幼児期の英語教育は必要?大事な心がけとは【保育経験41年・元園長先生の相談室2】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

小学校での英語教育の導入が、今後どんどん進むと聞きました。それに備えて、幼児期から英会話教室などの習い事をさせたほうがいいのでしょうか? (栃木県 H・Kさん)

外国人と交流できる楽しい道具として英語を実感させる

子どもに英語を学ばせようとすると、お母さん方は自分の子どものころを思い起こして、単語を覚えたり、アルファベットの読み書きをする“お勉強”としてとらえがちです。

しかし、幼児期はそうした“お勉強”ではなく、英語を聞いたり、話したりする楽しさを実感させることが重要です。英語を使う楽しさを小さいうちから実感しておくことで、小学校から英語を学ぶときの意欲が高まるからです。

当園でも昨年からネイティブの外国人の先生に来てもらい、英語に触れる時間を3歳のクラスから設けています。年齢クラス別に、週に1度、外国人の先生が朝の登園時から園児を迎えて遊び、ランチを食べ、子どもたちが帰るまで保育者と同じ立場で一緒に過ごしています。

年少クラスは、10分間ほどですが、少人数で英語の一斉活動を行っています。一斉活動では外国人の先生は日本語を理解しているのですが、どんなときも話すのは英語だけ。当然、園児たちは、最初は英語がわかりません。

でも、触れ合っていくうちに、先生のジェスチャーや表情で、「ああ、こんなことを伝えようとしているんだな」ということが徐々にわかってくるのです。そして、子どもたちは気持ちが通じ合うことの安心感や、楽しさを実感して、外国人も同じ人間なんだということを知り、そのことで大きな満足感を得ています。

この満足感や楽しさが幼児の英語教育には大事なのです。冒頭でも述べましたが、それがのちのち英語を“お勉強”として学ぶとき「もっと知りたい。頑張ろう」という意欲につながるからです。幼児期に英語をお子さんに学ばせたいなら、この点を重視して教室選びをしてほしいと思います。

習い事をするときの基本は「結果をすぐに求めない」

また、幼児期に子どもを英語教室に通わせるなら、もうひとつ頭に留めておいてほしいのが、結果をすぐに求めないことです。英語教育に限らず、幼児の習い事で大事なのは、技術の上達より、その習い事をいかに好きになれるかという点です。

園児たちを見ていると、英語を使う楽しさを知ると、どの子も自然に英語を覚え、それを園や家庭で使うようになっていきます。子どもの耳は私たち大人と違い、素直で実に優秀で、発音も素晴らしいんですよね。幼いうちから物事に対する意欲や人の話をきちんと聴くという気持ちを育てておく重要性を日々実感しています。

だから、お母さん方もお子さんが英語に興味を抱いたなら、それを後押しするような言葉かけをしてほしいと思います。子どもが英語を話したなら、ぜひ「すごいね」と褒めてあげてください。

2020年の大学入試の改革を目指して、日本では英語教育に今後ますます力を入れていくと思われます。大学の幼児教育の分野にも「保育英語」が登場しているくらいです。そうした意味からも早いうちからお子さんに英語に触れさせるのは悪いことではないと思います。楽しく英語に触れさせてあげてください。

 

回答してくださったのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

 

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構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2015年9月号

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