東京では知られていない「地蔵盆」。子どもが主役の行事が開催される時期や地域、主な内容をチェック

地蔵祭りや地蔵会(じぞうえ)とも呼ばれる地蔵盆は、子どもを中心とした行事です。地蔵盆の由来や実施している地域・時期、行事の主な流れなどを解説します。費用や対象年齢などの注意点もチェックし、地蔵盆の参加に役立てましょう。
(上画像:地蔵盆によせた子どもの工作>

地蔵盆はどのような行事?地域・時期も確認

「地蔵盆」という言葉自体を、初めて聞いた人もいるかもしれません。まずは、地蔵盆の特徴や実施している地域・時期などを解説します。

子どもが主役の地域行事

古くから伝わる地蔵盆は、子どもに関係した行事です。

子どもとの散歩中などに、お地蔵さんの像を見かけた経験がある人は多いのではないでしょうか。道端で見かける「辻地蔵」とも呼ばれるお地蔵さんは、もともとお釈迦様から人々の救済を任された地蔵菩薩でした。

時代の経過とともに地蔵信仰が広がり、地域の守り神としての役割を果たすようになったと考えられています。日頃から地域を守ってくれている地蔵菩薩に感謝をするとともに、子どもの健康や幸せを願う行事が地蔵盆なのです。

地蔵盆の灯明のあかり

京都をはじめとする近畿地方がメイン

地蔵盆は京都で誕生した行事のため、近畿地方をメインに実施されています。北陸地方の一部でも地蔵盆をする地域はありますが、東京をはじめとする関東地方にはなじみのない行事です。

関東地方で地蔵盆が知られていない理由には、地蔵信仰が浸透した時代の違いが挙げられます。京都でお地蔵さんが流行した室町時代、東京ではお稲荷さん信仰が人気でした。

東京でお地蔵さんがつくられたのは、江戸時代になってからだといわれています。地蔵信仰が京都ほど定着せず、地蔵盆も広がらなかったと考えられます。

7月24日・8月24日の前後に地域主体で実施

地蔵盆をする時期は地域によって異なりますが、地蔵菩薩にゆかりのある7月24日・8月24日前後に行うのが一般的です。お地蔵さんには地域の守り神としての役割があるので、基本的には地域の自治会・町内会が中心となって地蔵盆を実施します。

7月24日・8月24日が平日の場合は、前後の土日で地蔵盆をする地域も増えています。少子化が進んでいることもあり、地蔵盆自体が縮小されてきているのも事実です。

地蔵盆の主な内容・流れ

地蔵盆。お堂の前に積まれた供え物 by miya , CC 表示 3.0, wikimedia commonsより

同じ近畿地方でも、地域によって地蔵盆の内容が異なります。地蔵盆が生まれた地域とされる京都を例に、主な内容・流れを確認しましょう。

地蔵の手入れ・お供え・飾り付け

地蔵盆が近づいてくると、地域住民で協力してお地蔵さんの手入れを始めます。お地蔵さんの手入れの流れは、以下の通りです。

1.お地蔵さんを祠(ほこら)から出す
2.水をかけて清める
3.お地蔵さんに色を塗る(化粧)
4.新しい前掛けをつける

お地蔵さんの手入れが終わると、地域住民から集められた花や菓子などを供えます。会場のまわりに灯籠や行燈、参加する子どもの名前を記入した提灯などを飾って準備は終了です。

読経に合わせた「数珠回し」

地蔵盆では、直径2〜3mほどの大きくて長い数珠を使った「数珠回し」が行われるケースもあります。数珠回しは「数珠繰り(じゅずぐり)」とも呼ばれ、子どもたちの無病息災を願う儀式です。

数珠を囲むように座った子どもたちが、僧侶の読経に合わせて順番に数珠を回します。回している最中に大きな珠が目の前にきたタイミングで、一礼をするのがマナーとされています。地域によって異なりますが、数珠回しは子どもと大人の参加が可能です。

子どもたちにお供物がふるまわれる

お地蔵さんに供えられた餅やまんじゅうなどの菓子類は「お下がり」として、参拝した子どもたちに配られます。お下がりをもらった後には、子ども同士で食べたり、遊んだりして楽しく過ごす流れです。

地域によっては、手料理がふるまわれたり、スイカ割りやゲーム大会などを実施したりするケースもあります。その他、縁日を開催して、祭りのような雰囲気で地蔵盆を盛り上げる地域も存在します。

地蔵盆に関するQ&A

地蔵盆の提灯

地蔵盆に興味はあるものの、「どんなふうに参加するの?」と不安な人もいるかもしれません。最後に、地蔵盆にまつわる疑問点をピックアップして解説します。

参加に費用はかかる?

地蔵盆は地域行事のため、運営元によって参加費用の有無は異なります。ただ、地蔵盆で子どもにふるまわれるお供物は、地域の住民から集めるのが基本です。花や菓子などを用意しておくと、親子ともに気持ちよく地蔵盆に参加できるでしょう。

地蔵盆に供える花には、見た目が提灯に似ている「ほおずき」がおすすめです。また、お地蔵さんに供える菓子類は、餅などの日持ちするものを選びましょう。なお、お供えとして現金を包む場合には、運営元の町内会などに金額が決まっていないかを確認することが大切です。

子どもは何歳まで参加できる?

地蔵盆では基本的に、参加する子どもに年齢制限は設けていません。ただし、お供え物を配る対象を幼児から小・中学生に限定している地域もあります。地域によって違いはあるものの、幼児から小学生までが主流です。

地域によって参加者の年齢層が異なるため、同年代の子どもがいるとは限りません。参加する地蔵盆の運営元に連絡し、参加する子どもの年齢層を確認しておくのがおすすめです。

子どもが主役の地蔵盆で夏の思い出を作ろう

京都で誕生した地蔵盆は、近畿地方や北陸地方の一部でなじみのある行事です。地域を守るお地蔵さんに感謝を伝えると同時に、子どもの健康・幸せを願います。地蔵盆が実施される時期は、7月24日・8月24日の前後が一般的です。

地蔵盆の準備は地域の大人が担い、当日には子どもが主役となって伝統的な儀式を体験したり、お供えのお下がりをもらったりします。自治会・町内会が主催するケースが多いため、お供物のマナーや参加者の年齢層などを確認しておくと安心でしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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