小中学校で道徳が教科になることって、知っていましたか? これまで道徳は教科外の活動でしたが、教科に格上げされました。
「えっ、そうだったの」という人もけっこういるのではないでしょうか。
そもそも道徳が教科になったのは、なぜ? 教科になって、道徳の授業はどう変わるの? など、いろいろ疑問が浮かんでくると思います。保護者のみなさんの質問や疑問に、『総合教育技術』(※)記者の高瀬康志が、“基本のキ”からお答えします。
※『総合教育技術』は、学校のリーダーや中堅の先生たちのための小学館の教育総合誌です。
目次
Q:いつから道徳の授業は始まりますか?
A:小学校は来年度、中学校は2019年度から、
全学年で「特別の教科 道徳」が始まります。教科になりましたので、検定教科書を使って授業を行います。
Q:授業の頻度はどれくらいですか?
A:今までの「道徳の時間」と同じく、週1回。
小学1年生の場合は年間34時間ですが、それ以外の場合は年間35時間の授業があります。
Q:指導するのは専任教員ですか?
A:従来通り、学級担任の先生が担当します。
Q:なぜ、道徳を教科化することになったのですか?
A:大津市で起きたいじめ自殺問題が発端になりました。
いじめ自殺問題が起きた大津市の公立中学校は、 道徳教育の実践研究推進指定校だったのです。 道徳が教科になった理由として、他教科に比べて「道徳の時間」 が軽視されがちであったことなども、 小学校学習指導要領解説には書かれています。
道徳教育をもっと実のあるもの、効果的なものにしていこう、 という声がわき上がった。 それが教科化に結びついたというわけです。
Q:道徳の授業は、どのように変わりますか?
A:「考え、議論する道徳のためです」
従来の「道徳の時間」では、読み物の登場人物の心情理解のみに偏りがちな授業が行われる風潮がありました。もっと道徳教育を効果的なものに変えていきたい。教科化にあたって文部科学省が考えたのが、「考え、議論する道徳」というキャッチフレーズです。
教え込む授業ではない、子どもたち自身が道徳的な価値を「考え、議論する道徳」の授業へと変わることをめざしています。
Q:子どもたちに何を身につけてもらうことを目標としているのですか?
A:ひと言でいえば、子どもたちの道徳性を養うことが目標です。
小学校学習指導要領には、道徳教育は「自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする」とあります。
例えば、小学校低学年では、人の気持ちを考えさせ、「してもよいことと、してはならないことがあるよ」などの基本を指導する道徳の授業が行われます。そのうえで、道徳的な価値を自分のこととして考えるための「考え、議論する道徳」を展開していくことになります。
Q:どのような評価方法になりますか?
A:数値ではなく、記述式評価で行います。
他者との比較ではなく、「児童のよい点や進歩の状況などを積極的に評価する」と小学校学習指導要領に示されています。
Q:保護者は、何をしたらいいですか?
A:まずは、こまめに学校からの情報をチェックを
学校の道徳教育について家庭や地域から理解と協力を得ることに力を入れている学校も出てきました。公開授業を積極的に行っている学校もあります。まずは、学年だよりや学級通信をこまめにチェックすることから始めてみてはどうでしょうか。
教科化される道徳について、関心を持っていただけたでしょうか。「考え、議論する道徳」って、具体的には何をするのか、興味深いですね。来年度から始まるお子さんたちの授業にぜひ注目していただきたいと思います。
(「総合教育技術」記者/高瀬康志)
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