【小学校 国語】教科書にのっている定番・新採用のお話を元教員が紹介!家庭学習のポイントも

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お子さんの国語の音読を聞いて「懐かしい!」と感じたことのあるママパパもいますよね。小学校の教科書は、何年かおきに内容が変わっており、掲載されている物語も変化しています。
今回は、国語の教科書にのっている定番・新採用のお話を元小学校教員が紹介し、家庭学習のポイントもお伝えします。

小学校の教科書は、数年に一度のペースで変化している

小学校の教科書は、文部科学省の「学習指導要領」に沿って、時代に合わせて作られています。

いろいろな教科書会社があり、自治体ごとに採択したものを使っています。ですので、隣の市では違う教科書を使っている、引っ越したら教科書が違っていた、ということもあるでしょう。現在の小学校国語の教科書は、令和2年度から使われています。学年ごとの学習すべき内容、そして時代背景に合わせて、内容は変化しているのです。

国語と言えば、物語を思い浮かべる方も多いですよね。実は、何十年にもわたって掲載されて続けている物語もあれば、時代とともに掲載されなくなったもの、令和2年度版の教科書から新たに掲載されたものもあるのです。
ママパパ世代が子どもの時から長く掲載されているお話には、どの時代の子どもにもヒットする要素があります。また、新たに掲載されたお話については、今の時代、そしてこれからの時代に大切なことをそっと教えてくれるようなニュアンスが感じられます。大人が読んでも、考えさせられる部分がありますよ。

教科書に掲載されている、ママパパ世代も懐かしい定番の物語

 まずは、ママパパ世代にとってもなつかしい、定番の物語をご紹介します。小学1,2年生の教科書に長年掲載され続けてきたお話ですので、世代を問わず知っていることでしょう。

1年生】おおきなかぶ

おじいさんが植えたかぶの種。かぶはぐんぐん育ち、おじいさんはついに抜くことにしました。一生懸命引っぱっても、かぶは抜けません。そこで、おばあさんを呼んできます。2人で引っぱっても、かぶは抜けません。その後、孫、いぬ、ねこも加わり、ねずみも一緒に引っ張ると、「すっぽーん!」とうとうかぶが抜けました。

おじいさん、おばあさん…と登場人物がどんどん増えていくところが、わくわくさせてくれます。また、「うんとこしょ、どっこいしょ」というかけ声のリズムが読みやすく、楽しんで音読できるお話です。小学校の授業では、5~6人のグループで音読したり劇をしたりして楽しむことも多いです。幼稚園・保育園のおゆうぎ会や小学校の学芸会で演じたことのある子もいますよね。

この「おおきなかぶ」は、日本中で有名なお話ですが、実はロシアの民話が元になっています。「おおきなかぶ」というタイトルの絵本が複数あるのはそのためで、日本語訳や挿絵は絵本によって少しずつ違っています。読み比べてみるのも楽しいですね。

 12年生】スイミー

大きな海で暮らしていた、黒い魚「スイミー」と赤い魚のきょうだいたち。ある日、大きなまぐろに追いかけられて、きょうだいたちは食べられてしまいます。仲間を失ったスイミーが、海の底でいろいろな生き物に出会いながら進んでいくと、きょうだいたちそっくりの赤い魚たちを見つけます。赤い魚たちは、大きな魚を恐れて、岩のかげに隠れて過ごしていました。そんな状況を変えていこうと、スイミーは考え、ある作戦を思いつきます。さてその作戦とは…?

「スイミー」は、誰もが一度は見たことのある絵本でしょう。最後は、赤い魚たちと一緒に大きな魚のふりをすることで、それまで恐れていた大きな魚を追い出し、堂々と海の中を泳げるようになりました

子どもたちの感想は

筆者がこのお話で授業をすると、子どもたちからはこんな感想があがりました。

・「ぼくが、めになろう。」と言ったスイミーは勇気がある。

・きょうだいたちが食べられて悲しい経験をしたから、もうそんなことが起こらないようにたくさん考えたんだろうな。

・どうしてスイミーだけ黒いんだろう。本当は違う魚なのかな。

読めば読むほど、深くまで考えることのできるお話です。

現在の教科書から、新たに掲載されたお話

 続いては、現在使われている教科書から新たに掲載されたお話を3つご紹介します。大人が読んでも考えさせられるものばかりですよ。また、6年生の3学期に扱う文章も、現在の教科書から新しくなりました。「メディア」「コミュニケーション」がテーマになっていて、まさに現代社会にぴったりな内容となっています。

1年生】ずーっとずっとだいすきだよ

 犬のエルフと主人公の「ぼく」は一緒に住んでいて、小さい頃からいっしょです。家族の中でも一番仲良しなのは「ぼく」です。「ぼく」が大きくなるにつれてエルフも年をとり、太ってきて、寝ていることが多くなってきました。獣医さんにできることはありません。

「ぼく」は毎晩寝る前に、エルフに「大好きだよ」と伝えます。ある日の朝、エルフとのお別れは突然やってきました。エルフを庭に埋め、家族みんなで泣きました。でも「ぼく」は、みんなに比べたらいくらか楽な気持ちでした。それは…。

