算数が苦手なまま、現在小学4年生……もう苦手を克服するには手遅れですか?【算数教育のプロに相談】

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算数への苦手意識は、どのくらいの年齢で定着してしまうのでしょうか。またその克服法は?
タブレット教材を展開する RISU Japan 代表で『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』の著者・今木智隆さんに伺いました。

「うちの子、算数がちょっと苦手かも?」少し頭をよぎったけれど、「まだ低学年だから」「そのうちできるかもしれないし」と深く気にしないでいたら、いつの間にか小学4年生!?
やっぱり算数が苦手かも!……って、今頃になって気付いても、もしかしてもう手遅れですか?

算数の苦手を克服するには、何年生までに取り組むべきでしょうか。

算数の苦手を克服したい! 4年生なら間に合います!

算数は、低学年のうちは問題の本質をちゃんと理解していないままでも、何となく正解できたり、テストでもそこそこ悪くない点数が取れてしまうという困った特徴があります。

お子さんもまだ「わからなくて困る」という実感がないので平気な様子でいますし、おうちの方が答案用紙を見ても、どこがわかっていてどこが理解できていないのか、見分けるのは至難の業ですよね。

小学校のテストでは理解力が分かりにくい

小学校で習う算数は、1つの単元が終わるたびに内容がまったく違う話に飛びます。先週まで計算を習っていて、テストが済んだら今週は急に時計の話、という具合です。

そうなると、計算のテストで少し点数が悪くても、次のテストで100点が取れたりすると、成績表もそれなりに悪くなくて……というふうに、おうちの人にとっては、子どもの算数に対する理解力がどの程度か読み取りにくいのです。

4年生の頃になり、だんだんと問題が複雑になるにつれて、「やっぱりうちの子は算数が苦手なようだ」「わかっていそうに見えて、怪しいぞ」と気が付くことも多いです。

年齢的に今から苦手を克服するのは間に合うのかと心配されるかもしれませんが、大丈夫です。4年生なら間に合います。

算数の平均点が下がるのは5年生から

実は、統計では、算数の平均点は5年生から全体にぐっと押し下がってくる傾向にあります。5年生になると、問題を解くために必要な力がより高度になるのです。

5年生になると、どう大変になる?

5年生になると、だんだん複合問題が増えてきます。これまでは計算して答えを導けば終わりだった問題が、導いた答えを使ってさらに別の答えを導くといったように、2段階、3段階の答えを出さなければいけない問題になるのです。1問1問を理解するためにかかる時間も増えるため、苦手な分野が残っていると一気に辛くなってしまいます。

単位を揃える、位を合わせるというような、低学年のうちは「そのこと自体が単元」だった内容が、高学年になると問題を解くための「前提」となり、それをした上で問題を解き始める“スタートライン”に変化します。基本を理解できていない子にとっては、ここが大きなハードルとなるのです。

3年生まで苦手な単元がない子も要注意!

3年生まで特に苦手な単元がないままスムーズに進んでいた子も、このまま問題ないだろうと安心するのは危険です。

4年生で習う小数・分数や四捨五入は苦手意識を持ちやすい単元です。位の概念があやふやなお子さんは、四捨五入で苦手にとどめを刺されることがあります。

ただ、このように「位の概念があやふやだから苦手なんだ!」と理由がわかれば、対策を打つことができるようになります。

では、算数の苦手はどのようにすれば克服できるでしょうか。3つのポイントをお伝えします。

算数の苦手を克服する3つのポイント

4年生からでも、算数の苦手克服は間に合います。

お子さんはきっと、算数自体にあまり楽しくない、好きではない印象を持っているでしょうから、次のような方法で苦手な気持ちを整理してみてはいかがでしょうか。

苦手な「単元」を見極めるべし

一言で算数といっても、その内容は多岐に渡ります。まずはお子さんと、どの単元が苦手なのか探ってみるところから始めましょう。

そこでおすすめなのは、「算数検定」を受けてみることです。検定と聞くと「うちの子は苦手なのにとんでもない!」と思うかもしれませんが、お子さんの得意・苦手を判別したり、今後の勉強の指針とするためにとても役立つものです。

検定を受けてみると、きっと、お子さんは全部の単元が同じように苦手なわけではないことがわかります。得意が見つかれば自信が持てますし、苦手が見つかれば対策ができます。

例えば、計算は苦手だけど図形問題は得意!  これがわかっただけでも、その子にとっては算数に付きまとう苦手意識が少し変わると思いませんか?

