「紆余曲折」はどう使う? 「試行錯誤」との違い、意味や例文、英語も紹介

「紆余曲折」とは、「道や川などが曲がりくねっていること」「物事がうまく進まず、複雑な経過をたどること」という意味の四字熟語です。込み入った事情や背景などがあり、困難な道を辿るようすをあらわします。今回は、「紆余曲折」について、使い方や類語、英語表現まで解説しましょう。

「紆余曲折」とは?

「紆余曲折」とは、「さまざまな事情が込み入っていて、物事がうまく運ばないこと」や、「大変な道のりをたどること」をあらわす四字熟語です。さっそく、言葉の読み方や語源を見ていきましょう。

読み方と意味

「紆余曲折」の読み方は、「うよきょくせつ」です。意味は、「道や川などが曲がりくねっていること」「物事がうまく進まず、複雑な経過をたどること」。後者の意味で使われることが多く、込み入った事情や背景などがあり、困難な道を辿るようすをあらわす言葉です。

例えば、波乱万丈な人生を「紆余曲折のある人生」、試行錯誤やトラブルを乗り越えてできた商品を「紆余曲折を経て完成した商品」などと言います。

由来・語源

「紆余曲折」の「紆余」とは、「うねり曲がっていること」をあらわします。そもそも、「紆」も「余」も、川や丘などが曲がりくねっているという意味があるのです。また、「曲折」も「曲がりくねること」「込み入った事情」という意味があります。

このように、「紆余曲折」は、曲がりくねっているという意味を持つ2つの熟語で成り立っている四字熟語です。

使い方を例文でチェック!

「紆余曲折」は、言葉では説明できないほど大変な道のりをあらわす際に使える言葉です。ここでは、日常生活からビジネスまで、色々なシーンで使える例文を紹介します。

1:さまざまな苦難があり、紆余曲折の人生でした。

「紆余曲折の人生」「紆余曲折のあった人生」という表現で、さまざまな苦難や状況の変化が続き、順調に進まない人生のことをあらわします。思いがけない事故や病気、会社や仕事のトラブルなどがあり、大変な道のりだった人生は、まさに「紆余曲折の人生」といえるでしょう。

2:紆余曲折あったが、子どもは立派な大人に成長した。

「紆余曲折ある」は、「色々な状況や環境の変化があるようす」をあらわす表現です。特に思春期の頃は、親に反発したり、友だちと些細なことで揉めたり、親の悩みも増えますよね。しかし、思春期の大変な時期を乗り越えて、立派な大人に成長したときには、感動もひとしおでしょう。そんな感慨を「紆余曲折」にこめた表現ですね。

3:途中で挫けそうになったが、紆余曲折を経てようやく目標を達成した。

「紆余曲折を経て」という表現で、「複雑な状況や道のりを経て」という意味をあらわします。特に「紆余曲折を経て」は、ビジネスシーンで、何か目標を達成した時に周囲への感謝をあらわす場面で使われることが多いです。なお、「紆余曲折を経て」は、「紆余曲折の末」と言い換えても同じ意味で使えます。

類語や言い換え表現は?

「紆余曲折」の類義語には「試行錯誤」「多事多難」「二転三転」などの四字熟語があります。それぞれの言葉の意味や、「紆余曲折」との違いについても見ていきましょう。

1:試行錯誤

「紆余曲折」と似たような言葉には「試行錯誤」があります。「試行錯誤」とは「しこうさくご」と読み、「さまざまな方法を試し、失敗を重ねながら、解決を目指す」という意味。目的を達成するために、数々の失敗を繰り返しながらも少しずつ前進していくようすをあらわす言葉です。

困難な道のりを歩んでいるようすは、「紆余曲折」と似ていますが、「試行錯誤」には自主的に改善を行うニュアンスが含まれています。「紆余曲折」は、「複雑な経過をたどること」をあらわすだけで、自ら努力をするというニュアンスは含まれませんので、その点が違いといえるでしょう。

2:多事多難

「多事多難」の読み方は、「たじたなん」。「事件や災難が多く、世間が騒がしいこと」という意味の「多事」、「困難や災難が多いこと」という意味の「多難」をあわせた四字熟語で、「事件が多く、困難が続くこと」を意味します。同じような意味の熟語を組み合わせることで、災難が多いことを強調しているのです。

3:二転三転

「二転三転」は「にてんさんてん」と読み、「物事の内容や状態などが、ころころ変わること」という意味。状況などのほか、人の発言や態度についても使うことができますよ。例えば、意見がころころ変わることを「言うことが二転三転していた」と言います。

対義語は?

「曲がりくねっていて複雑な道をたどること」という意味の「紆余曲折」。反対の意味は、「困難などがなく、物事がうまく進むこと」になりますので、そのような意味を持つ言葉を紹介します。

1:順調

「順調」は、馴染みのある言葉ですよね。あらためて意味をおさらいしておきましょう。「順調」とは、「物事が滞りなく進むこと」。トラブルなどがなく、物事が調子よく進むようすをあらわします。例えば、問題なく物事が進んでいるかを聞きたい時には、「学校生活は順調ですか」「仕事は順調ですか」などと言ってみましょう。

2:順風満帆

「順風満帆」は「じゅんぷうまんぽ」と読んでしまいそうになりますが、正しくは「じゅんぷうまんぱん」です。「順風」とは、「船が進む方向に吹く追い風」のこと。「満帆」とは、「船の帆が風で膨らむこと」。つまり「物事が思い通りに進むこと」を意味する四字熟語です。困難やトラブルなどがなく、順調なようすをあらわすので、まさに「紆余曲折」と反対の言葉といえますね。

3:つつがない

「つつがない」とは、「事件や災難がなく無事なこと」という意味。「つつがない」を漢字で書くと「恙無い」で、この「恙(つつが)」とは「病気などの災難」を意味します。「病気などの災難」が「無い」ということで、平穏な状態をあらわすのです。

英語表現は?

「紆余曲折」を英語で言いたい場合には、「twists and turns」を使ってみましょう。「twist」は「ねじれ」「曲がり」などの意味を持ち、「turn」は「転回」「曲がり角」などの意味を持ちます。曲がりくねっているようすがとても伝わる表現ですね。そのほか、「込み入っていること」をあらわす「complications」も「紆余曲折」の英語表現にぴったりです。日常生活やビジネスシーンでも使える例文を下記に紹介します。

・She had so many twists and turns.(彼女には紆余曲折があった)
・The product was finally completed after many complications.(製品は紆余曲折を経てようやく完成した)

最後に

「物事がうまく進まず、複雑な経過をたどること」という意味の「紆余曲折」。くねくねと曲がりくねった道を歩むようすをイメージすると、「紆余曲折」のニュアンスがつかめるのではないでしょうか。状況がころころと変わり、困難な道のりを歩んできた時に、「紆余曲折」を使ってみてくださいね。

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構成・文/結野雅美(京都メディアライン)

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