癇癪を起こすと手がつけられない…アクティブタイプ6歳男の子【子どもの気質別お悩み相談】

子どもの生まれ持った「気質」を知ることで、子育てがラクになる「気質タイプ別子育て」を提案する竹内エリカ先生。HugKum編集部で、竹内先生に相談したい子育てのお悩みを募集したところ、たくさんのお悩みが寄せられました! ぞれぞれに異なる「気質タイプ」を踏まえたうえで、今回は好奇心が旺盛な「アクティブタイプ」のお子さんのお悩みに答えていただきました。

子どもの気質には5つのタイプがある

「気質とは、持って生まれた個性のようなもので、成長しても本質的に大きく変わることはないもの。個性と受け止めて、育児に取り入れてほしいですね」と話す竹内先生。

竹内先生によると、気質はおもに5つのタイプに分けられるといいます。気質によしあしはありませんが、ときに気質が育てにくさとして現れ、困りごとや心配のタネとなるのです。

気質は大きく以下の5つに分類できます。お子さんがどのタイプに属するか、また、「気質タイプ別子育て」について詳しくは、この記事の最後をご覧ください。

1. エンジェルタイプ……愛嬌たっぷりで人気者だけど、のんびり屋
2. テキストタイプ……知的で優等生だけど、ませていて理屈っぽい
3. アクティブタイプ……好奇心旺盛で行動派だけど、落ち着きがない
4. デリケートタイプ……感受性豊かでやさしいけれど、引っ込み思案
5. ネガティブタイプ……粘り強く努力家だけど、こだわりが強い

竹内エリカ先生がお答えします。「アクティブタイプ」のお悩み

アクティブタイプ チェックリスト

あてはまる項目が多いほどアクティブタイプの気質あり!

□ お友達を押したり、叩いたりすることがある
□ お腹がいっぱいになっても、おっぱいを離さない
□ 周りから「落ち着きがないね」と注意される
□ すぐにママやパパに甘えてくる
□ 高いところに登ったり、何でもさわりたがって目が離せない
□ 叱られても聞いていないと感じることがある

アクティブタイプの特徴

好奇心が旺盛で、人に言われるよりも何でも自分でやってみないと気がすまない、実験好きの気質です。
活動的で飛んだり跳ねたり元気いっぱい。落ち着きがなく、わがままに見られてしまうこともあります。

相談 癇癪を起こすと手がつけられない6歳男の子。仲が悪いパパとの関係も改善したいです

【アクティブタイプ・6歳男の子】ママのお悩み

6歳の息子は環境の変化に敏感で、小学校入学前後の数か月間、癇癪をひどく起こすような子です。
泣き叫んでおもちゃを投げまくり、壁にいくつも穴があくほどで、なだめようとすると引っかかれたり噛まれたりします。

下に妹が2人いるので、十分に甘えられていないと感じているのかもしれません。妹たちに意地悪することもあります。横暴な振る舞いで指示をして従わせることが多く、それを妹たちが拒否すると手が出てしまいます。

パパとママの関係にも黄信号が

さらに、息子とパパの相性が良くなく、お風呂やお出かけをパパとは一緒にやりたがりません

パパが少しでも注意したりすると、息子が物を投げたり、つばを吐いたりするので、パパも怒り、カッとなって息子を叩くこともあります。

その結果、息子は大泣き、大暴れして、私がなだめることになります。パパが休みの日に2人が揃うと必ずもめるのです。

夫婦関係もあまり良くありません。パパが育児にあまり協力的でなく、理解してもらえないという気持ちがふくらみ、ギクシャクしています。

夫婦げんかは子どもに見せたくないけれど口論になることもあり、息子はそれを察しているのかもしれません。
パパが息子と一緒にいても怒ることがなく、息子も心穏やかに過ごすにはどうしたらよいでしょうか。

竹内先生がお答えします!

アクティブタイプでも衝動性が強く、問題行動の多いタイプかなと見受けられますね。
学校で厳しくされたり怒られたりしてモヤモヤしているか、あるいは理解されていないという気持ちを抱えているのではないでしょうか。

子どもは自分の感情を外に出せないと、大声を出したり暴力を振るったりしがちです。学校でも辛いのに、家でもその気持ちをわかってもらえないという思いが強く出ているのではないでしょうか。

お子さんの話を聞いてあげて

最善の対処の仕方は、コミニュケーションを取ることです。

ゆっくりとお子さんの話を聞いてあげ、学校の先生とはどんな状況なのか、どういう学校生活をしているのか話し合ってみてください。

何か嫌なことはないか、不安定になっている要素をきちんと把握したうえで、目をかけてあげたほうがいい時期だと思います。

子どもの感情を受け止めよう

じつは、おうちで癇癪を起こして暴力を振るうお子さんには、親や周りが厳しくて「ダメダメ」と押し付けられているパターンも多いのです。

これは別の例ですが、しつけに一生懸命な両親に育てられたお子さんが、1年生になりたての頃、親にけがをさせるほどの暴力をふるったことがありました。そのとき、「とにかく今は大目に見て、厳しいことは言わずに『いいよ、いいよ』と子どもの言うことを聞いてあげてください」とアドバイスしました。

