が「自由に責任が伴うというのは、この学校ではタブーなんです」と言ってましたが、子どもたちは本当に普段から大胆に行動していて、感心させられます。

職員も「学校は楽しいだけでいい」というスタンスのもとで働いています。職員室では、先生のひざに子どもが座って談笑していますが、この学校はたくさんの愛にあふれていることが感じられます。

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宿題やテストもない学校ですが、尾木ママこと教育評論家の尾木直樹は「日本の場合は他者との比較で通知表がつきますが、すぐにでも廃止しないといけないと思う。自分の個性が重視されていくべき」と警鐘を鳴らしています。また、脳科学者の茂木健一郎も「一番素晴らしい学習法。子どもは、夢中になれるものがあれば、この世界にいていいんだと実感できます」と激賞していました。

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実際に2人の子どもをこの学校に通わせている作家の高橋源一郎も「一番感動したのが、入学会(入学式)の時に、子どもたちが(整列して)並んでなかったこと。自由を尊重するのは難しいし、現実は理想通りにいかないけど、それがいいこと」と言っていました。

自由な校風が新鮮な公立の学校も存在していた!

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本作では、「きのくに子どもの村学園」以外に、自由な校風の公立学校も登場します。例えば、成績通知表や時間割りがなく「体験型総合学習」を続けている公立小学校、伊那小学校もその1つ。この学校に務めて3年目となる教員が「自分自身が考えていたものとまったく違う教育観に触れられました。子どもと共にあるとは、どういうことなのかに気づきました」と、うれしそうにやりがいを口にしています。

校則や定期テストをやめたという世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦前校長は「浴衣の日を作りました」と意気揚々と語りますが、実際に浴衣姿の生徒たちが笑顔で登校していました。

ちなみに、ハロウィンでは先生も生徒もみんなで仮装をするとか。「自由にしたことで、結果的に学力があがり、世田谷でもトップクラスになりました」という西郷校長の言葉がすべてを物語っていますが、これぞ結果オーライな感じです。

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後半で、きのくに子どもの村学園の堀真一郎学園長の若き日の出会いはもちろん、学園の卒業生のその後などが紹介されていきますが、この自由な精神が脈々と受け継がれ、とても良い循環を生んでいることも知りました。

卒業生が「ここにいるとどんな私も受け入れてくれるような気がしてうれしかったです。それを子どもたちに還元していきいたい」と自身の夢や未来像を語る表情がまぶしかったです。また、コロナ禍の教育においても、なにを重視するべきなのか、そのヒントも劇中にありました。

最後の「もっと子どもたちを信じませんか?」という語りかけにも大いに心を揺さぶられるのではないかと。いろんな意味で、ぜひ家族で観ていただきたい、珠玉のドキュメンタリーとなっています。

『夢みる学校』は2月4日(金)より公開中
監督:オオタヴィン
出演:堀真一郎、茂木健一郎、尾木直樹、高橋源一郎、辻信一、西郷孝彦…ほか ナレーション:吉岡秀隆
公式HP:dreaming-school.com

文/山崎伸子

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