新生代とは。人類が出現したのはいつ? 氷河期は? 区分別の主な生物や特徴をわかりやすく解説

新生代は現在でもおなじみの生物が現れ、発展を遂げた時代です。この頃の地球がどのような様子だったのか、気になる人は多いのではないでしょうか。新生代の始まりから人類の出現までの出来事を、区分ごとの生物とあわせてわかりやすく解説します。

新生代とはいつのこと?

地球の歴史は新生代を含め、いくつかの時代に区切られています。新生代はいつの時代を指すのでしょうか。

約6,600万年前から現在までを指す

地球の歴史を、主に生物の繁栄期間を基準にして区切ったものを「地質年代」といいます。新生代とは地質年代の区分のうち、約6,600万年前から現在までのことです。

Masaqui – Original file:Earth Calendar.jpg, data source: International Chronostratigraphic Chart v2013/01, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=31628342より

新生代以前は古い方から順に、大きく始生代・原生代・古生代・中生代に区分されています。新生代はさらに古第三紀・新第三期・第四紀の三つに分けられており、それぞれのおよその年代は以下の通りです。

●古第三紀:約6,600万年前~約2,300万年前
●新第三紀:約2,300万年前~約258万年前
●第四紀:約258万年前~現在

なお、新生代によく見られる化石に「ビカリア」があります。ビカリアは新生代に栄え、現在は絶滅している巻貝の仲間です。このため、ビカリアの化石が見つかった地層は、新生代に堆積したと判断されています。

ビカリアの化石(大阪市立自然史博物館)by  Show_ryu , CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11298675による

【区分別】新生代を代表する生物

新生代には、現在の生物の祖先がたくさん登場します。新生代を代表する生物を、細かな区分別に見ていきましょう。

鳥類・哺乳類が繁栄した「古第三紀」

中生代の末に、隕石の衝突が原因とされる生物の大絶滅が起こります。このときに地球を支配していた恐竜は、鳥類を残して絶滅してしまいました。

古第三紀に入ると、絶滅を免れた鳥類と哺乳類が種を増やします。ペンギンやクジラのように、生活の場を海へ移す種も現れました。

なお、古第三紀は古い順に以下の通り細分化されます。それぞれの区分における哺乳類の歴史を見てみましょう。

●暁新世(約6,600万~約5,600万年前):小型哺乳類が出現
●始新世(約5,600万~約3,390万年前):げっ歯類や霊長類などが出現
●漸新世(約3,390万~約2,300万年前):霊長類の発展

また、植物界では被子植物が多様化し、海では「貨幣石(かへいせき)」と呼ばれる大型有孔虫の仲間が繁栄しました。

アラブ首長国連邦アル・アイン近郊で発見された貨幣石の化石 by Wilson44691, PD from https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4334144より

類人猿が出現した「新第三紀」

新第三紀は約2,300万年~約533万年前の「中新世」と、約533万~約258万年前の「鮮新世(せんしんせい)」に区分されます。古第三紀・漸新世の終わり頃から猿の仲間が多様化し始め、中新世の後半には類人猿からヒト科につながる猿人が登場しました。

もっとも古い猿人は、約700万年前にアフリカ中部に現れたサヘラントロプス・チャデンシスです。約400万~約200万年前には、アフリカ一帯を生息域とするアウストラロピテクスが現れています。

サヘラントロプス・チャデンシス頭蓋骨の化石 by Didier Descouens , CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10709964より

 

アウストラロピテクスの頭蓋骨(複製品)by Durova , CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3181446より

また、馬やラクダなどの草食動物が陸上に広く生息したことや、海に「メガロドン」と呼ばれる体長約13mもの巨大なサメがいたことも新第三紀の特徴です。

 メドドロンの歯の化石(左)とホホジロザメの歯(右の2つ)User:Kalanderivative work: Parzi : Megalodon tooth with great white sharks teeth-3.jpg:, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19039152より

人類が出現した「第四紀」

第四紀は、約258万~約1万1,700年前の「更新世」と、以降現在まで続く「完新世」に分けられます。第四紀の大きな特徴は人類の出現です。約240万年前、アフリカに初期ヒト属とされるホモ・ハビリスが現れます。

ホモ・ハビリス頭蓋骨 by  Luna04~commonswiki, CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=390509より

約200万年前には、やはりアフリカでホモ・エレクトスが出現し、アジア圏に移動しました。約30万年前にはホモ・ネアンデルターレンシスと呼ばれる人類が現れ、主にヨーロッパ圏で暮らしていました。この頃にはほかにもさまざまな人類が現れ、世界各地に広がっていったと考えられています。

ホモ・ネアンデルターレンシスの頭蓋骨 by Luna04 , CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=390496より

現在の人類は、約20万年前にアフリカに現れたとされるホモ・サピエンスです。現在ホモ・サピエンス以外の人類は存在しませんが、いくつかの種が共存した期間もありました。

新生代の気候や大きな出来事

生物の進化や絶滅には、地球環境の変化が大きく影響しています。新生代の気候の特徴と主な出来事を紹介します。

気候変動が激しかった

新生代はそれまでの時代に比べて、地球の寒冷化が進んだ時代です。古第三紀はまだ温暖でしたが、始新世の終わり頃から寒冷化が始まり、寒暖を繰り返しながら新第三紀をむかえます。第四紀に入ると気候変動はさらに激しくなり、海や川が凍るほど気温が下がることもありました。

なお、高緯度の地域や山岳地域で氷河が発達する寒冷な時代を「氷河時代」と呼びます。地球では3度の大規模な氷河時代があったことが分かっており、第四紀もその一つです。もっとも寒いときには、陸地面積の約30%が氷で覆われていたとされています。

「最終氷期」(約11万5000年~1万1700年前)を生きたマンモス(イメージ)

実は今も氷河時代?

氷河時代といっても、ずっと同じような寒さが続くわけではありません。実際には非常に寒い「氷河期(氷期)」と、寒さの緩む「間氷期」が数万年の周期で訪れます。

実は、第四紀の氷河時代はまだ終わってはいません。現在は約1万8,500年前に氷河期が終わったばかりの、間氷期にあたるのです。

氷河期は多くの水が氷として陸に留まるため、海面が低下します。浅い海は陸となり、大陸や島がつながる部分も現れました。

このため、氷河期には人類を始め、多くの動植物が陸地化した箇所を通って生息域を広げたと考えられています。

大陸が形成された

現在の大陸は、もともと一つの大きな大陸だったという説を聞いたことのある人も多いでしょう。その大陸は「パンゲア」と呼ばれ、約3~2億年前の古生代に存在したと想定されています。

想定によると、パンゲアはやがて北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸に分かれ、ローラシア大陸は新生代以降に北アメリカ大陸とユーラシア大陸に分裂したといいます。日本列島がユーラシア大陸から離れて現在の姿になったのも、新生代です。

また、約4,000万年前には南半球にあったインド大陸は、次第に北上してユーラシア大陸にぶつかっています。世界最大の山脈・ヒマラヤ山脈は、大陸同士の衝突による衝撃で形成されました。

人類への進化が始まった新生代

新生代とは、約6,600万年前から現在まで続く時代のことです。鳥類・哺乳類のほか、海の生物や植物も多様化し、現在見られる生物の祖先が次々に現れました。人類の祖先も、新生代の後半になってようやく現れます。

長い地球の歴史に比べれば、人類が出現してからの時間はほんの一瞬に過ぎません。子どもと一緒に新生代以前の様子も調べ、生物進化の歴史を学んでみてもよいでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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