山寺宏一が生田絵梨花を称賛!オナラと昭和ギャグ満載の「劇場版かいけつゾロリ」が公開

累計発行部数3500万部を超えるロングセラー「かいけつゾロリ」シリーズ。その記念すべき35周年となる今年、12月9日(金)に『映画かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう』が劇場公開されました。

主役のゾロリの声を務める山寺宏一さんに単独インタビューしました。

ゾロリがギネス世界記録に認定!

『かいけつゾロリ』作者の原ゆたかさんが、が先日「同一作者によって物語とイラストが執筆された単一児童書シリーズの最多巻数でギネス世界記録に認定されたました。1987年に誕生して、2022年に35周年を迎えた『かいけつゾロリ』。2022年10月24日認定時の巻数は71巻で、累計発行部数は3,500万部を突破しています。

絶好の追い風に乗って公開される本作。この冬は『かいけつゾロリ』がアツいですよ!!

©2022 原ゆたか/ポプラ社, 映画かいけつゾロリ製作委員会

 

今回のヒロインは天性の歌声を持つカバの女の子、ヒポポ

原作をベースに、ゾロリやイシシ・ノシシらはもちろん、テレビシリーズの人気キャラクターたちも総出演するオリジナルストーリーが展開します。いたずらの天才・ゾロリは、歌手をめざす女の子・ヒポポの歌声にひかれ、1ヵ月後におこなわれる<次世代スターオーディション>に合格し、デビューさせようとするが、ある理由から、ヒポポは大きな声で歌えなくなっていました。作戦を思いついたゾロリは、イシシやノシシ、仲間の妖怪たちに協力してもらいながら、ヒポポを特訓することに……。

©2022 原ゆたか/ポプラ社, 映画かいけつゾロリ製作委員会

子どものころに出会いたかったゾロリシリーズ!

そんなゾロリを演じるのは、もちろん山寺宏一。2004年のアニメーションでゾロリに声を吹き込んでから流れた歳月は、なんと18年。自身にとっても「特別な存在」という本シリーズへの熱い思いや、自身の幼少期の思い出、作品の魅力などを語ります。

©2022 原ゆたか/ポプラ社, 映画かいけつゾロリ製作委員会

――2004年からゾロリの声を務めて、今年で18年になりました。

山寺:当初はこんなに長く演じさせていただけるなんて思っていなかったですね。僕にとっては本当に大切な作品でありキャラクターです。僕は小学生のとき本を読むのが苦手な子どもだったので、そのときに「かいけつゾロリ」シリーズと出会っていれば、もっと本好きになっていたかなと思うんです。原ゆたか先生ともう少し年が離れていれば良かったんですけれどね(笑)。

でも、アニメがスタートした時に生まれた子どもももう成人して、どんどんゾロリチルドレンが増えていっていますね。またこの作品からゾロリに触れるお子さんもいるから、ずっとその流れが続いていくんでしょうね。私もプライベートで最近、小さい甥っ子ができたのですが、ゾロリが大好きで会うと「ゾロリやって!」と言われるので、全力でやっています(笑)。

 

――最新作となる劇場版映画の台本を読まれたときは、どんな印象を持ちましたか?

山寺:ゾロリが最初にアニメ化されたときから、原先生は毎週スタジオに足を運んでくださっていて、収録が終わったあとよくご飯を食べに行っていたんです。そのときにストーリーのアイデアなどもお話してくださっていて、そこで今回の映画の元になった原作のストーリーも聞いていました。だから「あの話が映画化されるんだ」とワクワクしました。台本を読んで、ゾロリらしい楽しい作品だなと思う一方で、映像化するには難しい作品だなとも思いました。

ピュアな中に芯のあるヒポポを演じる生田絵梨花はハマり役!

©2022 原ゆたか/ポプラ社, 映画かいけつゾロリ製作委員会

――今作のどんなところが難しいと思われたのですか?

山寺:アニメならではのキャラクターを含め、登場するキャラも多くにぎやかな展開だったのと、ミュージカル調の歌や踊りなども、表現するのはなかなか難易度が高そうだと思ったんです。特にヒポポは、お芝居はもちろん歌も比重が大きく大変だろうなと思いました。誰がやっても難しい役だなと思っていたのですが、演じるのが生田絵梨花さんと聞いて、いままでの経歴を含めてピッタリだなと。

――生田さんのお芝居はいかがでしたか?

