二条城は誰が建てた城? 見どころと鑑賞ポイントを知っておこう

「二条城」は、京都の二条通りにある城郭です。多くの人々が訪れる観光スポットの二条城ですが、誰がこの城を建てたかをご存知でしょうか?その答えだけでなく、城の見どころを詳しく紹介します。庭園散策のポイントもチェックしておきましょう。

二条城とは

京都には複数の城郭(じょうかく)が残されていますが、「二条城(にじょうじょう)」を真っ先に思いつく人が多いのではないでしょうか。

まずは京都の代表的観光地ともいえる、二条城の基本情報を紹介します。

徳川家による輪郭式の平城

二条城を建てたのは、江戸幕府の初代将軍・徳川家康です。二の丸が本丸を囲む輪郭式の平城(ひらじろ)で、1603(慶長8)年に完成しています。

天守閣のそれぞれの層の屋根は、異なるパターンの破風(はふ)を配して格調高く仕上げられており、江戸幕府と徳川家の栄華を世に知らしめていました。

二条城は15代将軍・徳川慶喜(よしのぶ)による「大政奉還(たいせいほうかん)」をはじめ、たびたび歴史的出来事の舞台となります。

ちなみに、織田信長や豊臣秀吉も、戦国時代に二条城を建てていますが、現在の京都にある二条城とは別の城郭です。

1994年に世界遺産登録

二条城は、数々の文化財や名勝が残る桃山文化の貴重な建築物です。1994(平成6)年に「古都京都の文化財」の一つとして、近辺の寺社とともにユネスコ世界遺産に登録されました。

二条城を見学する際には、開城・受付時間や休城日について、事前に公式HPで確認しておきましょう。

開城時間は8時45分~16時で、17時に閉城します。また、二の丸御殿を観覧する場合は、16時10分までに受付を済ませなければいけません。

さらに二条城では、貴重な文化財である御殿や障壁画を守るため、休城日や二の丸御殿の観覧休止日を設けています。

休城日は12月29日~31日、二条城は開城していても、二の丸御殿の観覧を休止しているのは、1・7・8・12月の毎週火曜日と12月26日~1月3日です。

二条城 世界遺産・元離宮二条城

二条城の見どころ

二条城には、国宝や文化財など、数多くの観光の要所があります。それぞれの特徴と見どころについて見ていきましょう。

大政奉還の舞台「二の丸御殿」

国宝・二の丸御殿は、簡素な武家屋敷の様式である書院造(しょいんづくり)の代表的な建築物です。御殿群を擁する日本の城郭は、今では二条城にしか残っていません。

大政奉還が行われたのは、この二の丸御殿の大広間です。将軍に謁見(えっけん)する間として使用されていた場所で、現在は等身大の人形が置かれて当時の様子を表わしています。

二条城・二の丸御殿「大広間」(京都市中京区)。二の丸御殿のうち、最も格式が高く、公式的空間といえる。まさに、ここで徳川慶喜から明治天皇への大政奉還の奏上がなされた。

 

いたるところに見事な障壁画が見られ、最も有名なものは四の間にある「松鷹図(まつたかず)」です。廊下は「鶯(うぐいす)張り」となっており、歩くと鳥がさえずるような高い音が鳴ります。

宮家の生活がうかがえる「本丸御殿」

二の丸に守られた内側のエリアを「本丸」といい、そこにある御殿が「本丸御殿」です。本丸御殿は、国の重要文化財に指定されています。

本丸御殿を建てたのは、第3代将軍・徳川家光ですが、このときの御殿は1788(天明8)年に発生した「天明の大火」で全焼しました。現在の本丸御殿は、1894(明治27)年に京都御所の御殿を移築したものです。

玄関・御常御殿(おつねごてん)・御書院・台所と雁の間の4棟で構成され、政務だけではなく生活の場としても使用されていました。

なかでも、御常御殿にある障壁画「松鶴図(しょうかくず)」は見事です。黄金を背景に精緻な筆使いで描かれた、本物さながらの鶴に注目してみましょう。

重要文化財に指定「東大手門」「唐門」

二条城の正門は「東大手門」といい、1階は門、2階は櫓(やぐら)になっていることから、「櫓門」とも呼ばれます。

二条城正門「東大手門」。外部への出入り口としての城門は、東西南北に一つずつあるが、堀川通りに面したこの東大手門が正門である。

 

天皇家が離宮として使用していた際は、見下ろさないようにという配慮から2階がなかったようです。1663(寛文3)年ごろの改修により、建築当時の櫓門が再現されました。

二の丸御殿の正門は「唐門(からもん)」です。屋根の装飾に唐破風が使用されており、伝説上の霊獣や縁起のよい模様が彫刻された、極彩色の華やかな造りになっています。

二の丸御殿「唐門」。唐破風の屋根に、極彩色の彫刻が映えていて素晴らしいアート作品だ。

城郭らしさを残す「隅櫓」

当時の二条城は、外堀の四隅に見張り台の「隅櫓(すみやぐら)」が建てられていました。そのうち、現在残っているのは東南隅櫓と西南隅櫓の2基だけで、国の重要文化財に指定されています。

