「おもちゃを乱暴に扱う、すぐ飽きる…モノを大事にさせたいのですが」【保育経験41年・元園長先生の相談室1】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

3歳の男の子です。玩具を乱暴に扱ったり、買ってあげてもすぐに飽きてほったらかしにする傾向があります。モノを大事にする習慣をつけさせたいのですが、どのようにしたらいいでしょう。(北海道 S・Yさん)

まず大人の対応に問題がないか、確認してみましょう

子どもの言動は、ふだんのおうちの方の言動を反映していることが多いものです。子どもがモノを大事にしない場合は、まず、お父さんやお母さんの言動に問題がないか、ふりかえってみてください。

例えば、ごはんの残りものを子どもの見ている前で安易に捨ててしまったり、「百円均一ショップで買ったものだからいいか」などと言ってモノを処分したりしていませんか。そうした親の行動やつぶやきを、子どもは案外しっかり見ていて真似します。

そういうことがないように、当園では給食が残っても、子どもの前では捨てないで、担任がビニール袋に入れて職員室へ持ち帰り、可能な限り誰かが食べるようにしています。

子どもにモノを大事にさせたいと願うのなら、その願いと日常の自分の行動がズレていないかを考えてみましょう。

子供がすぐに玩具(おもちゃ)に飽きてしまうときは

玩具にすぐに飽きてしまうような場合は、その玩具が子どもの発達具合に適したものかどうかも重要です。子どもがねだって手に入れた玩具であっても、その子の発達より高度な知識や技が必要なものは、うまく遊ぶことができないので、結果として遊ばなくなります。また、発達に適した玩具であっても、遊びが広げられずに、奥の浅い遊びしか楽しめない玩具というのも、すぐに飽きてしまうものです。与えた玩具が適切なものかどうか見直すことも大切です。

そうして適した玩具を与えていても、幼児の場合、気持ちにムラがあるので、飽きてしまうこともあります。もし使わなくなったなら、その玩具を思い切ってしまい、時間をおいてから再び与えてみるといいと思います。しばらく時間をおくことで、意外とその玩具になじんで遊ぶようになります。

 

「壊すことが楽しい」そんな時期もあります

また、3歳ぐらいの子どもでは、モノを壊すことにしきりに興味がいく時期もあります。そんなときには、玩具を与えるのではなく、新聞紙を破かせたり、段ボール箱を壊させたり、ペットボトルを与えて空箱を叩かせたりして、子どもの破壊衝動を満たしてあげるといいと思います。一定期間、そうしたことに熱中すると、やがて、子どもは次の発達段階の遊びへと移行していきます。

以上のような対応をしたうえで、ぜひお子さんに伝えてほしいのは、「生きものに命があるように、モノにも〝価値〟という命がある」ことです。

例えば、祖父母が子どもに贈ってくれた玩具を大事にしないようなときは、ただ叱るのではなく、「これはお婆ちゃんが、あなたが喜ぶと思って、わざわざ買ってきてくれたのよ」と話してあげるのです。すると、モノの背景には、そのモノにまつわる人の思いや物語があることがわかります。

お金やモノに対する価値観は、人それぞれで異なりますが、モノの価値というのは、単純に値段で判断するものではないことを子どもに教えることは親の義務だと思います。そして、その教えは幼いころから繰り返し伝えることで、しっかり伝わります。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

 

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構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2016年5月号

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