目次
クマのプーさんとは?
まずは『クマのプーさん』の作者や物語の背景をおさえておきましょう。
イギリスのアレン・アレクサンダー・ミルンの作品
『クマのプーさん』は、イギリスのアレン・アレクサンダー・ミルンの作品です。クマのぬいぐるみのプーと、森のゆかいな仲間たちがおりなす10のエピソードが入っています。
この作品は、ミルンの息子であるクリストファー・ロビン・ミルンとぬいぐるみがモデルとなっています。発表後にベストセラーとなり、ディズニーによってアニメ化されるなど、世界中で愛される作品です。
なお、プーさんは、クリストファー・ロビン・ミルンが1歳の誕生日に両親からプレゼントされたテディ・ベアから着想したのだそうです。
国: イギリス
発表年:1926年
おすすめの年齢:小学校中学年以上
アレン・アレクサンダー・ミルンってどんな人?
アレン・アレクサンダー・ミルンは、1882年にイギリスのロンドン北部で生まれます。ミルンの父は学校を経営し、その学校には、のちに「SFの父」と呼ばれるH・G・ウェルズが化学や数学を教えていました。ミルンもウェルズから教わり、大きな影響を受けたといわれています。
大学時代から詩やお話を書くようになります。大学卒業後に風刺雑誌の副編集長の仕事や戯曲を書くなどし、人気作家に。『クマのプーさん』を発表したのは44歳のときでした。ミルンの作品には、児童文学のほかに、詩やミステリー小説などもあります。
ちなみに、ミルンは子どもが苦手で、息子のクリストファーにも打ち解けることがなかったそうです。また、『クマのプーさん』を発表後、息子のクリストファーは、登場人物としての名声がつきまとい、親子関係は悪かったといいます。
いつの時代の話?
『クマのプーさん』のモデルは息子のクリストファー・ロビン・ミルンとぬいぐるみですが、物語はミルンの少年時代を懐古して書いたものといわれています。
物語に出てくる100エーカーの森は、ミルン自身が8歳のときに徒歩旅行した場所であり、別荘にした場所でもありました。ミルンの少年時代はビクトリア朝後期あたりですので、産業革命による経済の発展が成熟したイギリス帝国の絶頂期。よってイギリスのよい時代のころのお話といえるのかもしれません。
物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介
では、『クマのプーさん』はどのような物語なのでしょうか。ここからはエピソード1「プーとミツバチたちが登場して、いよいよお話がはじまります」のあらすじをご紹介します。
以下には、「詳しく」&お子さんへの説明に便利な「簡単に」の2種類のあらすじにまとめました。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
ある日散歩に出かけたプーは、ハチミツを求めて木に登りますが、枝が折れて落ちてしまいます。ハチミツをあきらめきれないプーはクリストファー・ロビンに青い風船をもらい、ハチミツを取ろうと作戦を練ります。プーの考えは、青い風船は空、自分はどろだらけになって黒い雲のふりをしてハチミツを取るというものでした。風船につかまり、プーは浮かび上がりますが、ハチミツには手が届きません。
プーはさらに考えて、クリストファー・ロビンに傘をさして「チェッ、雨か」と言ってほしいと頼みます。プー自身は『小さな雲の歌』を歌うという策に出ますが、それも失敗に終わります。
プーはハチミツをあきらめることにし、「もうおりることにする」と言います。しかし、おりる方法を考えていませんでした。長いこと考えた末、クリストファー・ロビンの銃で風船をねらって撃ってもらうことにしました。1度は狙いがはずれたものの、2度目に風船に当たり、プーはゆっくりと地上におりることができたのでした。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
ある日散歩に出かけたプーは、ハチミツを求めて木に登りますが、枝が折れて落ちてしまいます。ハチミツをあきらめきれないプーはクリストファー・ロビンに風船をもらい、ハチミツを取ろうとしますが…。
クマのプーさんの主な登場人物
ここからは、『クマのプーさん』に登場する主なキャラクターを紹介します。
ウィニー・ザ・プー
はちみつが大好きな、くいしんぼうのクマのぬいぐるみ。マイペースだけど、友だち思いでやさしい性格。
クリストファー・ロビン
やさしくてかしこい、人間の男の子。森の仲間たちのリーダー的存在。一番の仲良しはプー。
コブタ
コブタのぬいぐるみでプーの大親友。体が小さくて臆病だけど、いざというときは勇敢でたのもしい。
イーヨー
ロバのぬいぐるみ。ちょっとのろまでおひとよし。消極的でさびしがりやだけど、おだやかでやさしい。
ウサギ
せっかちだけど行動力がある。森のみんなのまとめ役で、なにかと仕切りたがる。
フクロウ
物知りで森のみんなに信頼されている。だけどすこし話がくどい…。
カンガとルー
カンガルーの親子。カンガはやさしいお母さん。ルーはやんちゃな赤ちゃんカンガルー。
クマのプーさんが読み継がれている理由
『クマのプーさん』が多くの人に愛される理由、読みつがれている訳を解説していきましょう。
ディズニーによるアニメ化
『クマのプーさん』はディズニーによって1966年にアニメ化されました。その結果、多くの人に原作が知られるようになり、世界中での人気がさらに高まりました。
個性豊かなキャラクター
『クマのプーさん』には、個性豊かなキャラクターが登場します。
マイペースで楽観的なプーや、消極的だけどおだやかでやさしいイーヨー。いざというときに勇敢な姿を見せるコブタ、物知りだけど話が長いフクロウなど、自分の周りにもいそうなキャラクターが書かれています。長所、短所それぞれをもち、お互いの個性を受け入れている姿は、ほのぼのやさしい世界です。
語り手の存在
『クマのプーさん』には、物語の部分部分に、語り手が息子のクリストファー・ロビンに物語を語っている場面が入るのが特徴的です。これは、その場面が差し込まれることで、プーたちの世界(エピソード)に違和感なく入り込める効果があります。
また、この語り手が、読んでいる私たちに直接話しかけてくれているように感じられるのも魅力ではないでしょうか。
名作「クマのプーさん」を読むなら
ここからは、『クマのプーさん』のおすすめの本を3冊ご紹介します。本作に興味を持ったらぜひ手に取ってみてくださいね。
クマのプーさん全集: おはなしと詩
おなじみの『クマのプーさん』『プー横丁にたった家』と、A. A.ミルンの幼い息子が主人公の2冊の詩集『クリストファー・ロビンのうた』『クマのプーさんとぼく』がおさめられた愛蔵版です。チャーミングな挿絵もたっぷり!
おなじみの『クマのプーさん』『プー横丁にたった家』と、A. A.ミルンの幼い息子が主人公の2冊の詩集『クリストファー・ロビンのうた』『クマのプーさんとぼく』がおさめられた愛蔵版です。チャーミングな挿絵もたっぷり!
クマのプーさん(絵本) (大型絵本 5)
『クマのプーさん』と『プー横丁にたった家』から3つのお話を選んだ絵本。読み聞かせにもぴったりです。
小学館世界J文学館
この1冊で125冊の電子書籍を読める新時代の児童文学全集。『クマのプーさん』はもちろん、その他の世界名作、現代児童文学、日本やアジアの古典、SF、詩まで、125作品を電子書籍で読むことができるのが特徴です。紙の本は、1作品を見開きで紹介する名作図鑑となっています。
『クマのプーさん』を読んでみよう!
『クマのプーさん』は、クマのぬいぐるみのプーと、クリストファー・ロビン、森のゆかいな仲間たちのゆかいなお話です。1エピソードは短いので、夜寝る前にひとつずつ読んでみてはいかがでしょうか。
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構成/HugKum編集部