「子どもが言うことを聞いてくれない」に命令は✕。選択肢を与える対話とは【専門家に訊く】

『小学一年生』(小学館発行)に寄せられた読者のママ・パパのお悩みに、現役の小学校の先生がお答えします。今回は多くの家庭でのお悩み「子どもがいうことを聞いてくれない」について、親ができること・対処法について伺います。

Q:子どもが言うことを聞いてくれるようになるには?

宿題をなかなかしなかったり、「テレビを消しなさい」と言ってもずっと見続けていたり、とにかく子どもが言うことを聞いてくれません。どんなことでも、私が「やりなさい」と言ったらすぐに「はい」と返事をして行動できるようにさせたいのですが、子どもはなかなかそれができません。
ただ、言うことを聞かないからといって、容易には罰を与えたくありません。そういうことをしなくても、どうしたら私の言うことをきちんと聞いてくれるようになるでしょうか。(T・A さん)

A:選択肢を与え、子どもに決めさせるのがポイントです。

小学生になれば、親が「絶対」ではありません。自分で考えて行動できるようになります。学校という小さな社会を中心に、さまざまな世界が広がりつつある年頃です。

厳しい言い方になりますが、それを親の都合で無理に動かそうとしてはいけないと思います。親御さんはむしろ、言うことを聞かなくなった、1人で行動できるようになったのだと、その成長を喜びましょう。

それを理解された上で、どうしても言うことを聞いてもらいたいのであれば、上から目線で「やりなさい」と命令するのではなく、子ども目線まで下りて対等に会話をすることが大切です。

例えば、宿題を「やりなさい」ではなく、「いつやるの?」と尋ねます。一から決めるのが難しい場合は、選択肢を用意しましょう。「宿題は、ご飯を食べた後にする?  お風呂入ってからにする?」と尋ねれば、子どもは時間をイメージしやすくなるでしょう。「自分で決めたことだからちゃんとやろう」と、子どもにも責任感が芽生えます。

わが子を信じ、一人の人間として対等に接すること。お子さんの意思をぜひ尊重してあげてくださいね。

私がお答えしました

佐々木 陽子 先生|東京都江戸川区立大杉小学校主幹教諭
低学年の担任経験が豊富で、現在は主幹教諭として教鞭をとる傍ら、先生が読む教育雑誌『教育技術』に執筆も行う。
『小学一年生』2022年8月号別冊『HugKum』 イラスト/かまたいくよ 構成/天辰陽子

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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再構成/HugKum編集部

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