出雲大社は名高いパワースポット。その歴史や参拝方法、見どころは?

出雲大社は島根県出雲市にある、長い歴史を持つ神社です。境内には強力なパワースポットがあり、神様を身近に感じられます。独特の作法もあるため、参拝前に覚えておくとよいでしょう。出雲大社に行ってみたい人のために、歴史や見どころを紹介します。

出雲大社とは?

出雲大社は、国内外から多くの参拝客が訪れる、島根県屈指の観光名所です。「いずもたいしゃ」と呼ぶ人がほとんどですが、正式には「いずもおおやしろ」と読みます。

出雲大社は、縁結びのご利益があることで知られ、若い世代にも人気です。祭神や創建の歴史など、出雲大社の基本情報を解説しましょう。

縁結びの聖地として有名

出雲大社の祭神は、「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」です。大国主大神は、人々とともに国土を開拓し、産業や医療などの知恵を授けたといわれる「国づくり」の神様で、「だいこくさま」の名で全国的に親しまれています。

大国主大神(だいこくさま、イメージ)

 

出雲大社は縁結びの聖地として広く知られる神社ですが、「縁結び」といっても、男女の縁だけではありません。仕事の縁・家族の縁など、人々を取り巻くあらゆる「縁」を指しています。

大国主大神の下には、年に1回、各地の神様が集まり、人々の縁を結ぶ会議を開くといわれています。また、大国主大神は優しい人柄で、多くの女神と結ばれたというエピソードも有名です。

このような言い伝えから、出雲大社には、「強い縁結びのパワーがある」との信仰が古くから広まったと考えられています。

参考:出雲大社

出雲大社の歴史

出雲大社の創建時期は、明らかになっていません。しかし、奈良時代の初期に編さんされた「古事記」(712年編纂)や「日本書紀」(720年編纂)には、出雲大社を指すと思われる記述があります。

どちらも神話がもとになっているものの、当時から出雲に大国主大神を祀る社があったことは事実といえるでしょう。現在、境内にある社殿は、ほぼ江戸時代に建て替えられたものです。1744(延享元)年に建てられた本殿は、1952(昭和27)年には国宝として指定されています。

出雲大社の本殿。高さ24メートルにも及ぶ、日本最古の神社建築様式「大社造」

 

また出雲大社では、本殿や神様の持ち物を新しくする「遷宮(せんぐう)」を、何度か実施しています。2008(平成20)年には「平成の大遷宮」と呼ばれる改修が始まり、2015(平成27)年に本殿の遷宮が行われました。その後、他の社殿も改修され、2019(令和元)年にはすべての作業を終えています。

出雲大社の参拝方法

出雲大社の境内は広く、見どころがたくさんあります。また、参拝の作法が、ほかの神社とは異なるため、ルートや作法を予習しておくとスムーズに参拝できるでしょう。

基本の参拝ルート

出雲大社には、四つの鳥居があります。「一の鳥居」は境内から離れた場所にあるため、2番目の「勢溜(せいだまり)の鳥居」からスタートするのがおすすめです。

出雲大社から真っすぐに延びる神門通り(島根県出雲市)。道路の先、中央に見えるのが「一の鳥居」。

 

鳥居をくぐると、右側に心身を清めるための「祓社(はらえのやしろ)」があります。社の裏には、「浄の池(きよめのいけ)」と休憩所があるので、立ち寄ってのんびりしてもよいでしょう。

参道を進むと拝殿が見えてきます。拝殿の手前には、大国主大神の像や、毛利輝元(もうりてるもと)の孫・綱広が1666(寛文6)年に寄進した「銅鳥居(どうとりい)」があります。ひと通り見学したら、本殿の前の「八足門(やつあしもん)」でお参りしましょう。その後は、本殿を囲む垣に沿って、反時計回りに進みます。

