「起承転結」を使った文章の作り方とは? 意味や例文、英語表現も解説

「起承転結」の読み方は「きしょうてんけつ」。「起承転結」とは、話をわかりやすく伝えるための構成や順序のことです。作文やレポート、論文などにも使えるテクニックですが、ビジネスシーンには適さない場合も。今回は「起承転結」の意味や、文章の作り方などを解説します。

「起承転結」とは?

「起承転結」の読み方は「きしょうてんけつ」。「起承転結」とは、話をわかりやすく伝えるための構成や順序のことです。もともと、漢詩の型の一つ・絶句における構成方法のことをさしましたが、それが転じて、現在では「物事の順序や構成」のことをさすようになりました。

次項では、「起承転結」のそれぞれについて、おとぎ話の『桃太郎』の例をまじえながら詳しく紹介しましょう。

「起承転結」の「起」

「起」は、話の前提や背景を説明する部分です。物語の設定を伝えることで、その後に続く話の展開を理解しやすくする効果を持ちます。

・『桃太郎』では…おばあさんが川で拾った桃から、桃太郎が生まれる。

「起承転結」の「承」

「承」は、話に動きが生じる部分です。「起」の状況から何かが始まったり、「起」で説明した話を深掘りし、その後の展開へと備える内容を伝えます。

・『桃太郎』では…犬・サル・キジとともに、鬼退治に行く。

「起承転結」の「転」

「転」は、話の本題となる部分です。話が一気に展開し、もっとも盛り上がる山場といえるでしょう。

・『桃太郎』では…鬼ヶ島にて、鬼と闘う。

「起承転結」の「結」

「結」は、その漢字が示す通り、話の結末となる部分です。話のまとめやオチ、全体を通して伝えたかったことなどをここで述べます。

・『桃太郎』では…鬼に勝った桃太郎は、金銀などの宝物を持って帰り、平和に暮らす。

「起承転結」の由来・語源

先述しましたが、「起承転結」は漢詩の絶句が由来です。絶句は、文字数が限られており、短い文章でいかにわかりやすく伝えるかが重要視されていたのだとか。この絶句は、「起句」「承句」「転句」「結句」の4つで構成されます。

「起句」で、詩の内容を言い起こし、「承句」で、「起句」で受けた内容を発展。そして「転句」で、内容を転じ、「結句」で、話の全体を締めくくるのです。この「起句」「承句」「転句」「結句」の構成がもとになって、「起承転結」が生まれました。

「起承転結」のある文章の作り方

「起承転結」は、論文やレポート、プレゼンなどのほか、小学生や中学生が作文を書く際にも役立ちますよ。それぞれの文章を書くときのポイントを紹介します。

作文

作文は「起承転結」を使うと、内容がまとまるので、話が伝わりやすくなります。まず、「起」で話のテーマや、話の背景を書きましょう。続く「承」では、「起」を膨らませるイメージで、話の続きを書きます。「転」では、話の内容を少し方向転換したり、最もインパクトのある事柄を盛り込みましょう。最後の「結」で、全体のまとめを書きます。

論文

論文では、「起承転結」の「転」を省いたほうがいいでしょう。論文では、物語のように話を転じさせて、盛り上げる必要がないからです。そもそも、論文の基本的な構成は「序論」「本論」「結論」の3つ。それぞれ、「序論」が「起」の部分、「本論」が「承」の部分、「結論」が「結」の部分にあたります。

小論文

小論文では、「起承転結」の構成を使うと、説得力のある文章をつくることができます。「起」で、問題提起をし、「承」では、そのテーマに対する自分の意見を述べましょう。次の「転」では、自分の意見の説得力を高める客観的なデータや事実を提示します。最後の「結」で、自分の意見をあらためて述べ、全体を締めくくりましょう。

プレゼン

ビジネスなどにおけるプレゼンでも、「起承転結」が役立ちます。「起」では、プレゼンのテーマと、その結論を述べましょう。「承」では、そのテーマを掘り下げたり、課題についてさらに詳しく述べます。「転」で、課題の解決策の提示や、懸念事項の解消を。「結」で、「起」で述べた結論を再度示します。この「起承転結」の流れでプレゼンすると、話の内容が伝わりやすくなるので、提案が通る可能性が高くなるでしょう。

ビジネスで使う際の注意点とは?

「起承転結」は、話を伝えやすくするために役立つ構成ですが、ビジネスで使う際には注意が必要。ビジネスシーンでは、話の要点を端的かつ効率的に伝えることが重要視されているからです。「起承転結」は、聞き手を物語に引き込むために、前置きが長くなるため、最後まで聞かないと結論がわかりませんよね。

それが、ビジネスシーンでは冗長と思われてしまうのです。そのため、ビジネス文書やビジネスシーンでは、「起承転結」ではなく、まずは結論から述べるほうがいいでしょう。

使い方を例文でチェック!

続いては、「起承転結」という四字熟語を使った例文をいくつか紹介しましょう。

・起承転結を使うと、作文を書きやすいよ。
・起承転結をうまく取り入れたおかげで、プレゼンが成功した。
・起承転結ではなく、先に結論を教えてください。
・この間観た映画は、起承転結がしっかりあって、ついつい引き込まれてしまった。

類語や言い換え表現は?

「起承転結」の類義語には、「起承転合」や「ストーリー展開」などがあります。それぞれの言葉の意味を見ていきましょう。

1:起承転合

「起承転合」とは「きしょうてんごう」と読みます。あまり聞き慣れない言葉ですが、「起承転結」とまったく同じ意味の言葉です。

2:ストーリー展開

「ストーリー展開」とは、物語の進み方のことです。「起承転結」のように、明確な構成のことをさす言葉ではありませんが、「話の順序や構成」という点においては、類語として使える場合もあります。

英語表現は?

海外の人に「起承転結」を説明したい場合に使える英語を紹介しましょう。

なお「起承転結」は、日本では一般的な構成方法であり、英語圏で使われることはないようです。ただし、これから説明する英語を使えば、「起承転結」の意味は伝わるでしょう。

「起」は、「introduction(導入)」、「承」は「development(進展)」、「転」は「twist(驚くような展開)」、「結」は「conclusion(結論)」が適しています。

最後に

話をわかりやすく伝えるための構成である「起承転結」。日本では昔から使われてきたテクニックで、作文やプレゼンの際にとても役立ちますよね。しかし、当記事で説明したように、ビジネスの会話や文書では好まれない場合もあります。それぞれのシーンにあわせて、「起承転結」をうまく使い分けてみてくださいね。

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構成・文/結野雅美(京都メディアライン)

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