算数検定は、お子さんの学年に合った級を選ぶことが大切です。一度HPを覗いてみてはいかがでしょうか。

参考サイト:数学検定・算数検定公式サイト

算数検定6級の個別成績票サンプル 表面(左)裏面(右)

画像提供:公益財団法人 日本数学検定協会

苦手な単元は思い切って学年を超えて戻るべし

お子さんの苦手な単元がわかったら、思い切って学年を超えて戻ることが大切です。

小学校の算数は、分野ごとに連続して習う仕組みになっていないので、例えば3年の3学期に苦手に気付いたとき、2学期、1学期に習ったことへ戻る方法はあまり効率的ではありません。位の概念があやふやなら、1年生の『1が10個集まって十の位が1になる』ところまで戻ったっていいのです。

学年を超えて大きく戻ることはすごく遠回りをしているように見えますが、実は苦手克服への近道なのです。

お子さんは3年生なのに1年生の問題をやるなんて恥ずかしい、と思うかもしれません。ですので、あくまで苦手な単元について「位が苦手みたいだから、もう一度ポイントを確認してみようか」というように、おうちの方は「1年生から全部やり直し」と思わせないような前向きな声掛けをしてあげてください。

「思案中」は急かさず見守るべし

「算数が得意」とはどういった状態のことを指すでしょうか。

よくある誤った認識に「算数が得意とは問題が速く解けること」だという考え方があります。確かに、計算ドリルでつまずくことなく、パッパッと問題を解いているお子さんの姿を見れば、おうちの方は安心するかもしれません。

計算が速いのは素晴らしいことですが、反対に遅い場合でも、それが苦手な証拠とは限らないのです。実はお子さんは、問題の意図をゆっくりじっくり考えることが得意なタイプかもしれません。高学年で多くなる複合問題では、その丁寧な姿勢が強みになることもあるのです。

速く答えを出そうとする子は、早とちりをして誤答が増えることもあります。一概にどちらが良いとは言えないのです。

お子さんが深く考えているときに、おうちの方がしびれを切らして「もっと速く」「なぜ手を止めているの?」と急かす場面はないでしょうか。お子さんが思案中のときは、急かさず様子を見守ることも大切です。

得意な単元はどう活かす?

算数を単元別に考えることでどの単元が苦手かを見極め、苦手な単元は基本へ大胆に戻ることをお伝えしましたが、この方法を試すことで「得意な単元」が見つかることもあるでしょう。

そんなときは、お子さんと得意な単元を共有し、すごいね、バッチリだねと褒めてあげてください。

得意な単元は本人にとって自信が持てるポイントになります。得意な単元があることで、他の単元も「理解すれば得意になれる」と前向きな気持ちで学ぶことができます。得意な単元は算数全体が嫌いだと思う気持ちの克服に、大いに役立てましょう。

得意と苦手を別々に考えることが、算数全体を苦手にしないコツ!

今回は、4年生でも算数の苦手克服は十分間に合うことをお伝えしました。

5年生6年生になっても、苦手克服の方法は同じです。まずは算数検定などを利用して得意な単元、苦手な単元を見極めて、苦手な単元は低学年まで大胆に戻ってみる方法が、苦手克服の近道です。

低学年のうちは理解できなかったことも、高学年になって戻ってみればあっさり理解できて解決することもあります。算数全体に苦手意識を持つ前に、単元ごとの振り返りをしてみてはいかがでしょうか。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉

「RISU算数」はひとりひとりの学習データを分析し、最適な問題を出題するタブレット教材。タイミングの良い復習や、つまずいた際には動画での解説の配信を行うことにより、苦手を克服し得意を伸ばします。

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構成/HugKum編集部

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