SDGs目標17の意味は? 世界の課題や取り組み、個人ができること

SDGs目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」です。他の16の目標を達成するために必要な考え方をまとめたもので、19のターゲットが示されています。SDGsにおけるパートナーシップの意味や重要性、取り組み事例を紹介します。

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

SDGsは環境破壊や貧困、教育格差などの問題解決に向け、地球規模で取り組むための枠組みです。

SDGs目標17では、各国の政府はもちろん、企業や個人も積極的に関わる「パートナーシップ」構築の重要性や、具体的な方策を示しています。なぜパートナーシップが重要なのでしょうか。

SDGsができた背景

SDGs(持続可能な開発目標)は、国連に加盟している193カ国が2016~2030年の15年間で達成するべき17の目標を掲げたものです。2015年9月に、国連サミットで採択されました。

SDGsの前身は、2000年に採択された「MDGs(ミレニアム開発目標)」です。MDGsは主に開発途上国が直面している課題を解決するためのもので、2015年までに達成するべき八つの目標が設定されていました。

MDGsは一定の成果をあげたものの目標の一部は達成できず、また15年の間に環境破壊や先進国での経済格差など、新たな課題も増えてきていました。

そこで、先進国も途上国も一緒になって課題を解決しようとする新たな枠組みとして、SDGsが掲げられたのです。

関係者の協力なしでは達成が困難

SDGsでは全部で17の目標を掲げ、それぞれにターゲットと呼ばれる169の具体策を定めています。達成期限の2030年までに全ての目標を達成するためには、関係者の協力が欠かせません。

例えば、目標達成のための資金や技術が不足する途上国に対して先進国や大企業が支援したり、国内のSDGsに関する取り組みに国民が積極的に参加したりなど、世界中の国や人が自発的に取り組む姿勢が求められるのです。

マルチステークホルダーの考え方

SDGs目標17では、達成の手段の一つとして「マルチステークホルダー・パートナーシップ(MSP)」を定めています。ステークホルダーとは、ある活動によって影響を受ける組織や個人のことです。

企業活動で例えると、クライアント・社員・株主・自治体・国などが該当します。SDGsにおいては、目標達成の鍵を握る全ての国や組織、個人がステークホルダーです。

さまざまなステークホルダーが、共通の目標達成のために対等な立場で課題の解決に向けて取り組む関係を、マルチステークホルダーといいます。

マルチステークホルダーには、国境も規模の大小も関係ありません。国同士が協力したり、研究機関がデータを提供したり、市民がSDGs関連のイベントに参加したり、あらゆるつながりが目標達成の原動力となります。

途上国に立ちはだかる壁

SDGsの達成には、資金力や技術力が必要です。しかし、途上国の中には資金も技術もなく、目標達成どころではない国もたくさんあります。

SDGs目標17でも、途上国の目標達成に向けた支援策を定めています。現在、途上国が抱えている主な問題を見ていきましょう。

資金不足

SDGs達成の観点でも、途上国の資金不足は大変深刻な状況です。税収が国連が定める目標値に達していない国も多く、途上国全体では年に2兆5000億ドルもの資金が不足しているとの試算もあります。

自力での目標達成が難しい途上国には、先進国からの資金援助が欠かせません。単にお金を出すだけでなく、技術者を派遣したり教育機関を設けたりして、途上国に暮らす人たちの生活レベルを向上させる施策も求められます。

先進国が資金や技術を提供し途上国の発展に力を貸すことで、地球が抱えている問題を解決しやすくなり、2030年までの目標達成も見えてくるのです。

貿易交渉の行き詰まり

途上国は、海外との貿易についても以下のように課題が多く、経済発展の遅れにつながっています。

・貯蔵設備や道路、港湾などの貿易に必要なインフラが整備されていない
・技術不足や知識不足により品質が安定しない
・貿易ルールが先進国中心なため、不利な取引条件を強いられる
・情報不足で中間業者に搾取されやすい

途上国の公正な貿易を支援するため、WTOでは2001年から途上国支援のための貿易交渉(ドーハ・ラウンド)を開始しました。しかし、自国の利益を優先させルールを守らない国も多く、交渉は行き詰まっています。

また、他国からの支援が途上国の内情に合わず、かえって発展をはばんでいるケースも目立ちます。

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世界のさまざまな取り組み例

SDGs目標17遂行のために、世界各国ではどのように取り組んでいるのでしょうか。主な事例を三つ紹介します。

技術移転

先進国と途上国の差は、資金力だけではありません。途上国では、物作りの技術・経営ノウハウ・インターネットを含む生活インフラの整備技術など、さまざまな技術が不足しています。そこで必要になるのが「技術移転」です。

技術移転とは、高い技術力を持つ国や企業が、他国に技術を伝えることをいいます。技術移転は、基本的に次のプロセスで進められます。

・文献や学者を通じて、現地の人に基礎的な知識を伝える
・伝えた技術を自分たちで使えるように、技術者や管理者を育成する

例えばアフリカでは、常にインターネットに接続できる地域はごくわずかです。インターネット回線を整備し皆が使えるようにするには、まずインターネットの知識を伝える必要があるでしょう。

また回線が整備できても、自国内でメンテナンスやユーザー管理などができなければ意味がありません。単に技術を提供するだけでなく、途上国が自ら運用できるように導くことが重要なのです。

