この「灯台」は、室内にありました!
この「灯台」は、室内照明具の灯火をともす台のこと
正解は、室内照明具の灯火をともす台のことです。
なぜそのように断言できるのかというと、ちゃんとした証拠があるからです。
一つは、岬の灯台は洋上の船に位置の基準を示すために遠くを照らすもので、周囲を明るくするものではないため、下(もと)が暗いのは当たり前なのです。その当たり前なことをわざわざ言うことはないでしょう。
その昔、岬の灯台は別の呼び名があった
二つめは、明治に西洋式灯台が設置されるまでは、岬の灯台は「灯台」と呼ぶことはなかったということです。では何と呼んでいたかというと、「灯明台」です。
そして三つめは、江戸時代には岬の灯台を「灯台」と呼ぶことはなかったのに、「灯台下暗し」の例が江戸時代からあることです。その例は、たとえば式亭三馬 (しきていさんば)が江戸庶民の生活を描いた『浮世床(うきよどこ)』(1813~23年)にあります。
「それは燈台元暗(トウダイモトクラ)しとやら。あんまり傍に居ては見つからねへで」(初・中)
というものです。「あんまり傍に居ては見つからねへで」というところから、それが室内照明具だということを納得していただけるのではないでしょうか。
あなたにはこちらもおすすめ
知ってる?「了解・了承・承知」の使い分け方【知って得する日本語ウンチク塾】
悩みませんか?了解・了承・承知の使い分け方
「了解」「了承」「承知」の3語は、いずれも相手からの依頼・要求などを聞き入れる...
「ポンコツ」の語源は?産みの親は、あの人の父だった!【知って得する日本語ウンチク塾】
「ポンコツ」な人ってどんな人?
「こんなこともできなんじゃポンコツだ」
「あの人は本当にポンコツだ」
などとい...
神永曉(かみなが・さとる)
辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。著書『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)が好評発売中。