「MyFirstBall」とは
子どもたちがやりたいこと、好きなことに出逢うには、機会が大切。
2021年から本格的に始まった「MyFirstBall」(以下、MFB)は、プロラグビー選手である石井魁選手主導のもと、子どもたちがボールやアスリートと触れ合い、いろんなことを知れる機会を作りたいと始めたイベントです。
主催者
元々、保育に関心があり、ラグビーチームにプロとして契約するにあたって、誰かのために何かをしたい、自分が何をできるか?と考えて、「MyFirstBall」をスタート。
1993年 東京都目黒区生まれ。保善高校→東海大学→東芝ブレイブルーパス(2016~2017)→NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(2018~)/シャイニングアークス東京ベイ浦安(2021~)所属。
テーマ
「未知を知に変える機会を創る」。
石井選手は、「子どもたちに機会を作りたかった。今は多様性の時代になって、選択肢も多くなりました。でも、機会がない、知らないと、触れないままで終わってしまう。それはもったいない。ゼロをイチにする瞬間に立ち会うことがテーマのひとつです」と語ります。
対象年齢
コア年齢層は5~6歳の児童。その前後の年齢もサブ対象年齢とのことです。
実施エリア
全国の保育施設や幼稚園を対象
指導者は?
MFBは、何かを指導することを目的とした活動ではありませんが、この活動に共感して同じ想いを持って活動してくれるアスリートたちが”MFBアスリート”としてたくさん参画してくれています。
柔道、ラクロス、新体操、アメリカンフットボール、フットサル、サッカー、バスケットボール、陸上競技などさまざまな競技の選手・OB・OGがMFBアスリートになっています。
「MyFirstBall」ってどんなイベント?
筆者は子どもたちがアスリートとともに、さまざまなボールに触れられるイベント「MyFirstBall」の実際の様子を覗いて来ました。
今回は「広い場所で楽しませてあげたい」という幼稚園の意向もあり、MFBの活動を支援するパートナー企業が所有するグラウンドでの実施に。年長組総勢60人近く(※2日間に分け、総勢は100名参加)が参加されていました。
MFBで実施する内容は「5つの時間の要素」①知る時間 ②触れる時間 ③考える時間 ④自由な時間 ⑤想いを言葉にする時間、で構成されているそう。
①知る時間
バレーやラグビー、ゴルフボール。たくさん並んだボールを何のスポーツで使うかのクイズ!
ゲートボールなどはピンと来ない様子。かく言う筆者も分かりませんでした(苦笑)
②触れる時間
様々なボールに触れながら遊びます。まずは、ボールに親しむことが重要なようでした。
③考える時間
いよいよボールを使って遊びます。少人数のグループに分かれ、ルールの中でゲーム。
ゲームといっても、勝敗を競うものではありません。
④自由な時間
ボールを持って鬼ごっこをしたり、キャッチボールをしたり。
はたまたアスリートのお兄さんお姉さんにかまってもらって精一杯遊ぶ子供たち。
⑤想いを言葉にする時間
質問コーナーもあります。「なんでスポーツ選手になったの?」という子どもからの質問に対し、石井選手は「小さい時は野球をやっていて、今ラグビー選手になっている。いろいろなスポーツに出逢って楽しんでください」とメッセージを送っていました。
最後はお土産をもらって子どもたちは満面の笑顔で終了。
しかし、かつての私のように運動が苦手だったり、人の輪に入るのがしんどくなったりする子もいるのではないでしょうか。
運動が苦手な子へのケアは
主催者の石井選手にインタビューしました。
-運動や人の輪が苦手な子へのケアはどうされているのですか?
石井選手いわく「入りたくなかったり、他のことをしたかったり、それはそれで全く構わないんです。大事なのはその子が楽しいかどうか。みんなで楽しもう!ということを強制するイベントではないですから」
ちなみに、見学の保護者の方のほうに行ってしまう……というお子さんはまだいたことがないそうですが、「親御さんのところへ行ってしまっても、全然問題ないですよ!」とのことです。
引っ込み思案さんでも安心ですね。
アスリートと触れられる貴重なチャンス
今回参加された、学校法人アゼリー学園 江戸川幼稚園の東山園長は「2022年は、児童の間に新型コロナがまん延した影響で、交流行事や遠足を中止せざるを得ず、子どもたちは多くの機会を失ってしまいました。今日は外でのびのびと、思い切り遊んでいる姿が見られて良かったです」と嬉しそうに語ります。
また、竹内先生も「保護者の方も見学希望が多かったです。皆さん楽しみにしていらしていたようです」とのこと。
たくさんのボールに一度に触れる機会はなかなかなく、世界も広がるはず。また、普段接する機会が少ないアスリートの方々との交流も貴重な経験です。ゆくゆくは、全国で開催地出身のアスリートが、地元に「MyFirstBall」をやりに戻るようなこともやりたいと話す石井選手。始まったばかりのこのイベントですが、全国あちこちで行われるのも、そう遠くないかもしれません。「MyFirstBall」についてぜひ調べてみてください。
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取材・文/宇野なおみ