全国から集まった神様が泊まる「十九社(じゅうくしゃ)」や、パワースポット「素鵞社(そがのやしろ)」など、有名な社殿を順番に見ていきましょう。

他とは違う参拝の作法

出雲大社では、「二礼四拍手一礼」が正式な参拝の作法です。一般的な「二礼二拍手一礼」よりも拍手が2回多いので、間違えないように注意しましょう。本殿はもちろん、他の社殿を参拝するときも作法はすべて同じです。

出雲大社で、毎年5月14日に行われる例祭では、8回拍手することになっています。8には無限の意味があり、「八拍手」は限りなく神様をたたえる、ということに通じます。

ただし八拍手は、例祭だけの特別な作法です。平時は半分の四拍手で参拝することになっています。四拍手でも、神様への思いはしっかりと伝わるそうです。

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出雲大社の見どころ

出雲大社を参拝するなら、特に見ておきたいスポットがあります。記念撮影にもおすすめの見どころを三つ押さえておきましょう。

大きなしめ縄が有名な「神楽殿」

出雲大社と聞くと、大きな「しめ縄」をイメージする人も多いでしょう。大きなしめ縄がかかっている建物は「神楽殿(かぐらでん)」といって、もともとは出雲大社の宮司が大広間として使用していました。現在はご祈祷(きとう)や神事、結婚式などの行事に使われています。

しめ縄のサイズは、長さ約13.6m、重さは5.2tにも及びます。数年に一度、新調することになっており、最近では2018(平成30)年7月にかけ替えられました。

出雲大社のしめ縄は、縄の始まりと終わりが、一般的なしめ縄とは逆になっているのも特徴です。神社では通常、神様に向かって右が上位ですが、出雲大社では古くから向かって左を上位としています。このため、しめ縄の張り方も逆になっているのです。

出雲大社「神楽殿」の巨大なしめ縄(イメージ)

須佐之男命が祭られた「素鵞社」

素鵞社は、本殿の真後ろに、ひっそりとたたずむ小さな社殿です。社のすぐ裏には、神々が住むとされる「八雲山(やくもやま)」があることから、出雲大社を代表するパワースポットとしても知られています。

ご祭神は、大国主大神の祖先にあたる「須佐之男命(すさのおのみこと)」です。須佐之男命は、人々を苦しめていた怪物「八岐大蛇(やまたのおろち)」を退治したことでも知られています。

裏の八雲山は立ち入り禁止区域ですが、社の裏にせり出す岩肌だけは触ることが許されています。ひんやりとした岩に触れると、神様のパワーをもっと身近に感じられるでしょう。

神話に由来する「ウサギの石像」

古事記に登場する「因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)」の話を、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。大国主大神が、他の神々の荷物持ちとして因幡の国(現在の鳥取県)へ向かう途中で、毛をむしられて泣いているウサギに出合い、助けてあげるという「古事記」にも書かれている話です。

神様たちは、美しいと噂の「八上比売(やかみひめ)」に求婚するため因幡に向かいましたが、彼女は誰にもよい返事をしません。しかし最後に荷物を持ち、遅れてやってきた大国主大神を見て、自ら結婚を申し込んだのです。

2人の仲を取り持ったウサギは、縁結びのシンボルとなり、境内のあちらこちらに石像が置かれるようになりました。ウサギの石像は約60体あり、それぞれにポーズが違います。参拝を終えたら、子どもと一緒に境内でかわいいウサギ探しを楽しむのもよいでしょう。

白兎(はくと)神社にある可愛いウサギの石像(鳥取市白兎)。日本の神話の中で最も知られている「因幡の素兎」の舞台は、鳥取市の白兎海岸。ここには、神話の唱歌「大黒さま」を作曲した田村虎蔵の石碑もある。

出雲大社でパワーをもらおう

出雲大社は、いつ建てられたのか分からないほど、古い歴史を持つ神社です。全国の神様が集まる場所でもあり、神話の時代の雰囲気を存分に味わえます。

縁結びのご利益も高く、参拝すれば家族の絆(きずな)もより強まりそうです。独特の参拝作法や見どころを、しっかりと頭に入れて、神様のパワーをいただきに出かけましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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