発熱時は5つのことに注意
TMGあさか医療センターの小児科医師である小林真澄先生(Webサイト「子どもと医療」)のお話を元にご紹介します。
緊急事態の判断基準
親は、発熱してもそれが緊急なのかは、なかなか判断がつかないもの。発熱に加えて、次の5つの症状いずれか1つでも当てはまったら、緊急だとのことです。
①意識がおかしい
②けいれん
③何度も繰り返し吐く
④ぐったりして顔色が悪い
⑤生後3か月未満(新生児期は特に)
このように判断基準を示してくれると、いざというときに冷静に対処しやすくなりますよね。ぜひ5つのことを抑えてください。
熱の高い、低いは、病気の重い、軽いとは一致しない
他にも、回復の目安や熱の高い、低いが病気の重い、軽いと一致しないといった有益な情報も教えてくれています。
小林先生「高い熱が出たからといって、子どもの頭がどうにかなったり後遺症が残ったりすることはありません。熱の高い、低いは、病気の重い、軽いとは一致しません。上記の五つがあるかどうかが肝心です」(参考:子どもと医療)
筆者は、恥ずかしながら人間の体温は朝が一番低いということを知りませんでした。詳しくは下記の記事をチェックしてみてください。
どんなときに救急外来を受診すべき?
上記のWebサイトには、受診すべき6つの症状と対処法もわかりやすく書かれていました。
中でも、私が目から鱗だった点は…。
YouTubeで調べてみるのも手
呼吸困難やゼーゼーいう喘鳴(ぜんめい)の症状「クループ(咽頭気管支炎)」の音は、オットセイとか犬の遠吠えに似ているそう。しかし、そういわれても、よくわからないですよね。
小林先生はYouTubeで調べると良いと語っています。
小林先生「病気のことを何でも検索、はおススメしませんが、こういう使い方はよいかと思います。世界のクループがたくさん出てきます」(参考:子どもと医療)
私も、子どもを病院に連れて行ったときに、小児科医から咳の音を聞かれても、言葉でうまく表現できず、録音しておけばよかったと後悔したことが。言葉で表現するのが難しかったりイメージがつきにくいものは、動画で確認することは有効ですね。
救急外来のデメリット
小林先生は、患者にとっての救急外来のデメリットも教えてくれています。私はこれを読んでハッとさせられました。
これまで、本当に緊急な患者の迷惑にならないように気を付けていましたが、全く違う視点からのアドバイスで考えていませんでした。
特に救急外来では「検査が完璧にできない」というのは認識をしていませんでした。救急外来は「緊急」の人のためのもの。デメリットも知ったうえで、救急外来を使うことが大切なのですね。
小林先生「救急外来は、様子がいつもと明らかに異なるときに迷わず行く必要があります。
けれど、そうでないときには、患者にとってデメリットもあります。救急医の赤星昴己先生の資料を幼児用に改変した5つのデメリットをお伝えします。①検査が完璧にはできない
②お薬は数日分しか処方できない(多くは1日分)
③翌日昼間の時間帯に改めて受診が必要
④緊急疾患でなければわからないこともある
⑤疲弊した医師が対応することがある (参考:子どもと医療)
医療機関に行く見極めかた
前回の「抗生物質」の記事に引き続き、Webサイト「子どもと医療」を立ち上げた、医療のかかり方の専門家である阿真京子さんにもお話を伺ってみました。
―どんなときに医療機関に行った方がよいでしょうか?
阿真さん「まずは子どものいつもを知ることが大事です。いつもと違うと感じたときに、食べる・寝る・遊ぶ・出すがいつも通りにできているかを見極めます。これがとても重要です。
できていないとき、医療機関に行く必要性を考えます。日本小児科学会のWebサイト「こどもの救急」や#8000(小児救急電話)、全国版救急アプリ(愛称「Q助」)を参考に判断してみてください。
医療機関には行って終わりではなく、行く必要があったかどうか感覚をつかんでください。医師から「このくらいだったら来なくてよかったですね」と言われたら、「どんな様子のときに来るべきでしたか?」と質問してみましょう。
子どものいつもを知っているのは、医師ではなく、親ですよね。医療者でないので、自分ができることは少ないと思いがちですが、いつもと違うことに気づき、どう違うかを伝達する、大切な役割があることを教えられました。これまで以上に子どものいつもを観察し、把握していきたいと思いました。
筆者には5歳の娘がいます。仕事も医療に関わることをしているため、みなさんが参考になりそうな子どもの医療のことについてどんどん発信していきたいと思います。
記事監修
阿真 京子さん
「子どもと医療」プロジェクト 代表。2007年4月、保護者に向けた小児医療の知識の普及によって、小児医療の現状をより良くしたいと『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会を発足させ、2012年7月に一般社団法人知ろう小児医療守ろう子ども達の会となる。同会による講座は160回を数え、6000人以上の乳幼児の保護者へ知識の普及を行う。2018年からは企業でのセミナー、産婦人科の母親学級を実施(2020年4月末日同会解散)。東京立正短期大学 専攻科 幼児教育専攻(『医療と子育て』)非常勤講師。三児の母。
厚生労働省 上手な医療のかかり方を広めるための懇談会 構成員、厚生労働省 救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会 委員、総務省消防庁 救急業務のあり方に関する検討会 委員、東京消防庁 救急業務懇話会 委員、東京都 小児医療協議会 委員、内閣官房 薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議 委員、その他、多くの委員を歴任。
「子どもと医療」に関する、過去記事はこちら▼
取材・文/峯 あきら