「朝令暮改」は良い意味? 悪い意味? 読み方・例文・類語も紹介

「朝令暮改」は「ちょうれいぼかい」と読み、方針や命令がころころ変わって、定まらないことという意味。「朝令暮改」を使った例文や類語を紹介していきます!

「朝令暮改」の意味や読み方とは?

一見難しい「朝令暮改」という言葉。しかし、一つひとつの漢字を分解し、文章に直してみると意味は簡単です。まずは、読み方、意味などの基本的なことを見ていきましょう。

読み方と意味

「朝令暮改」の読み方は「ちょうれいぼかい」です。漢字を文章にすると「朝に言った令を、暮れに改める」、つまり、方針や命令がころころ変わって、定まらないことを意味します。簡単に意見が変わることで、周囲の人が振り回されるため、批判的なニュアンスを含んで使われることが多い言葉です。

もともと「令」は、法律のことをさしていました。しかし現在では、上司の命令などのビジネスシーンから、親の意見などの日常生活まで、さまざまな場面で使われるようになっています。

由来

続いて、「朝令暮改」の語源を紹介しましょう。「朝令暮改」の記述があるのは、中国の歴史書『漢書』です。時代は、紀元前180年の頃。当時、文帝(ぶんてい)という皇帝が前漢をおさめていました。しかし文帝の定める法律は、頻繁に変わるため、民は振り回され、苦しんでいたのです。そこで、文帝の臣下である晁錯(ちょうそ)が、文帝に苦言を呈することに。

「水害や干ばつにも遭い、多くの租税を課せられ、農民はとても苦しんでいます。そのうえ、朝に出された法律が夜には変わってしまいます」といったことを文書で訴えました。このなかに記載されていた「朝令而暮改」という言葉が語源です。

「朝令暮改」って良い意味? 悪い意味?

もともと「朝令暮改」は、意見や指示がすぐに変わって振り回される、あてにならないという、ネガティブな意味合いを含む言葉です。方針や指示が「朝令暮改」だと、「昨日はこう言っていたから、その通りに動いたのに…」と、周囲の人が戸惑ったり、モチベーションが下がる原因にもなったりします。このため、基本的には「朝令暮改」は悪い意味でとらえられていました。

しかし現在では、「朝令暮改」は良いことだとする風潮も高まっています。昔と違って、現在は急速に技術が発達したり、新たなサービスがどんどん生まれたりと、変化がめまぐるしいですよね。時代に合わせて、柔軟かつスピーディーな対応を行わなければ、時代の波に取り残されてしまうことも。こうした側面から、「朝令暮改」は良いことだという意見も多く出てきています。

使い方を例文でチェック!

意見がころころと変わることを意味する「朝令暮改」。現在はビジネスシーンや、日常生活でも使われることが多い言葉です。言葉に含まれるニュアンスを想像しながら、例文を確認してみてください。

1:「会社の方針は朝令暮改で、社員は疲れ果てている」

会社の社長が「朝令暮改」な指示を出す人である場合、その影響は社員全員におよびます。方針に従い、業務を行ったとしても、それがすぐに変わってしまったら、すべてが水の泡。「朝令暮改」は、社員を必要以上に疲れさせてしまうほか、不信感を募らせてしまう原因になりかねないので、注意が必要ですね。

2:「あの部署の部長は朝令暮改な人だから、部下から敬遠されている」

この例文では、部下への指示をすぐに変えてしまう部長のことを「朝令暮改な人」という言葉であらわしています。「朝令暮改な人」は、周囲の人から迷惑がられたり、疎まれていたりすることも。ただし、前述したように、臨機応変な対応が求められるビジネスの場面では、「朝令暮改」は仕方ない、むしろ必要だという意見もあります。その場合は、「部長は朝令暮改な人で、変化の波を逃さない」などと、ポジティブな意味合いを含めると良いでしょう。

3:「野球部の顧問の指示は朝令暮改らしく、息子はいつも大変そうだ」

「朝令暮改」はビジネスシーン以外でも使える言葉です。この一文からは、意見をすぐに変える顧問に悩まされ、戸惑っている子どものようすが伺えますね。

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類語や言い換え表現とは?

ここでは、「朝令暮改」の類義語を見ていきましょう。指示や物事の状態が何度も変わるという意味の「朝改暮変」「二転三転」がそれにあたります。そのほか、「朝令暮改」を肯定的にとらえる場合は、「臨機応変」も類語になるでしょう。

1:朝改暮変

「朝令暮改」とまったく同じ意味を持つのが「朝改暮変(ちょうかいぼへん)」です。朝に改め、暮れにまた変えるという意味で、「意見や指示がすぐに変わること」をさします。そのほかにも、「朝変暮改(ちょうへんぼかい)」「朝変暮化(ちょうへんぼか)」「朝出暮改(ちょうしゅつぼかい)」といった言葉もあるので、あわせて覚えておきましょう。

2:二転三転

「二転三転」とは、「にてんさんてん」と読み、「物事の内容や状態が、何度も変わること」という意味。こちらも、「朝令暮改」と同じ意味ですので、同義語として使えるでしょう。「話が二転三転して、すいません」といった表現で使えます。

3:臨機応変

「臨機応変」の読み方は、「りんきおうへん」です。意味は、「状況やその場に応じて、適切な手段をとること」。「朝令暮改」は意見や指示が頻繁に変わることを意味します。見方によっては、「臨機応変」も「朝令暮改」の言い換え表現として使えるでしょう。

英語表現とは?

「朝令暮改」を英語で伝えたい時には、「一貫性がない」「急に変わることが多い」という意味の英語を使いましょう。また、「朝令暮改」にあたる英語のことわざもありますので、あわせて紹介します。

1: too inconsistent

「inconsistent」は、「一貫性がない」という意味の英語です。「〜すぎる」という意味の「too」と合わせて、「一貫性がなさすぎる」という表現になります。なお、「inconsistent」を用いて、「inconsistent behavior」「inconsistent policy」にしても、「朝令暮改」の意味が伝わるでしょう。

例文:His boss is too inconsistent.(彼の上司は一貫性がなさすぎる=朝令暮改だ)

2:too many sudden shifts

「sudden」は「急な」、「shift」は「変更」という意味。「too many sudden shifts」で、「急な変更が多すぎる」という意味になります。

例文:There are too many sudden shifts in the policies of this company.(この会社は急な方針変更が多い=朝令暮改だ)

3:The law is not the same at morning and at night.

直訳すると、「朝と夜では、法律は一緒ではない」という意味。つまり、法律が「朝令暮改」であることをあらわしたことわざです。どの文化圏でも同じことが起こるのですね。

最後に

指示や方針がころころと変わることをさす「朝令暮改」。変化の激しい今は、「朝令暮改」が必要な場面もありますが、まだ「朝令暮改」を批判的にとらえる人も多くいます。まずは、言葉の持つ意味をしっかりと理解して、状況に応じて、「朝令暮改」を使えるようになりましょう。

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構成・文/阿部雅美(京都メディアライン)

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