ことわざ「怪我の功名」正しく使える? 意味や使い方、類語、対義語、英語表現を解説!

きっと誰もが一度は目にしたことのある『怪我の功名』ということわざ。けれども、その正確な意味、把握できていますか? 今回は『怪我の功名』の正しい意味や使い方、類語、対義語、英語表現を一挙にご紹介していきます。

「怪我の功名」とは?

まずは、『怪我の功名』の読み方と意味、語源をおさえておきましょう。

読み方と意味

このことわざは『怪我の功名』と書いて、「けがのこうみょう」と読みます。トラブルや失敗が、思いがけず良い結果を生んだことを言い表すことわざです。

由来・語源

『怪我の功名』の「功名」は、「高名(こうみょう)」に由来していると考えられています。「高名」とは、名高いこと、良い評価を受けることを意味する言葉。手柄を立てたときに用いられるものですが、いつしか「功名」という漢字表記も、同様の意味合いで使われるようになりました。

その後、怪我のようなトラブルが手柄を生んだときのたとえとして、『怪我の功名』ということわざに発展し、これが浸透したようです。

「功名」or「巧妙」?  漢字の間違えに要注意!

『怪我の功名』を使う際に特に気をつけたいのが、漢字の書き間違えです。なかでも間違えやすいのが、「功名」を「巧妙」としてしまうもの。

「巧妙」は、きわめて巧みなことを指します。一方、上でも述べたように、「功名」は手柄を立てたこと。一見、「巧妙」でも意味が通ってしまいそうなので、混乱しないように注意する必要があります。『怪我の功名』の意味と合わせて、後者が正しいことを覚えておきましょう。

使い方を例文でチェック!

では、『怪我の功名』は具体的にはどのように使うことができるのでしょうか。例文をとおしてチェックしていきましょう。

1:間違えた調味料を使ってしまったが、意外にも美味しい料理ができて【怪我の功名】となった。

料理をする際に調味料を誤ってしまったときの例。予想通り美味しくなかったのであれば、単なる「トラブル」でしかありませんが、予想外にも「美味しかった」という良い結果に繋がったのであれば、『怪我の功名』と言い表すことができます。

2:風邪を引いてしまい、楽しみにしていた友人との約束に赴くことができなかった。しかし、宿題を忘れていたことに気づき、終わらせることができたので【怪我の功名】となった。

思わぬ体調不良で、楽しみが台無しになってしまった時の例。残念ですが、そのことが意図せず良い結果に繋がったのであれば、これも『怪我の功名』と言えます。

3:帰宅中、突然大雨が降ってきた。帰宅が遅くなってしまったが、雨宿り先で古い知人と再会し【怪我の功名】となった。

こちらも同様に、ちょっとした不運からはじまる例文。このように、トラブルが思いがけない幸運をもたらした時に使うことができます。意図されたものではなく、「思いがけない」点がポイントです。

類語や言い換え表現は?

『怪我の功名』には、どのような類語があるのでしょうか? ここでは、『怪我の功名』を言い換えられる類語や近い意味を持つ表現をご紹介していきます。

1:棚からぼた餅

『棚からぼた餅』は、なんの苦労もせずに、思いがけない幸運に恵まれることをたとえたことわざ。トラブルが意図せず良い結果につながったことを意味する『怪我の功名』に似た言葉のひとつです。

ただし、前者『棚からぼた餅』は、後者と違って、トラブルのようなネガティブなできごとが起因となっていなくても使うことができます。

2:偶然の産物

努力や計算をしたわけではなく、偶然に生じた物事を指した言葉です。『怪我の功名』と似た言葉である一方で、『棚からぼた餅』と同様に、トラブル等ネガティブなできごとが起因となっていなくても使える点において、より汎用的と言えるかもしれませんね。

3:不幸中の幸い

「不幸中の幸い」は、不幸なできごとに見舞われている中でも、幸せなこともあるという意味の言葉。『怪我の功名』が「思いがけない」ニュアンスが強い一方で、「不幸中の幸い」はそれに限りません。不幸中、「救い」となるような良いことがあったときに使うことができます。

4:雨降って地固まる

トラブルが起こったことで、かえってよい結果を得たという意味のことわざ『雨降って地固まる』。トラブルが意図せず良い結果につながったことを指す『怪我の功名』に、近い言葉のひとつです。

対義語は?

『怪我の功名』の対義語も合わせて覚えておきましょう。厳密には「対義語」と呼べる言葉が存在しないため、反対の意味に近い表現をご紹介します。

1:藪(やぶ)をつついて蛇を出す

『藪をつついて蛇を出す』は、わざわざ不要なことをして、トラブルや災いに見舞われることを言い表したことわざです。思わぬトラブルから意図せず幸運に見舞われる『怪我の功名』に対して、自ら招いたトラブルからさらに状況悪化が連続する点が、反対に近い言葉と言えます。

2:蒔(ま)かぬ種は生えぬ

『蒔かぬ種は生えぬ』は、努力をしないと幸運は舞い込まないという意味のことわざです。トラブルが「意図せず」幸運に転じたことを指す『怪我の功名』を、否定するようなニュアンスさえ感じられる言葉ではないでしょうか。

英語表現は?

では、『怪我の功名』は英語ではどのように言い表せるのでしょうか。『怪我の功名』に近い意味となる英語表現を探してみました。

1:fortunate error

『怪我の功名』の代表的な英訳として用いられやすいのが、“fortunate error”。「幸運な過失」と意訳することができ、その過失がきっかけとなって幸運を得られたことを言い表せます。ただし、日本語の『怪我の功名』のような「意図せず」のニュアンスは少々弱めです。

2:fluke

「まぐれ」という意味を持つ“fluke”もまた、広義的には『怪我の功名』に近い英語表現と言えます。『怪我の功名』の「まぐれ」なニュアンスを伝えたい場合に、“by a fluke”=「まぐれで」という形で使ってみましょう。

覚えたことわざは実際に使ってみて、しっかり習得しましょう!

今回は、ことわざ『怪我の功名』の意味や語源、使い方、関連用語等をお伝えしてきました。

ことわざの習得には、正確な意味を把握して、実際に使ってみることが大切です。『怪我の功名』も「ここぞ!」というシーンで積極的に使ってみましょう♪

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文・構成/羽吹理美

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