自分の気持ちを言葉にして伝えることの大切さが描かれたお話です。今までの国語教科書では、巻末に「これも読んでみてね」という形で掲載されていましたが、授業でじっくり読むことはなかなかされていませんでした。現在の教科書では、授業でじっくりと読む物語教材という扱いに変わっています。

筆者が小学1年生の子どもたちを前に読んだところ、普段はわいわいしている子どもたちもシーンとして、読み終わるころには泣き出す子が続出でした。そして、子どもたちが家で読むと、ママパパもウルウルしたという声をたくさんいただきました。

このお話を読んで、生き物の命について初めてじっくりと考える子も多いようです。いつ、何が起こるかわからない。だからこそ、日ごろから気持ちを言葉にして、伝えていこう、そんなメッセージを感じられる物語です。

 2年生】ミリーのすてきなぼうし

 帽子屋さんで気に入った帽子を買おうとしましたが、ミリーはお金をもっていません。そこでお店の人がかぶせてくれたのは、透明な帽子!
「想像次第でどんな帽子にもなる、すばらしい帽子」なのです。ケーキ屋さんの前を通ってケーキのことを想像すると“ケーキのぼうし”に、公園では“ふんすいのぼうし”になりました。するとミリーは、誰もが“すてきなぼうし”を持っていることに気づきます。

「みんな違って、みんなすてき」というメッセージが感じられるお話です。誰がどんな帽子をかぶっているのか、挿絵を見ているだけでもワクワクした気もちになれます。“きょうりゅうのぼうし”をかぶった少年、“カンガルー親子のぼうし”をかぶった女性、中には“テディベアのぼうし”をかぶったおじさんも! 絵本には、教科書に載っていない挿絵もありますよ。

 6年生】メディアと人間社会・大切な人と深くつながるために

この2つは物語ではなく、説明文と呼ばれるものです。「メディアと人間社会」は、ジャーナリストの池上彰さんが、「大切な人と深くつながるために」は、劇作家・演出家の鴻上尚史さんが、この教科書のために書き下ろしたものです。市販されている本が出典ではありませんので、この教科書だけで読めるものとなっています。

小学校卒業を控えた6年生が、“他者とのコミュニケーション”“メディアとの付き合い方”について考えを深めることができる文章となっています。「子ども」から少しずつ「大人」になっていく10代。オンラインでのつながり・SNSなどのツールが当たり前である社会に少しずつ出ていき、自立に向かっていきます。そんな中で、“他者とのコミュニケーション”“メディアとの付き合い方”は常に考えていくテーマになるかもしれません。ママパパにとっても、感慨深いものがある文章ですよ。

文章教材は、家庭学習の方法がわからない!

小学12年生の宿題は、親が見なければいけないものがたくさんあります。音読や漢字はチェックしやすいですが、物語となるとどんなサポートができるか迷う方もいますよね。そんなときは、おうちの方も一緒に、物語を楽しんでみましょう。物語を読んで考えたり話したり、気になることをさらに調べたりするその姿を、お子さんもきっと真似していくでしょう。

まずは一緒に読んでみよう

絵本を一緒に読むときのように、まずはお子さんと一緒に読んでみましょう。まだ習っていない漢字もあるかもしれないので、読み方がたどたどしくても気にしません。また、文字を追うのが苦手で耳で聞いた方が内容を理解できるお子さんなら、お家の方が読み聞かせてあげても良いですね。

 感じたことを、お子さんなりの方法でアウトプット

感じたことや分かったことをアウトプットすることで、考えが整理されたり知識が定着したりします。ここでポイントなのは“お子さんなりの方法で”というところ!「話す・書く」だけでもいろいろなやり方があります。

【話す】

①一緒に読んだ後、家族とおしゃべりする

YouTuber風に話しているところを動画に撮る

③お話のストーリーを知らない相手に向けて説明するように話す

【書く】

①あらすじをまとめる

②登場人物のプロフィールを作る

③ストーリーを漫画にする

④お話の続編を考える

お子さんがやる気になれる方法はその都度変わると思いますので、ひとつに絞らずいろいろ試してみましょう。

 お話を気に入ったら、絵本でも読んでみよう

お子さんがその物語を気に入ったら、ぜひ出典元である絵本も読んでみましょう。教科書にはない挿絵があったり、「おおきなかぶ」のように別の日本語訳だったりと、新しい楽しみ方ができますよ。

また、同じシリーズや同じ作者の絵本を読むのもおすすめです。

子ども向けかと思っていたら、大人も考えさせられるお話がたくさん

「こんなストーリーだったっけ?」「親の立場で読むと、また考えさせられる…」など、改めて読んでみると大人も深く考えさせれらるものが多い国語の教科書。子どもの音読で聞くのと、自分で読むのとではまた印象が異なります。

お子さんが3学期を迎えた今、お子さんの教科書を改めて読んでみてはいかがでしょうか。

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文・構成/yurinako

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