2023年8月30日深夜~「スーパーブルームーン」で最大の満月に!スーパームーンが大きく見える理由

スーパームーンとは、月が地球に最も接近して見える満月や新月のこと。月が大きく見える理由から、スーパームーンの意味や定義について、わかりやすく解説します。さらに、スーパームーンを見られる時期や、観測するときのコツ・注意点についてもご紹介します。

2023年は「スーパーブルームーン」

2023年8月30日(水)の深夜から8月31日(木)の明け方にかけて、今年最大の満月「スーパームーン」を見ることができます。

2023年は、同じ月の中で2回目に見える「ブルームーン」と呼ばれる満月でもあるため、とても貴重な「スーパーブルームーン」を観測することができそうです。

スーパームーンとは

スーパームーンとは、その年に見える満月のうち「最も大きな満月」のことを言います。国立天文台のサイトによると、月と地球の距離が最も小さくなるときの満月に比べて、月の面積はおよそ30%大きくなるそう。だからスーパームーンは、普段夜空を見上げたときに見える満月よりも、一回り大きく感じられるはずです。

また、月が地球に最接近した前後1時間以内に満月または新月になる月を「エクストリームスーパームーン」と呼び、通常のスーパームーンよりもさらに月が大きく見えます。一方、月と地球の距離が最も離れたときに見える月を「マイクロムーン」と呼びます。

スーパームーンの意味

昔から月には不思議な力があると信じられてきました。満月の日には、出産が増えたり体調が変わったりすると言われるもの。そんな人々の体験があるからこそ、月が大きく輝くスーパームーンでは月のパワーもさらに強力になると考えられているのです。

スーパームーンが大きく見える理由

なぜスーパームーンは月が大きく見えるのでしょうか?

スーパームーン
「スーパームーン」はなぜ大きく見える?

月が地球に最も接近するから

その理由は、月と地球の間の距離にあります。月はおよそ1か月をかけて地球のまわりを回っており、これを公転と呼びます。

公転の軌道はきれいな円を描いているわけではなく、楕円形なのです。そのため、月と地球の距離は約36万kmから40万kmの間で変化していくわけです。スーパームーンで月が大きく見えるのは、月と地球の距離が最も縮まったときに起きるからです。

月の面積が約30%大きく見えるから

月が最も小さく見える満月に比べると、最も大きく見える満月は、直径で14%の差があります。さらに面積で比べると、およそ30%も違います。つまり、実際にスーパームーンの満月は見える面積が大きくなっているのです。

地平線に近いと錯覚で大きく感じるから

サンライズやサンセットで太陽が大きく見えたことはありませんか?  それは、太陽が地平線の近くにあると、周囲の建物など太陽の大きさを比較するものがたくさんあるため、目の錯覚で大きく見えてくるから。それと比べて、上空の高い位置に月があるときはまわりに何も見えないため、月が小さく見えやすいでしょう。

スーパームーンは実際に月が大きく見えることがわかっていますが、人の目の錯覚も一因と言えるかもしれません。

スーパームーンの定義

私たちが普段使う天文用語には、それぞれに定義があります。例えば、「満月」は「月と太陽の視黄経の差が180度になった瞬間の月」と定められています。

しかし、スーパームーンは天文学的な正式な用語ではありません。そのため、スーパームーンの定義ははっきりしておらず、諸説があります。ここでは、スーパームーンを定義する一例をご紹介しましょう。

最も大きな月

国立天文台のウェブサイトでも「スーパームーンという言葉には、はっきりとした定義がありません」と書かれています。多くの方は「とても大きな満月」程度の意味合いで使っていることが多く、おおまかな話をしている場合なら、その程度の解釈で問題ないと記述されています。

月と地球が最接近するタイミングから12時間以内

また別の定義では、スーパームーンを「月と地球が最接近するタイミングと、満月の瞬間が12時間以内のときに見える満月」と捉えている場合もあるようです。

スーパームーンはいつ見られる?

実際にスーパームーンを見られるのは、いつでしょうか。スーパームーンの周期は、およそ400日ほど。だいたい1年に1回程度見ることができる計算です。2023年は8月に、その後は2024年と2025年も年に1回ずつ観測できます。

2023年は8月30日深夜から31日明け方

2023年に見えるスーパームーンは、同じ月の中で2回目に見える「ブルームーン」と呼ばれる満月でもあるため「スーパーブルームーン」となり、8月30日深夜から31日明け方にかけて見られます。完全に満月になるのは午前10時36分と予測されています。

月と地球が最接近する時間は真夜中になりますが、8月30日の深夜から31日の明け方までは、普段より月が大きく見えるでしょう。日本全国の月が見える場所なら、どこでもスーパームーンは見えるはずです。

2024年、2025年、2026年は?

2024年以降のスーパームーンで日本で見られるものは、次の日付で起きると予測されています。

2024年10月17日(木)
2025年12月5日(金)
2026年12月24日(木)

2022年、2021年、2020年は?

ちなみに過去にスーパームーンを見れた日付は以下のとおりでした。

2022年7月13日(水)
2021年5月26日(水)
2020年4月8日(水)

スーパームーンを見るときのコツ・注意点

スーパームーンを見るときには、次のような点を抑えておくといいでしょう。

スーパームーンを見るときのコツ・注意点
スーパームーンを見るときのコツ・注意点

東~南東の方角を見る

月は、太陽と同じように、東から昇って南を通り西に沈んでいきます。ですから、夜になって月が見やすくなる時間帯では、東や南東の方角から見ていくと月を探しやすくなります。

場所はどこでもOK

星や流星群を見るのなら、周囲に電灯のような明かりがない暗い場所の方が観測しやすいもの。でも月はそれらよりずっと明るく見えるため、特に周囲が暗い場所ではなくても観測しやすいはずです。「月が見える場所ならどこでも大丈夫」と、覚えておいていいでしょう。

深夜の観測は静かに

2022年7月のスーパームーンで、月が地球に最接近する時間は深夜になります。もしその時間を狙って観測する場合は、近所に迷惑にならないように静かに見るようにしましょう。

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スーパームーン以外の特別な満月の種類

スーパームーン以外にも、特別な名前がついた満月があります。

ブルームーン

1か月に2回満月があるときの満月を「ブルームーン」と言います。

月の満ち欠けのサイクルは、およそ29.5日。そのため「月の周期はおよそ1か月」と覚えている方も多いでしょう。1か月に満月を2回見られるのは、とても珍しいこと。ブルームーンは、およそ2年半に1度の頻度で起きます。

ブラッドムーン

「ブラッド」とは「血」のこと。血液のように赤黒く見える満月を「ブラッドムーン」と言います。これは皆既月食が起きて、月が赤銅色に見える現象を指します。

皆既月食とは、太陽と地球と月が一直線上に並び、地球によって太陽光が遮られた「地球の影」部分を月が通過するときのこと。このとき、太陽の光は月にはほとんど入りこまないのですが、波長の長い赤色は大気で散乱されにくいため、月までわずかに届きやすいのです。そのため、月が赤黒く見えるようになります。

ピンクムーン

「ピンクムーン」とは、4月の満月のこと。ちょうどピンク色の野花が咲く時期にあることから、ネイティブアメリカンがこう呼んだことが始まりです。同じように、イチゴの収穫が行われる6月の満月を「ストロベリームーン」と呼びます。

スーパームーンの日は夜空を見上げてみよう

普段よりも月が大きく輝いていると、不思議なパワーをもらえそうな気がしてくるかもしれません。スーパームーンはおよそ1年に1度しか起こらない現象です。ぜひスーパームーンの日付をチェックして、その日は夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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