Q:大人しい息子の友だち作りが心配です。
息子はひとりっ子で家で本を読んだり絵を描いたりすることが好きです。登校時は男子3人で行きますが、息子はその輪にうまく入れないようです。会話に入ろうとするものの、諦めてしまっている印象です。
帰宅後、学校で誰かと話したかと聞くと、活発な子2~3人の名前が挙がりますが、息子は明らかに受け身です。たまに誘われて公園で遊ぶことになっても、虫を観察したり、土をさわったりして、気づくとひとりで過ごしています。学校では先生に促されて外へ出るものの、ビオトープの生き物を観察して過ごしているようです。わが家は転勤族なので、大人しい息子の友だち作りが心配です。
(にんにんさん)
A:友だちはできますよ。息子さんの力を信じて支えてあげましょう。
息子さんは、友だちの輪に入れない、会話についていけていないとお母さんは思われているようですが、見方を変えれば、周りの子の話をよく聞いているということになりますよね。
この年齢の子は、まだ自分を中心にして物事を捉えがちなので、子ども同士の会話も自分のことを話していることが多いのです。そんな友だちの話を一歩引いて聞くことができる息子さんは、全体を見る力があるのだと思います。
そして、そんな息子さんに関して、お母さんはなにも心配する必要はないと思いますよ。悪い要素は一つもありません。むしろ観察力があって、本を読んだり絵を描いたりするのが好きで、どれもすごく素晴らしいことだと思います。お母さんは、息子さんのよいところを認め、大切に支えてあげてくださいね。
好きなものがはっきりしていると、「これ、ぼくも好きなんだよ」と声をかけやすいですし、共通の話題で会話が弾み、むしろ友だちは作りやすいと思います。また、これから学年が上がるにつれて、いろいろな子との関わりもできてくるでしょう。そうしたなかで人間関係の築き方を学習していくのです。転勤先でもきっといろいろな友だちができると思いますよ。
親の心配は、わが子に対して「本当はこうであってほしいのに」といった希望が隠れている場合があります。本当に心配すべきなのは、子どもが困っているときです。息子さんは、ビオトープを観察したりするなど今はひとりでの遊びも楽しんでいる様子です。ただこれから先、本当に困ったり悩んだりすることもあるでしょう。そのサインを見逃さず、息子さんの力を信じて見守ってあげてくださいね。
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1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。
『小学一年生』2023年3月号別冊『HugKum』
イラスト/かまたいくよ
構成/天辰陽子