アカデミー賞ノミネート!『未来のミライ』はワーママ&イクメンあるある共感ポイント満載【親子で観たい映画】

第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネート!細田守監督作『未来のミライ』

(c)2018 スタジオ地図

第91回アカデミー賞で、外国語映画賞選出作の是枝裕和監督作『万引き家族』と共に、長編アニメ映画賞にノミネートされた細田守監督作『未来のミライ』。本作のBlu-ray&DVDが、1月23日よりリリースされました。2018年の公開当時、働くママたちから「私たちの思いを代弁してくれている」と共感する声が相次いだ本作。ママたちの心をとらえたポイントとは?

メインの舞台は、2人目の新生児を迎えた建築士一家の家。本作で描かれるのは、4歳の長男くんちゃんと、未来からやってきた妹のミライちゃんの奇想天外な冒険です。なんといっても、主人公が4歳という点がかなり斬新。たとえば宮崎駿監督作『崖の上のポニョ』の宗介も「クレヨンしんちゃん」の野坂しんのすけも5歳ですし、わずか4歳児に壮大なストーリーを牽引させるという試みは、作り手にとって、かなりハードルが高いチャレンジだったと思います。

なぜなら、冒険ファンタジーの主人公には、勇気、葛藤、決断といった鋼のマインドが求められるから。まだまだ泣き虫で甘えん坊である4歳児のくんちゃんには、荷が重すぎます。でも、細田監督はそこを逆手にとり、大人が理想とする“できる子ども”ではなく、あるがままに動く4歳児の喜怒哀楽を生き生きと表現しました。

ママ的にぐっと来るポイントとは?

(c)2018 スタジオ地図

『サマーウォーズ』(09)や『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15)などでも家族を描いてきた細田監督ですが、いずれも自身の子育て体験をベースにしているので、アニメ映画とは思えないリアリティーが追求されています。

まず、二人目の子どもを迎えた時、一人目の長男が赤ちゃん返りをするのもかなりリアルです。いままで自分が独り占めしていた親や祖父母の愛情が、妹の未来ちゃん優先に向けられることを察知したくんちゃん。たちまちイヤイヤに突入し、なんでも「いやだ!」と床に寝っ転がって号泣したりしてしまいます。

とはいえ、ママはそんな駄々をこねるくんちゃんにいちいち反応してはいられません。くんちゃんを叱り、子育てにまだまだ慣れてないパパのお尻をたたきつつ、日常をこなしていきます。

ママが育休を経て職場復帰するにあたっての夫婦のやりとりも、かなり生々しく描かれています。「男の人の協力がないと」と、家で仕事をするパパに家事の役割分担を提案。ワンオペ育児になりがちな昨今、「そりゃそうでしょ」とママたちは大いにうなずいたはず。パパが慣れない家事に追われるトホホな姿は、ママだけではなく、きっとパパが見ても苦笑いすること間違いなしです。

子育て中は、時にイライラして感情的になったりもしてしまうママですが、本当は子どもを叱りたくはないし、実は心のなかで「どうしたらいい母親になれるのだろうか?」と自問自答している毎日。劇中でママが「くんちゃんは私の宝」とつぶやくところに、涙腺が緩んだママも多かったのでは。

(c)2018 スタジオ地図

また、細田作品があらゆる層の心をとらえるのは、親の目線、子どもの目線だけではなく、親が子どもだった時の目線、子どもが将来親になるであろう目線まで、まるでプリズムのように、いろんな角度から光を当てている点です。親もまた、自分を育ててくれた親に感謝する。最終的に“限りない命の連鎖”という大きな着地点を迎えます。

さすがは世界に称えられた『未来のミライ』。親子で観れば、より一層、家族がいとおしく思えるおすすめ映画です。

(c)2018 スタジオ地図

『未来のミライ』Blu-ray&DVDが、1月23日よりリリース

声の出演:上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
監督・原作・脚本:細田守
公式HP:http://mirai-no-mirai.jp/
『未来のミライ』スペシャル・エディション(Blu-ray/本編ディスク+特典映像ディスク)¥7,800+税

文/山崎伸子

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