山寺:見事でしたね。びっくりしました。音響監督はアニメ界で一番厳しいと言われている三間雅文さんですからね。今回はコロナ禍だったので収録はご一緒できなかったのですが、本当にお上手で、三間さんに「どうでしたか?」と聞いたら「堂々としていて素晴らしかった」って言っていました

ヒポポは、最初はコンプレックスを抱えた自分に自信が持てない役でしたが、そんな自信のなさやピュアさ、可愛さなどいろいろな感情を見事に演じていました。僕の想像を何倍も超えて膨らんだキャラクターを作られていましたね。

――そんなヒポポを導くのがゾロリでした。

山寺:そうなんですよ!生田さんのお芝居を引き出したのが僕なんです!って言いたいのですが、今回は別々に収録したんでね(笑)。

――後半のミュージカル調のシーンもすごく臨場感がありました。

山寺:やっぱり素晴らしい音楽でしたよね。田中公平先生のすごさを改めて感じました。いままで数々の名曲を書かれていますが、3つの歌が一緒にシンクロしていく展開などは、演じる方は難しかったですが、素敵な仕上がりになっていると思うので、ぜひ劇場の素晴らしい音響で堪能してもらいたいですね。

 

引っ込み思案だった山寺少年を変えた小学3年生の出来事

――素敵な映像と音楽はもちろんですが、ヒポポのコンプレックスなど、いまの時代にあったメッセージ性も強く感じる作品でした。

山寺:オナラと昭和ギャグ満載で、原先生のサービス精神が散りばめられている作品ですが、今回は強いメッセージを感じました。僕も小さいころは、家族の前では陽気に歌ったりしゃべったりできたのですが、他人の前では一切できなくなってしまう子だったんです。だからヒポポのコンプレックスはすごく分かりました

特にいまはコロナ禍で子どもたちは、友達と“密”になることがなかなかできないじゃないですか。より引っ込み思案になる子もいると思うので、ゾロリを観て、なにか一歩を踏み出す勇気になってもらえたら嬉しいですね。

©2022 原ゆたか/ポプラ社, 映画かいけつゾロリ製作委員会

――引っ込み思案の性格は、何をきっかけに変化したのでしょうか?

山寺:小学3年生ぐらいのとき、クラスのお楽しみ会でお芝居がかったことをすることになり、いろいろな声を出したんです。僕は幼稚園のときから動物やアニメのキャラクターの声をマネして家でやっていたのですが、人前ではできなかったんです。

でも3年生のときのクラスが、ちょっと馬鹿なことでもやりやすい環境だったので、僕もやってみたら、みんながすごく喜んでくれて。その後転校してしまった女の子がクラスのみんなに手紙をくれたとき、そこに「山寺くんはいろいろな声で楽しませてくれた」と書いてくれたんです。そのときに「これは自分の個性なんだ」と思ったのを覚えていますね。

――それが今のお仕事に結びついているというのは、すごく素敵ですね。

山寺:そうですね。考えてみるとあのお楽しみ会が僕のルーツになっているのかなと思います。でも大人になると、もっとうまい人たちが出てきて……。僕はとんねるずさんや柳沢慎吾さんと同年代なのですが、彼らがテレビで活躍するのを見て「俺なんかダメだな。東京にはこんなにすごい人たちがたくさんいるんだ」と芸人はあきらめたんです。そこから落語研究会に入っていろいろ勉強したものを持って俳優養成所に入ったら、そこでも声を褒められ、いまの仕事に就いたという感じですね。

©2022 原ゆたか/ポプラ社, 映画かいけつゾロリ製作委員会

――山寺さんは、声という武器を持って歩んできた人生なんですね。

山寺:いまだに喉の調子が悪くなって思うように声が出せなくなると、ものすごく落ち込みます。もちろん経験を積んでいるので、このぐらいの状態なら、どのぐらい喉を休めれば治るみたいなことは分かっているのですが、でも「このまま声が出なくなってしまったら……」と考えて、不安になってしまうこともあります。

 

大切なことは、心から表現すること

――ゾロリは自信のなかったヒポポに勇気を与えます。

山寺:もともとはお金儲けをしようとヒポポに近づいたゾロリなのですが、心の底には熱い思いを持っているので、いろいろアドバイスをするんですよね。これは、僕の日常のなかでもリンクする部分は多かったです。

例えばなにかステップアップするためにすぐに結果を求めてしまいがちですが、効率やテクニックではなく、熱い思いを持って自分の心から表現しなければいけない……みたいなところって、僕も声優をはじめお芝居や歌などいろいろな仕事をさせてもらっていますが、どんな仕事にも共通するところだと思うんです。

僕は声優デビューしてから、ずっと「器用貧乏になるな」と言われてきました。特に歌はそんなにピッチとか正確ではなく、テクニックもないので、味で勝負するしかないと思ってやっているんです。“うまく”よりも“ハート”を大切にしています。その意味で、ゾロリが今回の映画でメッセージとして伝えていることは、とても共感が持てました。

――すごくいろいろなことが伝わる作品でした。

山寺:本当に素敵な映画でしたね。原先生はオナラだけではない!(笑)。大人にも響く、とても心温かいメッセージを、オナラというベールで包むという……。それがゾロリの良さなんじゃないかな(笑)。

 

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『映画かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう』

原作:原ゆたか「かいけつゾロリ スターたんじょう」(ポプラ社刊)
監督:緒方隆秀 脚本:冨岡淳広 音楽:田中公平
声の出演:山寺宏一 愛河里花子 くまいもとこ 梶 裕貴 他
特別出演:生田絵梨花
アニメーション制作:BN Pictures、亜細亜堂 配給:東京テアトル
©2022 原ゆたか/ポプラ社, 映画かいけつゾロリ製作委員会
公式 HP:zorori-movie.jp  公式 Twitter:@zorori_movie

 

取材・文:磯部正和

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