【図書館でのマナー】気持ちよく利用するために子どもに伝えておきたいルールをマナー講師が伝授

夏休みになると、子どもがいつも以上にお世話になる場所があります。それは図書館です。学校で出された宿題の読書感想文を書いたり、自由研究の資料を探したり、ゆっくり読むことができなかった本を楽しんだりと、いつも以上に頻繁に足を運ぶ方が多いのでは?

夏休み、特にお世話になる機会が増える図書館。

図書館に行ったときにふと周りを見渡せば、小さな子どもと椅子を並べ、顔を寄せ合い絵本を読む親子の姿、制服姿の学生の方が辞書を横に置いてノートに文字を書く姿、奥では窓際の席に座り雑誌を読むご高齢の男性の方の姿がありました。
まさに老若男女問わず、誰もが本のある空間を楽しみ、知識を得ることができる場所です。
公共の場であるからこそ、小さいうちから身に付けておきたい図書館でのマナー。いずれ子どもが一人で図書館を利用するときに“知らなかった”“やってもいいと思っていた”とならないよう、今回は“子どもが図書館を利用するときに身に付けておきたいマナー”についてお伝えします。

「図書館は静かに利用する」を子どもに理解してもらうには?

図書館を利用するとき、一番初めに伝えておきたいことですね。子どもに伝えるときは“なぜそうするのか”“そうすると誰がどういう気持ちになるか”を伝えてあげましょう。私は子どもがまだ小さい時、何回も訪れている図書館であっても毎回一緒に館内を歩き「今日の図書館にはどんな人たちがいる?」「みんなどんなふうに本を読んでいる?」「もしうるさくしたらどんな気持ちになる?」と一緒に自分たちの過ごし方を確認してから利用するようにしていました。

訪れた時に人が多くても、少なくても、誰が来ていても全員が“図書館では本を静かに読んでいる”ということを目で見て感じることができます。「図書館では静かに過ごす」と言葉だけで伝えるよりも実感してもらえた気がしますよ。

”ひそひそ声”を事前に家で練習してみよう

静かに利用することが大切だ、ということが確認できたら、今度は静かに利用する練習をしてみましょう。図書館はお話をしてはいけない場所ではありません。でもお話をするなら静かに話して欲しいというのは全員の願いです。例えば「お手洗いに行きたい」「喉が渇いた」「あの本が見たい」など、子どもとの会話は必ず発生します。そのときには〝ひそひそ声〟でお話をするようにしましょう。ただ、このひそひそ声が小さな子どもには難しいものです。事前にひそひそ声の練習を行うときは図書館で行わず、家で練習してみましょう。

ひそひそ声の練習自体が子どもには遊びの一つとなり、楽しくて笑ってしまうこともありますし、自分たちはひそひそ声で話していると思っても、会話が続けば周りには耳障りに感じるものです。実際にひそひそ声ができたときはもう一工夫してみましょう。

会話は短い単語とジェスチャーで伝えることです。例えば水筒を見せながら「のむ?」と確認する、読んでいた絵本を見せながら「変える?」と子どもの意思を確認するのです。そうすれば話す言葉は少なくて済みますし、子どもも頷くか首を振ることで意思を伝えることができますね。

絵やカードを使う方法も

もう一つは会話が生まれそうなことを絵やカードにして、指で指す方法です。

事前に子どもと意味を確認し合っておけば、どの絵が何の意味なのか分かるので子どもの意思を確認できます。それでも声が大きくなったときには合図を決めておきます。

唇に人差し指を当てる仕草は“静かにしようね”の合図だよ。と伝えておけば言葉で「静かにしなさい」と言わなくても子どもに伝わります。何も言わず動作を見てもらうのです。自分で気づき、自分から行動を変えることができるよう、導いてあげましょう。

図書館で静かに過ごすことが身につき、一人で利用するようになったら、次は職員の方に話しかけるときの言葉、声のかけ方を伝えてあげるといいですね。「すみません、今宜しいですか?(いいですか?)」と伝えてから、聞きたいことを伝える。相手も質問を受け止める準備ができます。一人ではなくお友達と一緒に図書館を利用するときには、会話の声、机を利用するスペースなど周りの方への気遣いを忘れないように確認してから送り出してあげましょう。

親が本を大切に扱う姿を見せる

図書館で本を借りると、時たま線が引かれているページを見つけることがあります。本に“汚れがあります”という注意書きが貼られていることもあり、悲しくなることがあります。それは致し方ない理由があったのかもしれませんが、次に受け取る人は悲しいですよね。他の方にそのような気持ちにさせないよう、自分も気を付けますが、子どもにも手に取った本は大切に扱ってもらいたいものです。大切な本をお借りしているのだ、次に誰かが読むことを楽しみにしている本なのだ、という気持ちは大人になっても持ち続けて欲しいもの。

そのために“本を読む手は汚れていないか”“周りに汚してしまいそうなお菓子やジュースは置いてないか”親子で毎回確認し、子どもが一人で本を扱うようになっても自分で確認できるようになるといいですね。雨の日に図書館に行く時にも、お借りした本が濡れていないか、衣類の濡れが本につかないか気にするようにしましょう。
図書館の本が大切なものであると子どもに伝える一番の方法は、親が図書館の本を大切に扱う姿を見せることです。本を渡すときも、受け取るときも両手で扱う。そっと置く。それだけで子どもには“図書館の本は大切なものだ”と伝わりますし、扱い方の見本となりますよ。

携帯電話・ゲーム機のルールを確認

今は小学生でも携帯電話を持っているお子さんもいらっしゃいます。親子での連絡のやり取りなど、必要になるものですね。日頃、扱うルールを伝えていても、図書館という公共の場で気を付けなければいけないことは再度確認しておきましょう。一人で図書館を利用する場合は、次の2点を親子で確認することをお勧めします。

一つ目は館内で通話できる場所です。館内での携帯電話の通話は禁止だと分かっているが、何処なら通話可能なのか分からない。ほんの少しの会話なら、ひそひそ声ならいいだろう・・とならないよう“通話するならここ“と場所を確認しましょう。

二つ目は席を離れるときの荷物の扱い方(貴重品は身に付ける、資料は広げたままにしないなど)です。鞄の中に”図書館では出さないけどゲーム機を入れていた、戻ってきたら無くなっていた”なんてことが起きないよう、ゲーム機やお金は貴重品であり、常に身に付ける必要があることも親子で確認しましょう。

図書館での時間が利用する全ての皆さんにとって良い時間としたいですよね。自分の心掛けや行動がみんなの良い時間に繋がるよ、とぜひ子どもたちに伝えてあげて下さいね。

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文・構成/赤名麻由子

赤名 麻由子

シニアマナーOJTインストラクター|キッズマナーインストラクター
一般社団法人マナーOJTインストラクター協会所属。資格取得後、保育園やカルチャーセンターにて子どもたちにマナーを伝える活動を行っている。二児の母

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