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子どもの気質には5つのタイプがある
「気質とは、持って生まれた個性のようなもので、成長しても本質的に大きく変わることはないもの。個性と受け止めて、育児に取り入れてほしいですね」と話す竹内先生。
竹内先生によると、気質はおもに5つのタイプに分けられるといいます。気質によしあしはありませんが、ときに気質が育てにくさとして現れ、困りごとや心配のタネとなるのです。
気質は大きく以下の5つに分類できます。お子さんがどのタイプに属するか、また、「気質タイプ別子育て」について詳しくは、この記事の最後をご覧ください。
1. エンジェルタイプ……愛嬌たっぷりで人気者だけど、のんびり屋
2. テキストタイプ……知的で優等生だけど、ませていて理屈っぽい
3. アクティブタイプ……好奇心旺盛で行動派だけど、落ち着きがない
4. デリケートタイプ……感受性豊かでやさしいけれど、引っ込み思案
5. ネガティブタイプ……粘り強く努力家だけど、こだわりが強い
竹内エリカ先生がお答えします。「エンジェルタイプ」のお子さんのお悩み
エンジェルタイプ チェックリスト
あてはまる項目が多いほどエンジェルタイプの気質あり!
□ 赤ちゃんのときは、1日中でも寝ていることがある
□ いつも笑顔で愛嬌があり、人見知りをしない
□ のんびり屋で、ぼーっとしていることが多い
□ 返事だけは「はーい」と元気がいいが、言われたことをすぐに忘れる
□ いろいろと目移りし、一つのことに集中できない
□ 運動が苦手で、左右を間違えることがある
エンジェルタイプの特徴
まさに天使のようなエンジェルタイプは、おっとりと気分が安定していて、誰にでも好かれて愛嬌たっぷり。
しかし集中力がなく忘れっぽい、自分から何かを達成しようとする意欲が低いといった面もあります。
相談 イヤイヤ期になり、急に暴れん坊になった3歳児。ママには口も手も出ます
【エンジェルタイプ・3歳男の子】ママのお悩み
今まで育てにくさをまったく感じさせない子でしたが、イヤイヤ期に入ってからは口も手も出る乱暴者になってきました。
「保育園に行きたくない」と駄々をこね、説得する私の髪を引っ張ったり噛みついたり、叩いてくることも。その都度ダメだよと教えますが、大きな声を出して聞いてくれません。このような態度は私にだけで、大好きなパパにはしません。
また、保育所ではとても良い子のようで「とてもやさしくて、泣いているお友だちに寄り添ったり、お片付けやお昼寝の準備も率先してやってくれますよ」と先生に言われました。
私の対応の仕方が良くないから、私に対して反抗的になるのでしょうか? それともイヤイヤ期が落ち着いたら仲良く過ごせるようになるのでしょうか……。
竹内先生がお答えします!
エンジェルタイプのお子さんは、赤ちゃんの頃は寝てばかりいておとなしいのですが、1歳くらいになると大声や奇声をあげたりする子も見られます。
エンジェルタイプは、大人の行動を見て真似る「モデリング」という能力が低めです。
だから言葉を覚えたり、自分の感情を正しく言葉で伝えたりするのが苦手なので、イライラしたときに大声で騒いだり手が出たりするんですね。
その対策として、感情を言葉にしてあげることがものすごく重要です。
おうちの方は「やめなさい」と抑えてしまいがちですが、その代わりに「痛かったのね」「こういうことを伝えたかったのね」「こっちがよかったのね。じゃあ、これを貸して」などと言えばいいのです。
言葉でのコミニケーションをしっかり教えてあげて、それができるようになると、このような困った行動も収まってきます。
ママにだけ反抗する理由は?
ママにだけ反抗するのには、また違った理由がありそうです。
単純にママに甘えている場合もあるし、ママが厳しすぎたり、やさしすぎたりすることも考えられます。
園でちゃんとしていてお友だちにもやさしくできるお子さんですから、ママにだけ乱暴な行為をするのは「ママだけがそれなりに受け止めてくれる」というのを知っているからでしょうね。
「ダメよ、ダメよ」と言う一方で、「今日だけは特別ね」などと親が許したりすると、子どもはわがままを聞いてもらえる経験を積み、その結果、わがままを言うようになります。
ときには言うべきことを言ってもいい
ときにはビシッと言うべきことを言い、「ダメなものはダメ」という態度を貫きましょう。
お子さんはママに「わがままを言ってもいい」と思っているのでしょうが、どんなにわがままを言っても通らないことがわかるようになると言わなくなります。
こんなときは、子どもの感情を受け止めて行動を正すことが大切です。
例えば保育園に行くのを嫌がったときは、「嫌なのね」と子どもの感情を受け止めたうえで、「でも、がんばって行きなさい」と態度を崩さず、強めに言ってみるといいかもしれません。
気持ちを代弁し、対処する方法を教えてあげましょう
実は、子どもがママにだけ態度を変えるというのは普通にあることなんです。ひどい場合だと4歳くらいで、おばあちゃんやおじいちゃんを蹴飛ばしたりする子もいますので、心配しすぎないでください。
お子さんが、わがままを言える場所があることは良いことだと思います。
エンジェルタイプの特性として、すべてに関してやや鈍感な傾向があるのです。
自分のモヤモヤしている感情をうまく分析できず、理解できないままに「もう、なんだかイライラする」という気持ちを抱えてうまく表せないのです。そして、ただ騒ぐという行動を取りがち。
そんなときは気持ちを代弁してあげ、どう対処するかを教えてあげることが必要です。
「イライラするよね。ジャンプしてごらん」「ジャンプを10回するとスッキリするんだよ」などと提案して体を動かすと、結構気が紛れて「昇華」されるものです。
ストレスをぶつけるものを準備して
ママやきょうだいに暴力を振るう子の場合、「やめて」と言うと、イライラしているから余計にひどくなるんですよね。
叩いてもいいクッションや人形を与えたり、ゴミ箱のような箱を作って「そこには大声で文句を言っていい」ことにしたり、ストレスをぶつけるためのものを用意するのも解決策です。
とにかく抑えつけちゃうとダメなんです。
言葉と感情がアンバランスな時期のお子さんで、しかもイヤイヤ期なので、乱暴になっているのも一時的なことだと思います。やがて時期が来れば、だいぶ落ち着くのではないでしょうか。
「気質タイプ別子育て」で子育てをラクに!
エンジェルタイプのお子さんをお持ちの親御さんは、「そうそう、うちの子も!」と共感できたのではないでしょうか。
竹内先生には次回以降、他の「気質タイプ」のお子さんのお悩みにも答えていただきます。
子どもの気質に合った育て方をして、その伸ばし方を知ることで、育児はもっと楽になるといいます。「困った」事態に備えることができるので、親のイライラや不安も軽減されます。
竹内先生の「気質タイプ別子育て」については、HugKumの他記事をどうぞ参考にしてみてください。
参考書籍/『0歳から6歳までは 生まれながらの「気質タイプ別育て方」でラクになる!』 (KADOKAWA)
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記事監修
竹内エリカ先生
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20 年にわたって子どもの心理、教育、育成について研究し、これまで約 20,000 人、子どもから大学生までを指導してきた。あそび学を専門とし保育・幼児教育関係者への講演活動や執筆、ラジオパーソナリティーなども務める。
写真/写真AC イラスト/よしだゆう 文・構成/村重真紀