世界遺産「平等院」ってどんな建物? 時代背景から見どころまで紹介

「平等院」は世界遺産にも登録されている、京都を代表する観光名所の一つです。実際に訪れる前に時代背景や見どころなど基礎知識を得ておくと、より観光を楽しめます。おすすめのお土産や休憩できる場所についても紹介します。

世界遺産「平等院」とは

「平等院(びょうどういん)」は、平安時代の繁栄を感じられる寺院として知られていますが、詳細を知らない人も少なくありません。どのような寺院なのか紹介します。

藤原頼通によって開かれたお寺

平等院がある場所には、もともと別荘がありました。別荘は数々の皇族・貴族に引き継がれた後、藤原道長(ふじわらのみちなが)が譲り受け、その息子である頼通(よりみち)が1052年(永承7年)に寺院にしたのです。現在は、どこの宗派にも属していない「単立(たんりつ)寺院」となっています。

1994年(平成6年)には「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されており、国内外から多くの観光客が訪れる京都の人気観光スポットの一つです。

京都府宇治(うじ)市の宇治川沿いに位置し、JR奈良線と京阪宇治線の「宇治駅」から徒歩約10分の距離にあります。

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平等院の見どころ

平等院には、多くの見どころがあります。「せっかく行ったのに見逃してしまった」と後悔しないよう、主な見どころを把握しておきましょう。それぞれの見どころの詳細を知ることで、より興味が湧いて楽しめるはずです。

10円玉で有名な「鳳凰堂」

見逃せない見どころの一つが、10円玉に描かれているモチーフとして有名な「鳳凰堂(ほうおうどう)」です。阿弥陀仏(あみだぶつ)を本尊とする「阿弥陀堂」で、1053年(天喜元年)に頼通が建てました。

特筆すべき点は、建物や仏像などが残存しており、平安時代の面影を残すほぼ唯一の建築物であることです。池の中島に建てられているのが特徴で、まるで美しい宮殿が池に浮かんでいるように見えます。

鳳凰堂を訪れたら、平安時代の有名な仏師・定朝(じょうちょう)が造った「阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)」を見逃さないようにしましょう。定朝が造った像で唯一現存するものといわれています。

そのほか、屋根の上にある「鳳凰」も見どころです。サビによる被害を防ぐため、屋根に飾られているのはレプリカですが、境内にあるミュージアム「鳳翔館(ほうしょうかん)」で本物を見られます。

10円玉の表側(右)に描かれている「鳳凰堂」だが、現在の鳳凰堂とは違うところがある。中堂の基礎部分が石垣のようにブツブツになっているが、現在ではそのブツブツがない。実は、10円玉の鳳凰堂は、改修前の明治時代の姿。現地で見比べてみては?

景観が一体となる「浄土庭園」

「平等院庭園」は、鳳凰堂を中心にそれを取り囲む自然が一体となる「浄土庭園(じょうどていえん)」です。鳳凰堂や阿字池(あじいけ)、宇治川に山々を一体化させることで極楽浄土を模した日本固有の様式の庭園で、平安時代を代表する最古の浄土庭園として、国の史跡と名勝に指定されています。

そのほか、鳳凰堂には「扇の芝」と呼ばれる場所があります。この場所は、1180年(治承4年)に以仁王(もちひとおう)とともに挙兵した源頼政(みなもとのよりまさ)が、平家軍に追撃された末に自刃したとされる場所です。

藤棚など季節の花

境内では、四季折々の花を観賞できます。

藤は、平等院を代表する花で、阿字池を望む藤棚(ふじだな)は樹齢約280年ともいわれています。見頃の4月下旬~5月上旬頃には1m以上の花房が見られ、迫力がありながらも、どこかはかない美しさを堪能(たんのう)できるでしょう。

藤と同じ頃には、桜やツツジも見られます。

平等院の藤棚(京都府宇治市)。春には、一万房ともいわれる見事な「藤棚」が見られる。京都の南に位置する宇治は「源氏物語・宇治十帖」の舞台であり、平等院のある地は、9世紀中ごろには、光源氏のモデルともいわれる源融(とおる)の別荘だったという。

夏には、蓮(はす)や百日紅(さるすべり)が見頃です。蓮は平等院独自の品種で「平等院蓮」と呼ばれています。

秋は紅葉(もみじ)、冬は椿(つばき)や山茶花(さざんか)が楽しめます。

休めるところや、お土産はある?

歩き疲れたときに立ち寄れる、休めるところを知っておくと安心です。また、おすすめのお土産についても紹介するので、迷ったときの参考にしましょう。

平等院 茶房「藤花」

境内(けいだい)には、本格宇治茶を楽しめる日本茶専門店「茶房 藤花(とうか)」があります。茶葉は100%京都産で、日本茶インストラクターが厳選した、こだわりのオリジナルブレンドを、宇治抹茶(まっちゃ)・玉露・煎茶(せんちゃ)・冷茶などで堪能できます。

それぞれの茶葉に合わせて、お湯の温度を変えるなど抽出方法も徹底しており、お茶の香りを楽しめるように茶器が工夫されているのも特徴です。

お茶に添えられている和菓子は、鳳凰がモチーフになっており、ほかでは食べられない特別感があります。

茶房藤花|世界遺産平等院

ミュージアム「鳳翔館」

「鳳翔館」は、旧宝物館が老朽化したため、2001年(平成13年)に開館した博物館です。国宝文化財・重要文化財・宇治市指定文化財をはじめ、創建当時の土器など発掘出土品も展示されています。

最先端の設備を導入しており、最新デジタル技術を使用したコンピューターグラフィックスによる平等院の復元映像の閲覧も可能です。鳳翔館でしか見られない、数々の貴重な展示物をゆっくり鑑賞できます。

館内にはミュージアムショップもあり、文具や雑貨などオリジナル商品を購入できるので、足を運んでみましょう。

鳳翔館|世界遺産平等院

平等院を拝観した証明「御集印」

拝観の証明として「御集印(ごしゅういん)」を購入すると、特別な記念になります。一般的には「御朱印」と呼ばれますが、「印をつなぐ」という意味で、平等院では古くから御集印という言葉が使われています。

デザインは、「鳳凰堂」と「阿弥陀如来」の2種類があり、目の前で描いてもらうことが可能です。赤色や緑色の無地だけでなく、黄色や紺色の布地に鳳凰や鳳凰堂が刺しゅうされた「集印帖」もあります。

不定期ですが、期間限定の御集印を購入できることもあるので、訪問する際はチェックしてみましょう。

ゆっくりと流れる時間も楽しんでみて

ハワイ・オアフ島にある平等院テンプル(上画像)は、日本の平等院鳳凰堂を模した建物。コオラウ山の麓の民営公園墓地「バレー・オブ・ザ・テンプルズ記念公園」内に位置する。1968年、ハワイへの日本人移民100周年を記念して建立された。8000㎡の池に囲まれ、鐘楼等もある。

平等院は、藤原頼通によって開かれた寺院で、世界遺産にも指定されている有名な観光名所です。10円玉に描かれモチーフとして親しまれている鳳凰堂や、代表的な浄土庭園である平等院庭園など、多くの見どころが詰まっています。

境内で、本格宇治茶を堪能したり、ミュージアムで貴重な展示を見たりと、平安時代の様子を想像しながらゆっくりと観光を楽しみましょう。

世界遺産 平等院

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構成・文/HugKum編集部

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