絵本の世界でずっと遊べる! 読んだ後に世界観に合わせて「歌う」「創る」遊び方がスゴイ!

絵本は読み聞かせしたら終わりなんてもったいない! 絵本をきっかけに、親子で一日遊びつくせます。絵本のちょっとした要素をタネに、工作したり、真似っこ遊びをしたりして、絵本がもっと好きになりますよ。絵本の表現遊びを指導している「音の教室カリヨン」の平松あずさ先生に遊び方を伺いました。

遊べる絵本ってどんな絵本?

――絵本は「読み物」というイメージがあるのですが、どんなふうに遊びに発展させたらいいですか?

平松絵本は「読む」というより、子どもと対話をしたり楽しんだりするときに役に立ってくれる素敵なアイテムといってもいいと思います。読んだ後に、その世界観に合わせて歌を歌ったり、工作したり、お話の世界に五感を使って入っていく体験が、子どもの想像力や好奇心をものすごく引き出してくれます。


子どもと一緒に、細かい絵までじっくり見るだけでも二度楽しめる

絵本に出てきた「コレ」を作ってみよう

――絵本を読んだ後に、どんなふうに声かけをしていったらいいですか?

平松:たとえば、わたしの教室ではよくツペラツペラさんの『しましまじま』を読み聞かせします。これは、みんながしましまのものを持ち寄って自慢大会をするお話です。絵本には素敵なしましまがたくさん出てくるので、「じゃあしましまのガーランドを作ってみよう」とお絵描きをしたり、家にあるしましま服を着てパーティー(おやつを食べる)をしたり、「しましま」が出てくる歌を歌ったりします。

『しましまじま』を読んだ後に、「しましま」のものを探したり作ったりする

教室では、「歌う」「創る」「遊ぶ」「演じる」という4つのカテゴリーに分けて、絵本の要素から子どもが楽しめる形にアレンジしていきます。ご家庭だったら、読んだ後に絵を見ながら「〇〇ちゃんはどれが好き? これ作ってみようか」と声をかけてみるといいかもしれません。絵本で既に「楽しそう」のアンテナが立っている状態なので、すっと遊びに入って来られます。遊具や特別な工作セットがなくても十分遊べます。

色の出てくる絵本→「いろんな色のミックスジュースをつくろう!」といろんな布をまぜまぜ

北風がふく絵本→青いお花紙やティッシュを風にみたててふりまわしたことも

登場人物と一緒になっておうち探検

一番簡単な遊びは、絵本を使ったごっこ遊びだそう。「〇〇ちゃんが主人公で、ママがお店の人の役やってみようか」と、絵本の中のセリフを言い合うだけでも楽しめます。
『でんしゃにのって』(作:とよたかずひこ)を読んだ後に、イスを電車に見立てて、ぬいぐるみのお客さんを載せていったり、『のらねこぐんだんパンこうじょう』(作:工藤ノリコ)を読んだ後、ほほかむりをして家の中のものを探しにいったり、本物のパンを作る体験までできたら、味覚も加わって忘れられない絵本になります。

絵本の真似をして「しのびこむぞ、ニャー!」とやる気満々

  ――遊べる絵本って、どう選んだらいいですか?

平松:役立てようと思うと、つい、しつけや教育系の絵本を選びがちなのですが、まず想像力が働く絵本を選んでほしいです。たとえば物語になっていなくても、テーマが形、色、春…などシンプルなものだと余白があるので、子どもってそこからインスピレーションを得て、常識にとらわれないものを生み出していきます。

平松あずさ先生のおすすめの絵本

『わたしのワンピース』(作:西巻茅子)
『しろくまのパンツ』(作:ツペラツペラ)
『おちばいちば』(作:にしはらみのり)

ナンセンス絵本と言われる脱力系ユーモア絵本もおすすめ。突飛な発想で描いてあるからこそ、子どもがもっと上のおもしろいものを発想できるきっかけになります。

『むにゃむにゃゆきのバス』(作:長新太)
『びりびり』(作:東君平)

「ぼくならこんな形を作るよ」「絵本ではこうだったけど、こんな場所があったらおもしろいな」と、いろんなものを集めて基地を作ったり、自由に絵を描いたり、そのうち子どもの方から遊びを提案してくるようになります。

――公園に行けない日でも、絵本があればおうちの中でたくさん遊べそうですね。

遊びという楽しい体験を通して、絵本にはまるお子さんも多いです。教室でも、そうやって遊んだ絵本ほど、展開やセリフなど、子どもたちもよく覚えています。外に遊びに行っても「あれって〇〇だね」と絵本と同じものを指さしたり、「絵本を思い出してごっこ遊びを始める」という子も多いんです。絵本+遊びの相乗効果は高いなと感じます。いま保育士さん向けに、絵本遊びの講座をしているんですが、大人の方が夢中になって絵本の工作を楽しんでるんですよ。そして帰りにその絵本を買って帰る率が高いです(笑)。


絵本遊びのコツさえわかれば、他の絵本にも応用できるようになるそう

ネタがなくてもウタがある!

――まだ小さい子だと、絵本をじっと聞いていなかったり、じっくり工作するのが難しいこともあります。そんなときも、遊ぶ方法ってありますか?

物語性の少ない「あかちゃん絵本」でも、同じように遊べます。絵本の中から色探しをしたり、絵本のまねっこ遊びをしたりします。でも一番いいのは歌かな。大人がすぐ歌えなくても、CDやyoutubeで子ども向けの歌を探して一緒に歌ってみるのも楽しいです。電車の絵本から「線路は続くよどこまでも」を歌ったり、体を動かすあそび歌などを組み合わせると、飽きないと思います。


歌は流しっぱなしでなく、親も一緒に楽しんで(音の教室カリヨンyoutubeより)

絵本はそれだけで想像力が広がるアイテムですが、「読みっぱなし」ではなくて、読んだ後に「さあ今日はどうやってあそぼうか」とお父さん、お母さんが一緒に「楽しむ」「体感する」ことでさらに「心に残る」ものになります。いつもの公園も、絵本の主人公の動物に似た葉っぱを探すだけで、そこが絵本の世界に見えてきます。絵本の可能性は無限なので、難しく考えず、子どもと一緒にワクワクして遊んでみてくださいね。

お話を聞いた人

音の教室カリヨン主宰 |平松あずさ

 

 

玉川大学文学部芸術学科表現教育科卒業。13年間杉並児童合唱団に在籍し、音楽教室勤務を経て『音の教室・カリヨン』を立ち上げる。0歳~小学生を対象に音の教室を開くほか、オリジナル音楽絵本制作や親子コンサート、保育士研修などにも携わる。保育園向けの音楽絵本指導オンライン講座も開催中。
えほんであそぼHP https://carillon.ehonde-asobo.com/

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文・構成/日下淳子

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