タイピングはゲーム感覚で。自分でやるところまで持っていく
Q.ねじさんのお子さんは、タイピングを小学校低学年には習得されていたとのことですが、具体的にどんなタイピング練習をされていましたか?
佐藤ねじ(以下、ねじ):うちの子どもがタイピングの練習を始めたのは、小学2年生くらいの頃です。基本はスマートフォンやタブレットにあるアプリで無料のものを適当に選んでいくつかダウンロードして、実際にやらせてみて、本人がゲーム感覚で楽しめるものを続けていった感じです。
アプリも「絶対これがいい」というのがあるわけじゃなくて、検索して上のほうにあるものを複数ダウンロードして、実際やっておもしろがるものをやるのがいいと思います。どんどん新しいのも出ますしね。
基本的にはなんでも「子どもが夢中になるものにうまくエネルギーを持っていく」という考え方。だから何ごとも、興味がなければ無理してやらなくてもいいと思っているんですが、タイピングに関してはやっておいたほうが今後いいだろうなと。あと、タイピングって子どもの文脈にはないから自発的には学びにくい。だから、これに関してはわりと王道で教えた感じです。
あと、僕はあまり「褒めて伸ばす」が得意ではないのですが、子どもがちょっとうまく打てていたら、「いいじゃん」って強めに褒めたりもしました。普段はやらないんですけど、ここは多少、子どもに媚びました(笑)。そんな感じで、他のことよりちょっと手厚くケアしていました。
そのうち、子どもが「どうぶつの森」のゲームにハマって。欲しい道具を自分で検索して探すようになったんですよね。そういうときに自分でタイピングさせたり、googleを自力で使わせたりして、「自分で調べた」という経験値を渡してあげるようにしました。その調べた攻略法を、何も知らない奥さんが「自分で調べて見つけたの!凄いねー」みたいな反応をすることで、ある意味勘違いしながらモチベーションが上がっていきました。
タイピングって、うっすらと練習しておけば、そこから先はだんだんと自分でやっていけるようになる。そんな感じで、親としては歯車が回るところまでサポートしてあげた感じです。
デジタルにまつわる「嫌なもの」はあえて隠さずオープンに
Q.デジタルに慣れてほしい一方で、親としては汚い広告だったり、与えるのが不安な情報があります。そういったものを防ぐために気をつけていることはありますか?
ねじ:リスクの捉え方次第ではあるんですが、僕はわりと悪い情報を有用としています。だから「悪いものはブロック」というよりは、それを目にしたときに「こういうリスクがあるんだよ」というのをオープンに話すようにしています。
ゲームをしていても、本当に変な広告が出てきたりするんですよ。そういうときに「こんなとこに貼って、本当にしょうもないよね」「これをクリックするとけっこうやばいぞ」とか話してますね。多少フィクションも交えたりして、「これをクリックしてもし架空請求されたりしたら、お前自分で払えよ」みたいな感じで言ったり。
小学生の時から知っているべきか、いつ伝えるべきかっていう議論もあるなかで、早期であることを推奨するわけではないんですけど、あくまでうちでの、子どもと僕の距離感という前提であれば、自由にやらせるというふうにしています。セーフサーチやアドブロックみたいな機能はあれば使いますけど、結局それで完全に防げるわけではないですよね。要は「デジタルリテラシーをつけるためには、結局隠しててもしょうがない」っていう思いがあるんです。
履歴を全部チェックするみたいなことはやりません。サステナブルに何ができるかですよね。「何をすると一番やばいのか」って考えると、たとえば子どもが僕の想像を超えて、めちゃくちゃプログラミングをスキル上げて、ディープウェブ(一般的な検索エンジンでは見つけられないWEBサイトやコンテンツ)のほうに行っちゃう。それこそリスクですよね。変な広告でも多少目に触れておくことをローリスクとしたとき、それに対してオープンに話したことで得る知識はハイリターンです。だったら全然そのリスクはとる、っていう感じがありますね。
SNSに関してもそうで、「最近こういうことで炎上している」ということも、家でよく話したりしています。炎上とか誹謗中傷なんかはむしろ見ないほうがいいよって言ったりもしますけど、話題になったことをLINEでシェアしたりとかはしています。そのへんのお互いの信頼がとれているのかもしれませんね。
お話を伺ったのは
佐藤ねじ
1982年生まれ。2016年ブルーパドルを設立。WEB・アプリ・商品やお店などの企画とデザインを行う。主な仕事に「ボードゲームホテル」「アルトタスカル」「隠れ節目祝い」「佐久市リモート市役所」「小1起業家」「劣化するWEB」など。
「こどもの夢中を推したい」
「YouTubeにばっかり夢中でも大丈夫?」「中学受験する?しない?」「夢中になる子は、家でどんなことしたか?」「思春期の子と、どう接するか?」
「小1起業家」などの探究学習的な試みでも話題の著者が、子どもが小4になってぶち当たった教育の壁。正解がわからない時代に、いま親がすべきこととは?夢中と学びについて、7組の家族・先生・起業家・哲学者・アーティストと対談した子育てのヒント集。
「子育てブレスト」
寝ない、登園しない、食べない、着替えない、宿題をしないといった子育てあるあるにどう対処するか。
クリエイティブの手法を育児に活かした新しい解決策が勢揃いです。
アイデアを真似するうちに、「早くして」「勉強しなさい」と言わない発想転換も身につきます!親と子どちらも楽しめる “意外な解決策“をぜひお試しください!
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取材・文/五十嵐ミワ