どちらも二重2階の入母屋造(いりもやづくり)で、一見すると違いが分かりません。しかし、東南隅櫓は千鳥破風(ちどりはふ)、西南隅櫓は唐破風と、1階の張り出し部分の上に付けられた破風の形が異なっています。

二条城で、いかにも城郭といった雰囲気があるのは、この2基の隅櫓のみです。天気のよい日には堀の水面に映る、逆さまの隅櫓を目にすることができるでしょう。

二条城「東南隅櫓」。やはり「城」というからには、天守や櫓が似つかわしい。堀に逆さ櫓が映り込んでいる。

かつて五重天守がそびえた「天守閣跡」

二条城の本丸庭園の奥には、五重の天守閣がありました。この天守閣は1750(寛延3)年の落雷により焼失してしまい、現在は天守台であった石垣しか残っていません。

しかし設計図が残されているため、当時の姿を、ほぼ完全に把握できています。内部は、地上5階・地下1階の6階建てで、天守自体の高さは約28mありました。

外観は白漆喰(しろしっくい)で塗られた、京の町に合う上品なデザインだったようです。

「天守閣跡」の石垣には、今も上ることができ、本丸御殿や本丸庭園を見渡せる展望スペースになっています。

3つの庭園もおすすめ

二条城には「二の丸庭園」「本丸庭園」「清流園」の、三つの庭園があります。庭園の意図や鑑賞のポイントを知っておくと、より趣を感じられるでしょう。

国の特別名勝「二の丸庭園」

二の丸庭園は、二の丸御殿の前に広がる庭園です。

池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)という様式で、池の周囲を散策しながら鑑賞できる造りになっています。池の中央には神仙の住む蓬莱島(ほうらいじま)、左右にそれぞれ鶴と亀を表わす島が配置されています。

庭園の景観は、大政奉還後に離宮として使われていたころのものですが、御殿と庭園が一体となった書院造は、桃山時代末期から江戸時代初期の建築に見られる特徴です。

現存する優れた歴史的庭園として、1953(昭和28)年に国の特別名勝に指定されました。

二条城「二の丸庭園」。小堀遠州(こぼりえんしゅう)の代表作として挙げられる桃山様式の池泉回遊式庭園だ。中央が、蓬莱島。

落ち着きのある築山式「本丸庭園」

もともと二条城の本丸の前には庭園がありましたが、1788年の火事で、本丸と一緒に焼けてしまったとされています。その後、江戸時代末期や明治時代に何度か改修されますが、これらはまだ現在の形とは異なります。

現在の本丸庭園は、1895(明治28)年に出された明治政府の命令で造られ、7カ月半かけて翌1896年に完成したものです。小高く土を盛った築山が置かれ、芝生が一面に敷かれています。

本丸庭園が造られた明治時代には、ヨーロッパの文化が盛んに取り入れられていました。そのためか、曲線的な園路や丸く刈り込まれた植え込みなど、ところどころに洋風の雰囲気が感じられます。

和洋折衷の庭園「清流園」

清流園は、城内の北側に位置する、面積約1万6500平方mの広大な庭園です。西半分は池泉回遊式の和風庭園、東半分は芝生を主体とした洋風庭園で、1965(昭和40)年に完成しました。

園内には二つの茶室があります。「和楽庵(わらくあん)」では、抹茶セットや煎茶(せんちゃ)セットなどが提供され、庭園を眺めながら優雅にお茶をいただくことが可能です。

「香雲亭(こううんてい)」のほうは非公開となっていますが、夏や冬に期間限定で食事が提供されることがあります。1日の人数も限られているため、早めに予約を入れておくとよいでしょう。

二条城で行われるイベント

城郭鑑賞は興味深いものですが、子どもは少し退屈に感じるかもしれません。子どもの記憶に強く残る観光にするなら、イベントの日に合わせて出掛けてみてはいかがでしょうか。

観桜茶会やライトアップ

二条城では毎年4月に、和楽庵や香雲亭で「観桜茶会」が開催されています。晴れた日には、野点席(のだてせき)で薄茶を楽しむことも可能です。

敷地内には約50品目、300本の桜の木があります。早咲きから遅咲きまでさまざまな種類の桜が、次々と春の訪れを知らせてくれるでしょう。

春の恒例行事「二条城桜まつり」のシーズンは、ライトアップされた幻想的な二条城や桜も見応え抜群です。なおライトアップイベントは、春に限らず開催されることがあります。

徳川家の権威の象徴、二条城を見に行こう

二条城は、徳川家による武家文化の粋が集められた城郭です。その広大で荘厳な姿からは、当時の徳川家が、どれだけ隆盛を誇っていたのかがうかがえます。

「関ヶ原の戦い」に勝利した家康は、どのような思いで二条城を建てたのでしょうか。かつて天下を取った将軍の気持ちを、二条城を見学しながら、子どもと一緒に想像してみるのも面白いかもしれません。

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構成・文/HugKum編集部

参考:
デアゴスティーニ編集部「日本の城 改訂版 第25号」デアゴスティーニ・ジャパン; 週刊版、2018年、2-4頁
小林祐一「西日本 名城紀行」メイツ出版、2019年、36-37頁

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