大仏で有名な奈良の「東大寺」に行こう! 歴史や見どころ 完全ガイド

東大寺は、奈良を代表する観光地の一つです。有名な奈良の大仏や絶景を望める二月堂などがあり、日本情緒を満喫できます。歴史の教科書にも必ず出てくるので、子どもの学習にも役立つでしょう。
東大寺の歴史や見どころ、おすすめの観光コースを紹介します。

東大寺とは?

数多くある奈良の観光地の中でも、トップクラスの人気と知名度を誇るのが「東大寺(とうだいじ)」です。奈良を訪れたら必ず足を運びたい、東大寺の概要や歴史を紹介します。

東大寺の大仏様(奈良市)。仏像の丸まった髪の毛、右巻きの髪型は「螺髪(らほつ)」という。大仏の螺髪の数は決まっていない。東大寺大仏は492個、飛鳥大仏は700個、鎌倉大仏は657個である。

世界遺産に登録されている奈良の寺院

東大寺は、奈良時代に聖武(しょうむ)天皇によって建立された、華厳宗(けごんしゅう)の大本山です。木造建築としては世界最大級の「大仏殿」を持ち、鎮座するご本尊は「奈良の大仏様」として広く一般に親しまれています。

奈良時代を代表する寺院としての文化的価値は高く、「古都奈良の文化財」の一つとして1998(平成10)年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

奈良時代は、日本の文化や芸術が花開いた時代ではありましたが、政変・干ばつ・地震などの災厄も多く起こった時代です。聖武天皇は仏教の教えで国を守りたいと考え、全国に国分寺(こくぶんじ)や国分尼寺(にじ)を建てています(741)。

東大寺にも、その役割が与えられ、大和(やまと)国の国分寺として多くの人の信仰を集め、「総国分寺」と位置づけされました。

華厳宗大本山 東大寺 公式ホームページ

東大寺の歴史を知ろう

728(神亀5)年、聖武天皇は、亡くなった我が子を偲び「金鍾山寺(きんしょうさんじ)」という寺院を建てました。

寺院は、国分寺建立の詔勅(しょうちょく)が出された際に「大和金光明寺(きんこうみょうじ)」へと改称され、人々からは平城京の東にある寺という意味で「東之大寺(ひんがしのおおでら)」と呼ばれるようになります。

この呼び名が変化して、現在の「東大寺」という呼称になりました。

東大寺は、平安時代、鎌倉時代、戦国時代の戦災・火災により、何度も消失しています。現存する建造物の多くは江戸時代に修復されたもので、創建当時のものは、ごく一部です。

それでも歴史的価値の高い建造物・美術品は多く、境内の建造物のうち、9棟は「国宝」に指定されています。

東大寺の見どころは?

東大寺には、奈良、鎌倉、江戸のそれぞれの時代のさまざまな建築様式が見られます。国宝に指定されている貴重なものも多いため、すみずみまで見てまわりたいものです。東大寺の必見スポットを紹介します。

「大仏殿」

大仏殿は、東大寺の本尊である「盧舎那仏像(るしゃなぶつぞう)」が鎮座している場所です。

お堂は、日本最大級の木造建築といわれています。ただし、創建当時の大仏殿はさらに大きく、今と比較して1.5倍もの大きさがあったそうです。

大仏殿。創建から二度にわたって焼失、鎌倉(1190)と江戸時代(1709)に再建されている。毎年、大晦日から元旦にかけて、正面唐破風(からはふ)下の観相窓が開かれ、大仏様のお顔を外から拝しながら新年を迎えられる。

 

本尊の大仏は、仏教の教えを具現化したもので「宇宙そのもの」を表わしているといわれます。造られたのは奈良時代ですが、大部分は失われ、天平(てんぴょう)当時の部分は台座などのごく一部だけ残っています。サイズは創建当時よりもやや小さく、座高は約15m・台座の外周は約70mとなっています。

また大仏殿では、柱に空いた穴をくぐり抜ける「柱の穴くぐり」が人気です。穴は大仏の鼻の穴と同じ大きさで、くぐると「無病息災」「祈願成就」などのご利益があるといわれています(くぐり抜けが可能かどうかは、東大寺のホームページでご確認ください)。

「南大門」

東大寺の入り口となる大門です。創建当時の門は、平安時代に大風で倒壊したため、鎌倉時代の1203(建仁3)年に、重源上人(ちょうげんしょうにん)によって再建されました。門の高さは25.46mあり、国内では最大級です。

また、「南大門(なんだいもん)」といえば、門の両側に配置された木造の「金剛力士像」も有名です。大きく口を開けた像は「阿行(あぎょう)像」、口を閉じた像は「吽形(うんぎょう)像」で、鎌倉時代の名仏師・運慶(うんけい)、快慶(かいけい)らによって造られました。