「わかったよ、嫌だったんだね」と子どもの感情を受け止めることを親御さんにしてほしかったのです。すると、それから暴力を振るわなくなりました。

理解し、寄り添う

この相談者のご家庭の場合、妹さんはいい子なのでしょう。ママもパパも、妹さんたちは手がかからない子だと思っているのでは。

そのお兄ちゃんが「十分に甘えられていないと感じているのかも?」とありますが、まさにその通りではないでしょうか。
息子さんには「自分の意見が聞いてもらえてない」という感情があるのかなと思います。

一緒にお風呂に入るなどのスキンシップや会話の中で理解を示してあげ、「そうなんだね」「嫌なんだね」「こうしたかったんだね」と寄り添ってあげましょう

この場合、妹さんに暴力を振ったりするのはイライラよりも嫉妬からで、妹の方が愛情を受けていると感じているのだと思います。お兄ちゃんに比べて妹たちは怒られることも少ないでしょうし、「怒られるのは必ず自分」だと、きょうだいで比べられている気になるのかもしれません。

パパに物を投げるなど、雑に扱うような振る舞いは、お母さんの態度に影響を受けている場合もあります。夫婦関係が良くないそうなので、パパとママの関係性を見て何か感じるものがあるのかもしれません。
まずは夫婦関係を良くする努力をするのも大事ですね。

いろんなところから取り組まなくてはいけませんね。
まず、お子さんが学校でどういう状況なのか、どういうことをしているのかを把握すること。
そして、きょうだい間の関係で差を作らず、下の子より今は上の子に力を注いであげてください。

相手に期待しすぎないことも大切です

ご夫婦の関係改善のために、夫婦間で協力するのは必要なことですが、なかなか理解してもらえないこともあります。
相手に協力してもらえない場合は相手に期待しないでもママが幸せを保てる状況を作る努力をすると良いかなと思います。

お父さんやお母さんに協力してもらうとか、下のお子さんを誰かに預けるとか、助けてくれる人は他にもいるので、がんばりすぎないで逃げ道を作る解決策も考えてみてください。

「ダブルバインド(二重拘束)」というのですが、夫婦があまりうまくいってないけれど、けんかは見せちゃいけないと思っている、このように相反する2つの事柄が絡まったときに、人は混乱し、ストレスを受けたり落ち込んだりしやすいのです。

ほどよい距離感も必要かも

夫婦げんかはこっそりするか、もし子どもに見られてしまった場合は「仲がいいとけんかしちゃうのよね」「ママもむきになっちゃったけど、言いたいことを言い合って理解し合うことって大事なのよ」と説明してみては……?

ご家庭によって夫婦の関係もいろいろなので、ほど良い夫婦の距離感で淡々と接することも必要かなと思います。ご主人にあまり期待しすぎず、トラブルが起きない距離感で、息子さんの世話もパパに任せずに、他の逃げ道を探してみてください。

息子さんとパパが離れていれば問題は起きなさそうなので、週末などはママが息子さんと過ごして、妹さんたちをパパに任せてはどうでしょうか? お兄ちゃんの対応をママがすることで、自然に距離感を取るのもありかなと思いますね。

「気質タイプ別子育て」で子育てをラクに!

手のかかるアクティブタイプのお子さんをお持ちの親御さんは悩みも多いでしょうが、元来の衝動性の強さが将来的には行動力などの長所へつながるといわれています。今を乗り切っていきたいですね。

竹内先生には、このほかの「気質タイプ」のお子さんのお悩みにも答えてもらいました。

子どもの気質に合った育て方をして、その伸ばし方を知ることで、育児はもっと楽になるといいます。「困った」事態に備えることができるので、親のイライラや不安も軽減されます。

お子さんの気質タイプや、竹内先生の「気質タイプ別子育て」については、HugKumの他記事もどうぞ参考にしてみてください。

参考書籍/『0歳から6歳までは 生まれながらの「気質タイプ別育て方」でラクになる!』 (KADOKAWA)

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記事監修

一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長、幼児教育者
竹内エリカ先生

お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20 年にわたって子どもの心理、教育、育成について研究し、これまで約 20,000 人、子どもから大学生までを指導してきた。あそび学を専門とし保育・幼児教育関係者への講演活動や執筆、ラジオパーソナリティーなども務める。

写真/写真AC イラスト/よしだゆう 文・構成/村重真紀

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