光の屈折とは
学生時代に習った記憶があっても、「光の屈折」を説明できない人もいるのではないでしょうか。どのような現象なのか、分かりやすく紹介します。
光が境界面で曲がる現象
光の屈折は、光が異なる物質の境界面で曲がる現象です。懐中電灯や太陽光のように、光は真っすぐ進む性質を持っていますが、一定の条件下では屈折します。
例えば、光が空気中から水やガラスなどに入射するとき、空気と水(またはガラス)の境界面で光は折れ曲がります。水やガラスに対して斜めに光が当たると、その一部が反射し、残りが曲がって進む性質があるためです。
水が入っているコップにストローをさして上から覗いてみると、ストローが水の中で折れて見えるのも、光の屈折によるものです。
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入射角と屈折角の関係
光の屈折を学ぶうえで欠かせない、「入射角」と「屈折角」について確認しましょう。入射角は、光が境界面に当たるときの角度のことです。入射する光と境界面に垂直な線との角度になります。
屈折角は、光が境界面を超えて進んでいくときの角度です。異なる物質に入射し屈折してできた光と、境界面に垂直な線との角度になります。
なお、空気から水やガラスに入射する場合は、入射角が屈折角より大きくなります。反対に、水またはガラスから空気に入射する場合は、入射角より屈折角が大きくなると覚えておきましょう。
一定以上の角度で入射すると起こる「全反射」
異なる物質の境界面で、すべての光が反射される現象が「全反射」です。入射角が一定の大きさを超えたときに起こります。
全反射を利用した代表的なものが「光ファイバー」です。通信用ケーブルや医療器具の内視鏡などに使われています。また、ダイヤモンドがキラキラと輝いて見えるのは、カットした面に全反射するように計算されて作られているためです。
そもそも光とは?
私たちの身の回りにはさまざまな光が存在していますが、そもそも光がどのようなものなのか、考えたこともない人もいるのではないでしょうか。光の基礎知識を紹介するので、子どもに教えてあげましょう。
「波」と「粒」からできている
光は、空間を伝達する「電磁波(でんじは)」という波と、「光子(こうし)」と呼ばれる目に見えない小さな粒でできています。光子の数が多いほど、明るい光になります。
光は「波長(はちょう)」の長さによって、人の目に見える色が変化するのも特徴です。波長が短いときは紫色や青色で、長いときは赤色や橙色に見えます。
さまざまな波長を含んだ白色光をプリズム(三角形のガラス製の角柱)に通すと、屈折によって複数の色に分かれます。なお、人はすべての波長を識別できるわけではなく、赤外線や紫外線などは見ることができません。
1秒で地球を7周半できるスピード
光の速度は秒速でおよそ30万kmと高速で、これは1秒間に地球を7周半できるスピードです。超高速な光の性質を活用したものが「光通信」で、音声や画像など大量のデータを高速で伝送することを可能にしています。
かつては、光の速さは無限大だと考えられていました。その中で、光の速度を測る方法を初めて考えたのはガリレオだといわれていますが、実践されることはありませんでした。光に速度があることを実際に証明したのは、デンマーク出身の天文学者レーマーです。
光の屈折を利用したおもしろ実験2選
光の屈折は、頭で理解するだけでなく子どもと一緒に実験を通して学ぶと、より楽しめるでしょう。自宅で簡単に試せる実験を二つ紹介します。
寒天で光の屈折を観測
食材の寒天を使用した実験で、光の屈折を観察できます。まず、商品のパッケージに記載されている作り方に沿って寒天を煮溶かし、コップなどに入れて固めましょう。
固まった寒天を取り出し、鋭いナイフやカッターで適当な形に切ります。切断面が整っていないと乱反射してしまうので注意しましょう。
透明な寒天にレーザーポインターで光を当てると、光の屈折を実際に目で確認できるはずです。また、砂糖入りの寒天にすると屈折角が変わるので、試してみるとよいでしょう。
コップが消える? 光の不思議を実感
大きさの異なる透明なガラスのコップを大小2個ずつ用意し、大きいコップの中に小さいコップを入れます。2セットあるコップのうち1セットに、中のコップが浸るまで水を注ぎます。
もう1セットのコップにはサラダ油を入れ、さまざまな角度からそれぞれのコップを観察してみましょう。水を注いだほうは中の小さいコップが見えますが、サラダ油を入れたほうは見えなくなります。
これは、ガラスとサラダ油の屈折率がほぼ同じであるためです。ガラスとサラダ油の境界面では屈折が起きず、私たちの目にはガラスのコップとサラダ油が同じように見えてしまうため、消えたように感じるのです。
実験で子どもと一緒に「光の屈折」を学ぼう
光は「波」と「粒」からできています。光の屈折は、光が二つの異なる物質の境界面で曲がって見える現象です。しかし、入射角が一定を超えると屈折せず、「全反射」が起こります。
こうした現象を確かめられる実験は自宅にあるもので簡単にできるので、ぜひ子どもと一緒に試してみましょう。
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構成・文/HugKum編集部