キャパシティビルディング

「キャパシティビルディング」とは、人や組織の能力を引き出し、維持するプロセスです。

目標17ではいくつかのターゲットにおいて、「南北協力」「南南協力」「三角協力」などの関係により、キャパシティビルディングを進めることを示しています。

南北協力は、先進国から途上国への技術移転や資金援助です。南南協力は、途上国同士が開発戦略や資源を分かち合い、共に発展を目指す状態を指します。

南南協力の実行に必要な資金を先進国が支援する関係が、三角協力です。

南南協力は似た言語や文化を持つ近隣国同士で行われるケースが多いため、三角協力によって現地の実情に合わせた効率的な支援ができるようになります。

ODA(政府開発援助)

「ODA(政府開発援助)」は、先進国の政府または政府関係機関が行う開発途上国への資金・技術協力です。実施主体は「OECD(経済協力開発機構)」加盟国29カ国、及びEUが所属する「DAC(開発援助委員会)」です。

日本はDACの前身「DAG」の時代からの参加国で、ODAにも積極的に取り組んでいます。ODAの形態には「二国間援助」と「多国間援助」の2種類があります。

二国間援助は特定の国に対して行う支援で、多国間援助は国際機関への出資や拠出です。二国間援助では、主に技術協力や有償・無償の資金協力、ボランティアの派遣などが実施されます。

参考:
ODAとは | ODA見える化サイト
OECDの概要:開発援助委員会 – DAC:OECD日本政府代表部

日本における取り組み例

日本では途上国への経済支援の他にも、さまざまな方面でSDGs目標17達成のための取り組みを進めています。代表的な事例を見ていきましょう。

二国間クレジット制度

地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(CO2)の削減は、世界が一丸となって解決するべき課題となっています。2016年には「パリ協定」が発効し、CO2の主要排出国を含む全ての国に排出量削減目標が定められました。

しかし資金や低炭素技術を持っていない途上国が、自国の努力だけで排出量を削減することは容易ではありません。資金や技術のある先進国でも、削減できる量には限界があります。

「二国間クレジット制度」は、優れた低炭素技術を持つ国が他の国に技術協力することで、削減成果を分け合える仕組みです。協力のおかげで削減できた排出量の一部が、協力した国の削減分にカウントされるため、先進国にもメリットがあります。

日本では2020年9月現在で、17カ国との間に二国間クレジット制度を構築し、CO2排出量削減プロジェクトを進めています。

参考:二国間クレジット制度(JCM)|外務省

Society 5.0

「Society 5.0」は、2016年に日本政府が提唱した、新たな社会のコンセプトです。仮想空間と現実空間を融合させたシステムによって、経済発展や社会的課題の解決を目指します。

「AI(人工知能)」や「IOT(モノのインターネット化)」などの高度なデジタル技術を活用して、持続可能な社会を構築する取り組みと考えると分かりやすいでしょう。

例えば、少子高齢化が進む国では、デジタル技術によって工場の製造ラインを自動化すれば、労働力不足問題の一部を解決できます。デジタル技術の発展は、今まで見えなかったものを見えるようにしたり、家にいながら世界を旅したりといった、新たな経済活動を生み出すことにもつながります。

日本政府はSociety 5.0を通して、積極的に近未来的社会システムを構築し、人類の発展に貢献する意思を示しているのです。

参考:Society 5.0 – 科学技術政策 – 内閣府

ジャパンSDGsアワード

「ジャパンSDGsアワード」は、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行う企業や団体を、国が表彰するイベントです。

SDGs達成に取り組む企業や団体のモチベーション向上や、取り組み内容を国民へ広く知らせるために、2017年に創設されました。SDGs推進本部長である内閣総理大臣賞、副本部長の内閣官房長官賞と外務大臣賞、特別賞の4種類が設定されています。

これまで国際的に事業展開する大企業から地方自治体、高校の部活動までさまざまな団体が受賞しており、今後SDGsに関する活動を進めたい人の指針となっています。

参考:ジャパンSDGsアワード | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

私たちができるSDGs目標17の取り組み例

SDGs目標17の達成のために、個人ができる取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。社会とのパートナーシップを構築する、簡単な方法を見ていきましょう。

ESG投資

資産運用している人やこれからする予定の人には「ESG投資」がおすすめです。ESG投資とは、投資先を選ぶ手段の一つです。

従来の判断指標である業績や財務状況に加え、「環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)」の視点から企業を評価します。

例えば「クリーンエネルギーを扱う企業」「地域貢献に積極的な企業」「情報開示が適切で迅速な企業」などが挙げられます。

ESG投資をする人は、資産運用と社会貢献が同時にできる上に、SDGsの目標達成に参加していることになるのです。

積極的な情報共有

SDGsを知らない人や、知っていても無関心な人はたくさんいます。個人レベルで情報を発信し、さまざまな人と共有することも、目標達成に向けた行動として有効です。

ただし情報共有のためには、自分自身がSDGsの詳細や目標が掲げられた背景を知る必要があります。近年は、国内のさまざまな場所でNGOや関連企業、大学などによるSDGs関連のイベントが企画されています。

オンラインで参加できたり、ゲーム感覚で学べたり、子どもを誘いやすいイベントもあるので、探して参加してみるのもよいでしょう。

自分だけではなく、みんなが豊かな社会に

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、16の目標を達成するために世界中の国や組織、個人が手を携えることの重要性を示しています。

SDGsは、自分だけではなく地球上の全ての人、さらに言えば全て動植物が豊かになれる社会を目指した目標です。良好なパートナーシップなくして、それぞれの目標達成はあり得ないでしょう。

SDGs達成に向けて、個人できることもたくさんあります。この機会に地球規模のパートナーシップとは何かを、子どもと一緒に考えてみましょう。

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構成・文/HugKum編集部

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsとは?

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