広島銘菓「もみじ饅頭」の誕生に伊藤博文がかかわっていた? 豊富すぎる種類と歴史をチェック!

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もみじ饅頭といえば、もみじの形をした和菓子。広島や宮島の土産としてよく知られています。カステラ生地の中に粒あんやこしあんが入っているほか、今ではチョコレート、抹茶、フルーツ味など、さまざまな味のバリエーションが生まれています。そんなもみじ饅頭の歴史や由来、地域やメーカーの違いに迫ります。

もみじ饅頭とは

もみじ饅頭(もみじまんじゅう)とは、名前のとおり、もみじの形のお菓子。広島土産のほか、広島県廿日市市(はつかいちし)の西に位置する、日本三景のひとつとして知られる「宮島」のお土産としてもよく知られています。

外側はカステラ生地、中には粒あんやこしあんが入っていて、多くの和菓子店がそれぞれのオリジナルの味を開発しています。

場所・エリア

もみじ饅頭は、広島を代表するお菓子のひとつとして全国区でよく知られています。広島駅のほか、平和記念公園などの観光地でもよく販売されています。

また、広島の人気観光地としてはずせないのが、宮島。JR広島駅から電車で30分ほどのJR宮島口駅から、フェリーに乗ってアクセスできる場所で、瀬戸内海に色鮮やかな大鳥居が立つ厳島(いつくしま)神社があるところです。世界文化遺産にも登録され、国内外から数多くの観光客が訪れる場所で、そんな観光客が宮島土産として買っていくのが、もみじ饅頭です。

宮島の新名物、串に刺さった『揚げもみじ®』。食べ歩きスイーツとして人気。
宮島の新名物、串に刺さった『揚げもみじ®』。食べ歩きスイーツとして人気。

いつ、どんなときに食べる?

もみじ饅頭は、一年を通してさまざまなシーンで食べられています。お茶請けにはもちろん、知名度も高いため、ちょっとした手土産や贈り物としても喜ばれることでしょう。

歴史

もみじ饅頭が生まれたのは、明治時代後期。高津常助(つねすけ)という、当時の和菓子職人が作ったと言い伝えられています。

宮島には、秋になると紅葉がすばらしいことで知られる紅葉谷公園があり、そこには約1000本ものモミジが植えられています。あるとき、紅葉谷の旅館「岩惣」の女将から、この職人は「紅葉谷にふさわしいお菓子を作ってくれないか」と相談を受けたそうです。そこで、紅葉にちなんで作られたのが、このもみじ饅頭と言われているのです。

由来、言い伝え

もみじ饅頭を作ったのは、和菓子職人の高津常助だとご紹介しました。このとき、ヒントになったと言われているのが、初代総理大臣だった伊藤博文の言葉です。

伊藤博文はたびたび紅葉谷を訪れていて、あるとき立ち寄った茶店で、お茶を持ってきた娘の手を見て、冗談めかして「もみじのような可愛い手を食べてしまいたい」と話したそうです。そんなことをヒントに、もみじの形をしたお菓子を作ろうと思いついたと言われています。

もみじ饅頭の特徴

バリエーションもいろいろ。画像は栗あんのもみじ饅頭。

もみじ饅頭の特徴について、見てみましょう。

特徴1:もみじの葉のかたち

もみじ饅頭の一番の特徴は、もみじの葉のかたちをしていることでしょう。もみじは広島県の県花で、県の木でもあります。それだけ、広島のシンボルになっている植物です。そんなもみじのかたちを可愛らしくそのままお菓子にしています。

特徴2:あんと生地

もみじ饅頭は、小麦粉、卵、砂糖、水飴などを配合したカステラ風の生地で、あんを包んでいます。ふんわりとやわらかな生地と、シンプルなあんの組み合わせは、いわば和菓子の王道。老若男女に好かれる味わいです。

特徴3:バリエーションが豊富

全国各地に、それぞれの地方で作られる饅頭がありますが、広島のもみじ饅頭はとくにバリエーションが豊富。同じもみじのかたちはそのままに、中のあんに各店が研究を重ね、さまざまな味が生まれています。

スタンダードなのは、粒あんやこしあん、抹茶など。それ以外にも、チョコレート、チーズのような洋風の味も登場し、生地にも竹炭や酒を練りこんだものなども生まれています。

