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妊娠31週(8か月)と赤ちゃんとママの状況は?
妊娠8か月は28週から31週にあたり、妊娠後期に入ります。子宮がどんどん大きくなりママのお腹が張りやすく、日常生活にさまざまな負担を感じるようになるでしょう。そんなママのお腹の中で、赤ちゃんもすくすくと成長していきます。妊娠31週(8か月)頃の赤ちゃんとママの状況について、みていきましょう。
妊娠31週(8か月)の赤ちゃんの状況
妊娠31週(8か月)頃になると、赤ちゃんの運動機能と脳がますます発達していきます。赤ちゃんの大きさは、身長が40cmほど、体重は1500gぐらいまでになります。
妊娠28週:骨格が完成する
まず妊娠28週頃になると、赤ちゃんの骨格が完成してきます。
ただし頭蓋骨は「大泉門(だいせんもん)」「小泉門(しょうせんもん)」と呼ばれる骨のない部分があり、やわらかい状態のままになっています。これは、出産のときに狭い産道を通りやすくするためです。
また耳も発達して外の音が聞こえるようになります。
妊娠29週:肺呼吸の練習をしている
さらに妊娠29週頃には、赤ちゃんはママのお腹の外に出たときに外の空気を吸うために、肺呼吸の練習を始めています。肺の機能が発達していき、横隔膜を上下させて呼吸に似た動きをしています。
また心臓や腎臓などの内臓の中枢神経の機能も発達していきます。
妊娠30週:呼吸器・消化器官がほぼ完成する
妊娠8か月の後半になる妊娠30週頃には、赤ちゃんの呼吸器や消化器官がほぼ完成していきます。
また口をぱくぱくと動かして、呼吸やおっぱいを吸う練習をしている様子がうかがえるようになってきます。
妊娠31週:五感がほぼ完成する
妊娠31週頃になると、五感がほぼ完成します。ママの心拍や呼吸の音、腸の音や周囲の音を聞くことができるようになります。
またこの頃の赤ちゃんは明るさがわかるようになると考えられていますが、子宮の中にいるため光を感じることはできません。
妊娠31週(8か月)のママの状況
次にママの状況についてみてみましょう。妊娠31週(8か月)頃の子宮の大きさは、約27cmにまで成長します。
息切れ・疲れやすくなる
みぞおちの下からお腹が前に突き出すように大きくなっていきます。そのため胃や心臓などの内臓が圧迫されてしまい、ちょっとのことで疲れを感じたり息切れを起こしたりするようになります。
体が疲れるとお腹が張りやすくなる原因となりますから、疲れたときはすぐに休むようにしましょう。
胎動をますます感じる
赤ちゃんが成長していくとともに、赤ちゃんの動きもどんどん活発になって、ママが胎動を感じることも多くなっていきます。ぼこぼことお腹が動く様子に驚く方もいるかもしれません。でもこれは赤ちゃんが元気に育っているサイン。
胎動の回数やタイミングを記録していくことで、赤ちゃんの健康状態や成長を確認できることもあるので、医師から指導されることもあるでしょう。ただ、赤ちゃんに強くお腹をけられたりして、痛みや不快感を覚えるママもいます。
お腹が張りやすくなる
ママのお腹が大きくなり、表面が張っていると感じやすくなっていきます。さらにお腹の皮膚が引き伸ばされてがかゆくなってしまう人もいます。妊娠線予防のためにもお腹の保湿ケアをたっぷり行っておくといいでしょう。
また同時にむくみがひどくなる時期です。お腹が張っていると感じたり、むくみで脚がつらいと思ったりしたときは、無理せず横になって休むようにしましょう。
腰痛・背中の痛み・肩こりに悩むことも
お腹が大きくなるにつれ、腰や背中の筋肉に負担がかかり痛みを感じるママは少なくありません。お腹が大きくなって重心が後ろに行き、背中を反らすような姿勢に変わっていくことも影響していると考えられます。
またこの腰や背中の痛みをかばおうとして、肩こりになることもあります。ストレッチや適度な運動を行うようにしたり、両脚の間に枕を挟んで横向きになって寝てみたり、楽になる方法をいろいろ試してみるといいでしょう。
胸が大きくなる
妊娠中は、お腹と一緒にママの胸も大きくなっていくこともあります。妊娠31週(8か月)になると乳腺が発達して、個人差がありますが胸は2カップほど大きくなる方もいます。
マタニティブラを購入しておくと、出産後も使えるので便利でしょう。またマタニティブラの中には、ナイトブラやスポーツタイプなどもありますから、試着して気持ちよく付けられるものを選ぶといいでしょう。
妊娠31週(8か月)のママが赤ちゃんのためにできること
妊娠31週(8か月)頃のママが、赤ちゃんのためにどんなことをすればいいでしょうか?
無理をしない
お腹がどんどん大きくなることで、日常生活でもママが負担に感じることが多くなっていきます。これから出産までは、さらにマイナートラブルに見舞われる方が増えていきます。
また脚がむくんでだるさを感じることも多いでしょう。長時間立ったままや座ったままでいることがないように、頻繁に休憩を入れるなどして、今まで以上に無理をしないように気を付けることが大切です。
さらに、歩くときは足元が見えにくくなってくるので、足場が悪い場所や段差があるところなどは、特に注意しながら歩きましょう。
赤ちゃんにたくさん話しかける
妊娠31週(8か月)頃には赤ちゃんの五感がほぼ完成し、ママの声や周囲の音も聞こえるようになるとご紹介しました。赤ちゃんの聴覚が発達してくるので、ぜひ赤ちゃんにたくさん話しかけてあげましょう。
ママやパパの声を、赤ちゃんはお腹の中にいるときから覚えていきます。赤ちゃんの胎動にあわせて、ママが話しかけてあげるなどして、コミュニケーションを楽しむといいでしょう。
妊娠31週(8か月)のママが気を付けるべきこと
妊娠31週(8か月)頃のママは、次のようなことを気を付けましょう。
逆子になることも
逆子とは、通常ならママの骨盤に赤ちゃんの頭が入って下を向いた状態で育っていくところ、赤ちゃんの頭が上を向いた状態でいること。
妊娠中期頃までは3割~5割くらいが逆子と言われますが、出産後期になると自然と下を向くケースも多いです。
むくみ・静脈瘤
妊娠後期のママに起こるトラブルとして少なくないのが、むくみや静脈瘤です。むくみは、足が重く感じたり足の甲が腫れたりすることです。静脈瘤とは、静脈の流れが滞ってしまい青い痣のように見えること。
長時間立ちっぱなしの状態でいないよう気を付けて、横になったときはクッションや座布団の上に脚を置き脚を高くして寝るようにするといいでしょう。おなかが大きくなってから脚を高くするのは、難しいものです。可能な範囲でやってみてくださいね。
赤ちゃんとママの健康を第一に
ママの体への負担が大きくなっていく妊娠後期は、いよいよ出産に向けた準備も進めていかなければなりません。赤ちゃんとママが健康に過ごせるように、少しずつ休憩をとって無理のない生活を送るようにしましょう。
参考文献:病気がみえる vol.10: 産科(医療情報科学研究所)
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記事監修
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
文・構成/HugKum編集部