「園でみんなで遊んでいるときに、邪魔ばかりしている我が子…どうしたら?」【保育経験41年・元園長先生の相談室7】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

今年の春から年中になった男の子です。園生活を送る中で、みんなで遊んでいるときに、邪魔ばかりしていると、同じクラスのお友だちから聞きました。どうしたらいいでしょう。(沖縄県 Y・Sさん)

 

ある意味、どの子も通る成長過程の道すじです

年少児の場合、園で先生と一緒にみんなで鬼ごっこやゲームなどをしているときに「何して遊んでいるんだよー」と大声で叫んで入ってきたり、いきなり先生に飛びついたりして、遊びを中断させるのは、ある程度は仕方ありません。なぜなら周囲で起こっている事実関係や状況を、まだ理解できていないことが多いからです。

それが年中児ぐらいになると、認知機能が高まるので、周囲の状況は、ある程度理解できるようになります。しかし、それとともに仲間意識がめばえ、「友だちと~したい」という思いが膨らんできます。そのため、自分の思いがうまく伝わらなかったり、受け入れてもらえなかったりすると、不安やくやしい思いがわいてきて、その思いをお友だちや先生にぶつけてしまうことがあります。相談者のお子さんの行動は、そうした成長過程の中で、そんな思いが溢れ出てしまった結果ではないでしょうか。

しかし、そうした行動は長くは続きません。集団生活を積み重ねながらさらに成長していくと、子どもは自分がそうした行為をしたとき、周りの人間がどんな気持ちを抱き、自分がどんな立場に置かれるかがわかるようになるからです。また、成長するに従って、気持ちのコントロールもある程度できるようになりますので、自分の思い通りにいかない状況に陥っても、気持ちを切り替えて、友だちに合わせて遊べるようにもなります。

ですから、相談者のお母さんは、あまり神経質にならずに、お子さんの成長の後押しをしていただけたらと思います。

子どもの思いを受け止め具体的なアドバイスを

まずすべきは、事実確認です。園でそうした行為を本当に繰り返しているのかを、担任の先生に聞いてみてください。幼児期の子どもの認知機能は未熟なので、お友だちの言ったことが案外勘違いだったということもあります。

そして、もしお子さんの行動がある程度事実であったなら、お子さんの気持ちをきちんと受け止めたうえで、どういう行動をするのが望ましいのかを具体的に伝えてあげてください。

「あなたの気持ちはとってもわかる。でも、次からは我慢して、一緒に遊んでみてはどう。もしかしたらおもしろいかもよ」「お母さんも同じようなことがあったからわかる。くやしいよね。でも嫌ならば『嫌だ』と言って、『〇〇がしたい』と伝えてみてはどうかな」というふうに、行動の仕方や気持ちの表し方を繰り返し伝えてあげるのです。

おうちの方にこのように気持ちを受け止めてもらい、アドバイスをもらった子どもは、社会性を徐々に身につけて、幅広い人間関係を築くことができるようになります。また、将来仲間とうまくいかなくなったとき、その問題から逃げずに対応する力も身につけることができます。

親の実体験や価値観を踏まえながら交わす、こうした子どもとの日常のやりとりが、子育ての醍醐味です。やがて、それはお子さんの生きていく力や軸となるからです。そして、それが家庭でしかできない教育で、しつけなのだと思います。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2018年9月号

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