【モンテッソーリ】子どもが動き回って言うことを聞かない!それはワガママじゃなくて「運動の敏感期」が原因かも

0~6歳ごろの子どもの「これってワガママ?」「言うことを聞かなくて困ってます」とママやパパを悩ませる数々の行動。もしかしたらそれはモンテッソーリ教育の「敏感期」にまつわるものが多いかも! 「おうちでできるモンテッソーリ」として、モンテッソーリ教師あきえ先生にお話を伺っています。4回目の今回は「運動の敏感期」についてです。

「運動の敏感期」の子どもは“動きたい”エネルギーが強い!

生後10ヶ月ごろから4歳ごろまでは「運動の敏感期」。この頃の子どもは、自分の身体を自分の思い通りに動かせるようになるためのエネルギーに満ちています。

そのエネルギーをしっかり使うことで以下のような行動をすることができます。

※敏感期は全部で6種類。こちらの記事チェックしてくださいね。

細かい動き

  • 「つかんで持って運ぶ」
  • 「置いてあるものをつまんで箱に入れる」
  • 「これとあれを合わせてしまう」

大きい動き

  • 「ここからあちらに向かってジャンプする」
  • 「線の上をまっすぐに歩く」
  • 「いすから下りておもちゃまで走る」
  • このように、ただ歩く・つかむだけではなく、より複雑な動きができるよう日々猛特訓しているというイメージです。
  • ママやパパからのお悩みの声を紹介!

  • その姿を毎日目にしているママやパパからは、このようなお悩みの声をいただくことがあります。
  • 食事に集中ができず、歩き回ってしまいます。何度も「座って」と言っても話を聞きません。
  • 意味もなく引き出しの中や私のバッグの中のものを引っ張り出します。片付けてもすぐにやるので困っています。
一緒にスーパーに行くと走り回って追いかけっこ状態に……。スーパーに行くのが憂鬱です。

歩き始めから4歳くらいの子どもによく見られる姿ではないでしょうか? このような行動も「運動の敏感期」が原因となっています。このような行動に困ったら、どうやって対処をすればいいかを紹介しますね。

お悩み①食事中に動き回る

以前の食事のお悩みについての記事でもお話しているのですが、食事中歩き回ってしまう子どもに対しては、「今は食事の時間」ということを粘り強く伝えていく必要があります。

ぜひ以下の4点を意識してかかわってみてください。

①歩き回る子どもの口に食事を運ぶのではなく、食卓に座って食べることを徹底する。

②歩き回る子どもを声かけだけで呼び戻すのではなく、目の前に行って一緒に食卓に戻る。

③「あとひと口で終わり」などと食事の終わりを明確にする。

④おやつも含め、食べ物を食べる時は食卓で食べるようにする。

お悩み②引き出しやバッグの中身を引っ張り出す

これも「運動の敏感期」の代表的な行動のひとつです。気がついたらティッシュを箱から全部出していたというエピソードもよく聞きますよね。引き出しやバッグに入っているものをつかんで外に出すという行動は、大人にとっては「無駄」なことのようにも思えます。しかし、そのエネルギーに突き動かされて夢中になっているこの頃の子どもにとっては、必然的な行動なのです。

もし、どうにかしたいと思っているようなら以下のことを試してみるのもいいと思います。

・箱の中に使わない布などを入れて穴から出せるようなおもちゃを置く。

・使っていない財布の中にカードなどを入れ、子どもの手の届くところに置く。

・誤飲の可能性があるものは届かないところに置き、開けて欲しくない引き出しには100均などに売っているロックをつける。

お悩み③スーパーなどで走り回る

「子どもと一緒にスーパーに行きたくない」と思っているママやパパは多いのではないでしょうか? できれば一人でゆっくり買い物したいけど、仕方のない時もありますよね。大人のそんな気持ちも知らずに、子どもは「運動の敏感期」のエネルギーに駆り立てられて、まるで公園かのように走り回ることがあります。

そんな時におすすめなのは、ずばり「子どもに役割を持たせる」ということです。大人の買い物に付き合ってると思うのと、自分の役割があるのでは、子どもの気持ちも変わってきます。

「これからスーパーに行くから、〇〇くんには“野菜係”をお願いしたいんだけどいいかな?」

「ママが選んだものをカゴに入れるのは〇〇ちゃんにお願いしたいな」

「こういう時期なんだ」という認識するとイライラが軽減する

「うちの子はワガママなの?」「言ってることがまるで通じない」などとママやパパが頭を抱える行動も「運動の敏感期」という発達段階にいるんだと思うと、気持ちがラクになることもあると思います。

この時期の子どもは俗に言うイヤイヤ期の時期でもありますが、動きの部分に関しては「動きたい!」というエネルギーに満ちています。そして実際に行動に移すことは、確実に子どもの成長にもつながっているのです。

「おうちでできるモンテッソーリ」の始め方はこちら

「おうちでできるモンテッソーリ教育」の始め方。意外と簡単! 手出し口出しをしない方がいいシーンとは?

そもそもモンテッソーリ教育とはどういうこと? モンテッソーリ教育と聞くと、「天才を育てる」「子どもの知能を伸ばす」というイメージ…

あきえ先生のモンテッソーリ教育の連載はこちら

人気連載「モンテッソーリ教師あきえの子育てROOM」

記事監修

国際モンテッソーリ教師(AMI)
モンテッソーリ教師あきえ

幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。

モンテッソーリ教師あきえHP

あきえ先生主宰オンラインスクールMontessori Parents

取材/本間綾

編集部おすすめ

関連記事