特徴4:山陽新幹線の開通で人気に

もみじ饅頭が一気に全国区で知られるようになったのは、1975年の山陽新幹線の開通がきっかけです。新幹線に乗って、遠くのエリアから多くの人々が広島を訪れるようになり、帰りにはもみじ饅頭をお土産として買って帰り、より幅広いエリアでもみじ饅頭の存在が知られるようになりました。

特徴5:漫才ブームのギャグでも人気爆発

さらに、もみじ饅頭の人気に火がついたきっかけが、1980年代の漫才ブームで生まれたギャグでした。「R&B」という漫才コンビが、お笑いのネタのなかで「もみじ饅頭」の言葉を印象的に使ったことから、もみじ饅頭の知名度もぐんとアップ。漫才人気とともに、もみじ饅頭の人気も上昇していきました。

もみじ饅頭の違い

もみじ饅頭
店舗によって少しずつ異なるもみじ饅頭

もみじ饅頭のかたち、味、食感は、つくる和菓子店によっても異なります。

やまだ屋

宮島にある老舗和菓子店「やまだ屋」のもみじ饅頭は、わりと大きめ。中のあんもぎっしりと入っていて、生地もしっかりとしています。

高津堂

「元祖もみぢ饅頭の店」とうたう「高津堂」のもみじ饅頭は、生地がもちもちとした食感。生地は少し薄めなところも特徴的です。

藤い屋

大正14年創業の「藤い屋」のもみじ饅頭は、全体的に厚みがあってころんとした丸みを帯びたかたち。他店と比べると、生地が厚めで、その分あんは少なめです。

大國堂

「大國堂」は広島県庄原市に店を構える和菓子店で、すこし香ばしさを感じる生地が特徴。生地も中のあんも、全体的にほろっとしたやわらかです。

もみじ饅頭の作り方

今では機械化が進んでいますが、昔は手焼きで作られていました。広島の和菓子店のなかには、手焼きでもみじ饅頭の手作り体験をできるお店もあります。ここでは、スタンダードな作り方をご紹介しましょう。

材料

  • 小麦粉
  • 砂糖
  • はちみつ
  • 粒あん(市販品)

作り方

  1. 小麦粉、卵、砂糖、はちみつを混ぜて生地を作ります。
  2. もみじ饅頭の型を火にかけて、温まったら油を塗ります。
  3. 型の半分の高さまで生地を流し入れます。
  4. 生地の中央に粒あんをいれます。
  5. 型を閉じて、ひっくり返して両面をしっかり焼きます。

もみじ饅頭のおすすめ

もみじ饅頭を食べてみたくなった方に、ここで通販で購入できるおすすめのもみじ饅頭をご紹介します。

やまだ屋 もみじ饅頭

1932年に宮島で創業した「やまだ屋」は、もみじ饅頭の製造元として始まった店。途中で戦争によって物資が不足して製造できない時期もあったそうですが、今では約20種類のもみじ饅頭を販売しています。このもみじ饅頭は、スタンダードなこしあんのタイプです。

揚げもみじの紅葉堂 もみじ饅頭

つぶあん・抹茶・こしあんの定番のほか、瀬戸内レモンをふんだんに使用した「瀬戸内レモン」、濃厚でなめらかなレアチーズケーキを彷彿させる「レアチーズ」など、全部で8種類のもみじ饅頭のセットです。

高津堂 もみぢ饅頭

初代高津常助がつくった「紅葉形焼饅頭」が、現在のもみじ饅頭になったという、元祖もみぢ饅頭の店として有名な「高津堂」。100年以上人々に愛されている味をぜひ。

博多屋 もみじの出逢い

「もみじの出逢い」と名付けられたもみじ饅頭です。瀬戸内オーガニックレモン&瀬戸内の藻塩仕立てと、ユニークな味わい。フライパンで素焼きするか、オーブンで焼いて食べると、さらにおいしくなるそう。

平安堂梅坪 キャラメルもみじ

広島の老舗和菓子店「平安堂梅坪」のもみじ饅頭です。柿羊羹、安芸れもんなど、広島にゆかりのある素材を活かしたもみじ饅頭を提案しています。これは、森永のキャラメルソースを使ったキャラメルあんを入れています。洋風の味わいのもみじ饅頭です。

もみじ饅頭の食べ比べを楽しもう

広島に行ったことのない人も、ゆかりのない人でも、きっともみじ饅頭の存在を知っているのではないでしょうか。もみじ饅頭は広島にある多くの和菓子店が作っていて、それぞれでユニークな味のバリエーションを展開しています。それらを食べ比べて、お気に入りの店や味を探してもきっと面白いですね。

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文・構成/HugKum編集部

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