山門を通る際には立ち止まり、像の表情や筋肉の動きまでしっかりと目に焼き付けましょう。

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「二月堂」

「お水取り(修二会:しゅにえ)」が行われることで有名な、国宝のお堂です。

二月堂の「お水取り」。松明の火の粉が舞い散る二月堂は、平重衡の兵火(1181)、三好・松永の戦い(1567)の二度の戦火では焼け残るが、1667(寛文7)年、お水取りの最中に失火で焼失している。その2年後に再建されたのが現在の建物だ。

 

行事の開催時期が、旧暦の2月に当たることにちなみ「二月堂(にがつどう)」と呼ばれるようになりました。創建当時の建物は焼失しており、現存の建物は1669(寛文9)年に再建されたものです。

本尊は「大観音(おおかんのん)」「小観音(こがんのん)」という2体の十一面観音像ですが、絶対秘仏のため拝観はできません。

二月堂は山の斜面に立っているため、せり出している舞台からは、大仏殿、興福寺(こうふくじ)の五重塔、さらには生駒山(いこまやま)を含む絶景が望めます。特に、夕景の美しさに定評があり、奈良県が選ぶ「まほろば眺望スポット百選」にも選ばれました。

まほろば眺望スポット百選個別情報/奈良県公式ホームページ

「法華堂」

聖武天皇が建立した「金鍾寺(きんしょうじ)」の遺構といわれ、東大寺の中では最も古い建築物です。本尊として「不空羂索観音菩薩立像(ふくうけんさくかんのんぼさつりゅうぞう)」が祀(まつ)られています。

「法華堂(ほっけどう)」は、旧暦の3月に法華会(ほっけえ)が開催される場所です。これにちなみ、「三月堂」という呼び名も広く浸透しています。

天平初期と鎌倉時代、その異なる時代に建てられた2棟をつなぎ合わせた建物で、中には本尊や梵天(ぼんてん)、帝釈天(たいしゃくてん)など10体の仏像が安置されています。

法華堂(三月堂)。仏像が安置されている正堂(しょうどう)は天平初期の建築で、礼堂(らいどう)は鎌倉時代の建築。安置されている10体のほか、日光・月光菩薩立像、弁財天・吉祥天立像の4体の仏像は、2011(平成23)年から東大寺ミュージアムに安置されている。

東大寺を、より楽しむには

東大寺は広大で、観光客もたくさんいます。子どもと一緒に効率良く回れるよう、あらかじめ参拝ルートをしっかりと頭に入れておきましょう。

また歴史ある東大寺では、古くから続けられてきた厳(おごそ)かな行事がさまざまあります。どのような行事があるのかを知り、タイミングが合えば、ぜひ観覧してみましょう。

おすすめの参拝コース

南大門をくぐって真っすぐ進むと、正面に大仏殿があります。二月堂や法華堂は大仏殿に向かって右手にあるので、大仏殿を拝観してから足を運ぶのがおすすめです。

東大寺の名所を押さえるなら、以下のようなコースがよいでしょう。

1.南大門
2.大仏殿
3.二月堂
4.法華堂

すべてをじっくり見てまわった場合、移動を含めて2時間以上かかることが予想されます。子ども連れなら、適宜トイレ休憩などを挟んで、時間に余裕を持たせておくと安心でしょう。

東大寺で行われる行事

東大寺では、6月と11月を除くすべての月で何らかの行事があります。

なかでも、特に有名なのが、3月1日から2週間行われる「修二会」です。二月堂の本尊である「十一面観世音菩薩」の前で、罪を懺悔(さんげ)する儀式で、奈良時代から今日まで一度も絶えたことがありません。

3月13日午前1時半頃に「お水取り」や「お松明(たいまつ)」が行われ、鮮やかな火の粉が舞い散る様を見られます。幻想的な風景は、忘れられない想い出となるでしょう。

その他、2月3日に行われる「節分」、仏の生誕を祝う4月の「仏生会(ぶっしょうえ)」、大仏殿前に2500もの灯籠(とうろう)が並べられる8月の「万灯供養会(まんとうくようえ)」も、多くの人が集まる華やかな行事です。

大勢の参拝者で賑わう東大寺

東大寺は、奈良の観光コースに必ず入っているほどの人気スポットです。イベント時期にはさらに参拝客が増えるため、時間に余裕を持って出掛けましょう。

また境内は、野球場が50個ほど入るほどの広さがあります。参拝中は長く歩くことになるため、子ども連れでの観光は境内の風景を楽しみながら、ゆったりしたペースで散策するのがおすすめです。

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構成・文/HugKum編集部

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