夏休み本番で要注意! 海岸への漂着が相次ぐ「カツオノエボシ」ってどんな危険生物? 注意するのはどの地域?

カツオノエボシが打ち上がったというニュースが目立ちます。青くてきれいなので思わず手で触れたくなるものの、毒があり危険なクラゲです。
夏休みスタートで家族で海へ行く機会が増えるタイミングです。カツオノエボシとはどんなクラゲなのか、水族館の方に聞いてみました。

電気が走ったような痛みを伴う電気クラゲ

カツオノエボシとはユニークな名前ですが、この名前の由来はどこからきているのでしょうか。

公益財団法人 黒潮生物研究所のホームページに「カツオが捕れる場所に生息し、烏帽子のような形をしている」ことから、カツオノエボシと呼ばれるようになったと書かれています。この点について加茂水族館に確認すると、記述のとおりだとの話。

『小学館の図鑑NEO危険生物』には「デンキクラゲ」という別名も記載されています。「電気が走ったような痛みを伴うことから、西日本では電気クラゲと呼ばれている」と黒潮生物研究所のホームページにも書かれていて、この点についてもまったくその通りと加茂水族館に「裏取り」ができました。

海岸に打ち寄せられたカツオノエボシ

 

カツオノエボシに注意したいのは、日本だと太平洋沿岸、琉球列島に暮らす人たちだと考えられます。そもそもの生息地が、

<太平洋沿岸、琉球列島/世界の暖海>(『小学館の図鑑NEO危険生物』より引用)

とされていて、風向きによって、浮き袋で海面に浮かびながら春から夏に沿岸や海辺に押し寄せてくるそう。加茂水族館の学芸員の方に聞くと、

「日本海側での漂着例は報告がないようです。もちろん庄内浜(加茂水族館のある山形県沿岸)でもありません」

との話。今回の取材では、筆者が暮らす日本海側の、別の水族館の学芸員さんにも話を聞いてみたところ、

「クラゲの専門ではない上、日本海側には現れないクラゲなので語れません」

との回答があり、図鑑情報以上の話は教えてもらえなかったのですが、逆を言えば、日本海側には基本的に漂着しない生き物だと分かります。

となると、カツオノエボシに特に注意したい人たちは、太平洋側に暮らしている、あるいは太平洋側の海に出掛ける予定の家族連れだと覚えておきたいですね。

アメリカでは死亡例も

毒クラゲの触手

 

強い毒を持つカツオノエボシに刺されると、どのような状態になってしまうのでしょうか。

デンキクラゲと言われるように、電気が走ったような激しい痛みがあり、場合によっては呼吸が苦しくなる、けいれんが起きる、吐き気が起きると『小学館の図鑑NEO危険生物』に書かれています。

アメリカでは死亡例もあると書かれています。国内では死亡例が確認されていないのか加茂水族館に聞くと、

「(情報源こそ確認できないものの)国内でも死亡例があるという話も」

との回答でした。

しかも、毒を持った触手の長さにも注意です。10mを超える(『小学館の図鑑NEO危険生物』より)、場合によっては50mに達する(加茂水族館とは別の水族館が調べてくれた図鑑より)などで、浮き袋で浮遊する姿が近くに見えなくても、刺される危険性が十分にあるのですね。

今の時代は、自治体やビーチがカツオノエボシの漂着情報を発信しています。併せて、クラゲネットの設置情報をインターネット上で公開しているビーチも少なくありません。小さい子どもを初めて海に連れていくといったケースでは、クラゲネットのあるビーチを選ぶと安心かもしれませんね。

カツオノエボシはヒドロ虫の群体

余談ですが、カツオノエボシは、ミズクラゲなど一般的なクラゲとは分類的に大きく異なるそうです。生物は「界門綱目科属種(かいもんこうもくかぞくしゅ)」で分類されています。ミズクラゲとカツオノエボシは「刺胞動物門」と「門」(2番目)までは一緒ながら、前者は「鉢虫綱」、後者は「ヒドロ虫綱」と「網」のレベルで早々に分類が異なる生き物です。

詳しく聞けば、カツオノエボシは1つの生き物に見えて、同じ遺伝子をもつヒドロ虫(役割の異なる個虫)が集まってできたクラゲ(群体)なのだとか。なんだか、余計に怖く感じますが、夏休みの自由研究のテーマに困っているご家庭があれば、カツオノエボシを研究テーマに選んでみると時節にも合っていいかもしれませんね。

ただし、浜辺で見つけても、絶対に素手で触れないようにしてください。

 

【取材協力】加茂水族館
常時70種前後のクラゲを展示する世界最大級のクラゲ水族館。直径5mのクラゲ大水槽「クラゲドリームシアター」は必見。地元庄内の海や川の生き物を展示する他、アシカやアザラシを見ることもできる。
公式サイト

【参考】小学館の図鑑NEO危険生物

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