アルゼンチンとは?
まずは、アルゼンチンがどのような国なのか、基本的な情報を押さえておきましょう。
どこにある国?
アルゼンチンは南米大陸の最南端大西洋岸に位置する国です。
チリやボリビア、パラグアイ、ブラジル、ウルグアイと国境を接します。
基本情報
首都や人口、面積は以下のとおりです。
首都
ブエノスアイレス
人口
4586.5万
通貨
ペソ
面積
278.0万km2
言語
スペイン語(公用語)、イタリア語、英語ほか
時差
日本とアルゼンチンには12時間の時差があり、日本のほうがアルゼンチンより12時間進んでいます。
アルゼンチンの歴史
では、アルゼンチンはどのような歴史を持つ国なのでしょうか。アルゼンチンの独立から建国、昨今の経済状況に至るまでを簡単に解説します。
16〜18世紀はスペインの植民地時代
16世紀から18世紀初頭まで、この地域は植民地としてスペインに統治されていました。
しかし、スペイン本国にナポレオンが侵攻したことによるスペイン帝国の混乱をきっかけに、アルゼンチンの指導者たちはスペインからの独立運動を始めます。
1810年には「5月革命」が起こり、この地を統治していた副王バルタサール・イダルゴ・デ・シスネロスを失脚させました。
1816年に独立宣言
1810年以降にラテンアメリカ諸国が独立していくなかで、1816年にはこの地域も「ラプラタ諸州連合」として独立宣言をします。
1853年に憲法を制定して共和国となり、1862年には、スペイン語の国号である「ラプラタ」を廃止。同じく「銀」という意味を持つラテン語の「アルヘントゥム」に基づいて国名を改め、「アルゼンチン」という名の国が生まれました。
1860年から1930年ごろに大きく経済発展
世界第8位といわれるほどの広大かつ肥沃な国土を持つアルゼンチンは、独立後に国家体制が整うと、ヨーロッパ諸国からの投資を受けながら農作物をヨーロッパに輸出する「国際分業体制」を確立。加えて、南欧諸国から移民労働者を受け入れたことで、1860年以降は大きな経済成長を見せました。
世界恐慌が起こる1929年まではアルゼンチン経済の最盛期といえます。
その後は経済的に不安定な傾向に
しかしながら、その後は世界恐慌の影響や軍事政権によって経済は不安定化の傾向に。フォークランド諸島紛争でイギリスに敗北したことで1983年には軍事政権が崩壊しますが、しばらくの間は低迷します。
2000年代半ばに瞬間的に高度経済成長を再び迎えたものの、2007年のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル政権時代以降は、左翼政権が貿易保護主義やバラマキを行ったことで再び経済不振に陥ってしまいました。
このように、20世紀初頭前後にめざましい経済発展を見せながらも、その後は先進国から発展途上国へと変貌した唯一の国であることから、経済学の研究対象として関心を集めている国でもあります。
アルゼンチンの特徴・魅力
そんなアルゼンチンには、どのような特徴や魅力があるのでしょうか。アルゼンチンに訪れた際にぜひ注目したい魅力や、気をつけたい特徴をお伝えします。
世界遺産の宝庫
アルゼンチンには「世界遺産の宝庫」と呼ばれるほど、世界遺産が多いことをご存知でしたか?
アルゼンチン国内では、「イグアスの滝」「ウマウアカ渓谷」「バルデス半島」「ロス・グラシアレス国立公園」等々、なんと計11もの地域が世界遺産に登録されています。11の世界遺産のうち、5つは自然遺産で、 4つは文化遺産、2つは他国との共同での登録です。
タンゴやサッカーで有名なスポーツ大国
アルゼンチンを「スポーツ大国」として認識している方も多いのではないでしょうか。アルゼンチンといえば、ワールドカップの常連国でもあることから、サッカーを得意とするイメージがありますよね。ディエゴ・マラドーナやリオネル・メッシをはじめ、サッカー史上に残る名だたる選手を数多く輩出している国でもあります。
また、アルゼンチン・タンゴの発祥の地でもあるため、タンゴを見る機会に恵まれた国です。
牛肉の消費大国
意外と知られていないのが、アルゼンチンは牛肉の消費大国だということ。アルゼンチンは1人あたりの年間牛肉消費量が世界最高水準で、主食が牛肉といっても過言ではないとすら言われるほどです。
なかでも、金網を使って炭火で焼き上げた「アサード」と呼ばれる食べ物は、アルゼンチンの代表的な牛肉料理。牛肉の価格も日本に比べて非常に安く、身近な料理として国中から愛されています。
治安には要注意!
アルゼンチンは、かつては比較的「治安が良い」と言われていました。しかしながら、経済・財政状況が悪化した昨今では、ブエノスアイレスを中心に犯罪が多く生じています。強盗や窃盗のほか、銃器類を用いた重大な犯罪も多数。旅行の際は、十分に注意する必要があります。
アルゼンチンの観光スポット
最後に、アルゼンチンに観光で行く際は、ぜひ立ち寄りたい場所をご紹介します。広大な自然を堪能できそうなスポットや、街歩きにぴったりな観光名所を集めてみました。
イグアスの滝
アルゼンチンとブラジルの国境を流れる「イグアスの滝」。北米の「ナイアガラの滝」や、アフリカの「ヴィクトリアの滝」と並んで世界三大瀑布のひとつとされる大規模な滝です。
その中でも、アルゼンチン側からは「悪魔の喉笛」と呼ばれる大滝を展望台から眺めることができます。大迫力の水飛沫と、水飛沫によって生まれる虹には圧倒されること間違いなし。
ペリト・モレノ氷河
アルゼンチン・サンタクルス州の南西に所在する、世界自然遺産「ロス・グラシアレス国立公園」には、大型の氷河が47、小型の氷河が200以上位置しています。
その中でも、全長約35km、面積約250km²という規模感を誇り、最も有名な氷河が「ペリト・モレノ氷河」です。淡水ゆえに独特の青みがある美しい姿は圧巻!
カミニート
アルゼンチンの首都ブエノスアイレス南東に所在するボカ地区内の「カミニート」と呼ばれるエリアには、驚くほどカラフルな街並みが広がっています。
かつてはブエノスアイレス唯一の外港だったため、このエリアにはヨーロッパ諸国の移民が移り住んでいました。その際に、イタリアの一部の地域には自宅を判別しやすいようにそれぞれが家の外壁をカラフルに塗るという風習があるのですが、この風習がイタリアからの移民によってカミニートにも持ち込まれ、現在のようなカラフルな街並みができあがったといわれます。
アルゼンチンタンゴ発祥の地ともいわれており、その起源にも、ヨーロッパからの移民が故郷を思って夜な夜な踊っていたことがある、と考えられているようです。
エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド
ブエノスアイレスにある書店「エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド」も定番の観光スポットです。
ここは単なる本屋さんではなく、歴史ある劇場をリノベーションしたという名所。天井には壮大なフレスコ画が描かれていたりと、豪華な内装にきっと誰もが魅了されてしまうはず。
観光の際は深掘り必須!知れば知るほど奥深いアルゼンチンの魅力
今回は、アルゼンチンという国の歴史や文化、観光地をご紹介してきました。文化や街並みに移民からの影響が色濃く反映されていたりと、知れば知るほど奥深い国でしたね。旅行や留学で訪れる際は、ぜひ気になるポイントを深掘りした上で、現地を堪能してくださいね。
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文・構成/羽吹理美