古生代に発生した生物とは? カンブリア紀から大絶滅による終焉まで

理科の教科書や博物館で、古生代の生物の化石を見た記憶がある人も多いでしょう。古生代にはさまざまな生物が生まれ、絶滅したといわれています。カンブリア紀から始まる古生代の歴史と、当時の生物の特徴を解説します。
<上画像:石炭紀の生物(左半分)とベルム紀(右半分)>

古生代とはいつの時代を指す?

古生代とは、具体的にいつの時代を指すのでしょうか。古生代と呼ばれる年代と、細かい時代区分を見ていきましょう。

地質時代の大区分の1つ

古生代は、地質時代の大区分の一つです。地質時代とは地球が誕生してから現在までのことで、先カンブリア時代・古生代・中生代・新生代に大別されます。

古生代は約46億年といわれる地球の歴史の中で、大量の生物の存在が確認された初めての時代です。そのため古生代から現代までは、顕生代(けんせいだい)とも呼ばれます。

また古生代は、古い順にカンブリア紀・オルドビス紀・シルル紀・デボン紀・石炭紀・ペルム紀(二畳紀)の六つに区分されています。

Rohde, R.A., and Muller, R.A.SVG version by Albert Mestrederivative work: Masaqui – image:Phanerozoic Biodiversity.pngimage:Phanerozoic Biodiversity.svg, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19878806による  ※古生代・中生代・新生代の区分目安はHugKum編集部による追加

古生代の生物の進化

古生代の地球には、どのような生物が暮らしていたのでしょうか。時代区分順に、進化の様子や代表的な生物を紹介します。

カンブリア大爆発

カンブリア大爆発とは、カンブリア紀の始め頃に、生物の種類や数が急速に増えた様子を指す言葉です。カンブリア紀の地層からは、その前の時代の地層にはない生物の化石がたくさん見つかっています。

そのため生物の爆発的な進化が起こり、種類や数が増えたと考えられているのです。ただし近年の研究で、カンブリア大爆発以前にもそれらの生物がすでに現れていたことが分かっています。

この時期に硬い殻や骨格を持つ生物が現れたために化石として残り、急に増えたように見えているだけではないかとの説もあります。

カンブリア紀に存在した主な生物と特徴は以下の通りです。アノマロカリスを除き、多くの動物は体長数cm程度と小型でした。

アノマロカリス:最大で約2mにも達したエビのような動物
オレノイデス:体長数cmほどの小さな三葉虫の仲間
ハプロフレンティス:フタ付きの殻を持つ貝のような動物

<アノマロカリスの復元イメージ>https://commons.wikimedia.org/wiki/File:20191203_Anomalocaris_canadensis.png#/media/ファイル:20191203_Anomalocaris_canadensis.png
<オレノイデスの化石>
From Wikimedia Commons, public domain
<ハプロフレンティスの復元イメージ>
Qohelet12 – , CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=119224437による

海生生物の多様化・顎のある魚が出現

オルドビス紀には、海の生物が多様化します。オウムガイのような軟体動物やウミユリなどの棘皮(きょくひ)動物の他、サンゴなどの刺胞(しほう)動物も登場しました。しかし多くの海生生物は、オルドビス紀の終わりに起こった大量絶滅で滅んでいます。

<オウムガイ>
<ウミユリ(化石)>

シルル紀に入ると、サンゴの仲間が繁栄します。魚の種類も増え、シルル紀の終わり頃には顎を持つ魚も現れました。

次のデボン紀は「魚の時代」と呼ばれるほど、さまざまな魚が出現します。シーラカンス肺魚(はいぎょ)などが栄えたのもこの時期です。

<シーラカンスの標本>
Alberto Fernandez Fernandez – , CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2550966による
<ハイギョ>

そして生物たちは陸上へ

海の中で発展した生物たちは、やがて陸上へ進出を始めます。植物の陸上進出はオルドビス紀から始まっていたようですが、本格的に繁栄したのはシルル紀です。

コケのような小さな植物がシダ植物へ進化し、デボン紀の終わり頃には大きな樹木も登場しました。動物たちが陸に上り始めたのは、デボン紀の後半です。当時の地層からは、最古の両生類とされる「イクチオステガ」の化石が見つかっています。

<イクチオステガの復元イメージ>

巨大昆虫や陸上生物の繁栄

古生代も後半の石炭紀に入ると、陸上生物が一気に多様化します。石炭紀に繁栄した動物の代表が、巨大昆虫です。例えば史上最大の昆虫とされるトンボ類の「メガネウラ」は、体長が約70cmもありました。

<メガネウラの復元イメージ>

石炭紀はその名の通り、地層に多くの石炭が存在する時代です。この頃は気候が温暖で植物の成長が早く、地上には巨大な森がありました。現在採掘される石炭は、当時の森がもとになっています。

大量の植物が光合成をしたこの時代は、現代に比べて酸素が豊富にあり、大量の酸素を必要とする巨大昆虫にとって快適な環境だったのです。

またペルム紀には、「単弓類(たんきゅうるい)」と呼ばれる哺乳類のような爬虫類が繁栄します。代表的な単弓類動物は「ディメトロドン」です。ディメトロドンは背中にある扇のような帆を使い、哺乳類のように体温調節ができたという説があります。

<ディメトロドンの復元イメージ>

古生代の生物の終わり

古生代に出現した生物のほとんどは、絶滅の運命をたどります。ペルム紀末に起こった大絶滅の様子を見ていきましょう。

海洋生物の大絶滅

カンブリア紀以降、地球では5回の大量絶滅が起こっています。中でもペルム紀終盤に起こった絶滅は史上最大規模といわれ、「大絶滅」とも呼ばれています。

この時期には海洋生物の約90%が絶滅したとされ、三葉虫や古生代型のサンゴもいなくなってしまいました。地上にいた単弓類も、ほとんどが絶滅しています。

絶滅を免れたわずかな生物は、恐竜を含む新たな脊椎動物へと発展します。同時に地質時代の区分も、古生代から中生代へと変わるのです。

大絶滅の原因とは?

大絶滅が起こった理由は長い間はっきりせず、バクテリア出現説や小惑星衝突説などさまざな仮説が提唱されていました。しかし現在では、大規模な火山活動による気候変動が原因と結論づけられています。

火山活動で発生した高温マグマにより岩盤中の炭化水素が燃え、発生した温室効果ガスの圧力で大噴火が起こり、大気中の温室効果ガス濃度が上昇した結果、地球温暖化が進行して陸上の植物が姿を消したと考えられています。

加えて2023年には、山口大学大学院創成科学研究科助教を中心とした国際研究グループによって、大規模火山活動と絶滅の繋がりのヒントとなる研究結果が発表されました。当時約90万年続いた火山活動によって、火災が発生し植物がなくなり、大量の土壌が海へ流れ込み、海の環境悪化するという一連の流れが数百年ごとに起こっていたことが分かったのです。

参考:
史上最大の生物の大量絶滅の原因を特定| プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-
国立大学法人山口大学プレスリリース

生物が爆発的に増えた古生代

古生代カンブリア紀以降の地層から多くの化石が発見されることから、地球の生物はこの頃に増え始めたと考えられています。古生代後半には陸上で暮らす生物も現れ、地球はぐっと賑やかになりました。

化石や再現画像などを手がかりに、親子で古生代の動植物に想像をめぐらせてみると、地球の歴史がもっと面白く感じられるかもしれません。

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構成・文/HugKum編集部

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