「衛星」って何? 月以外の有名な衛星や、人工衛星の種類も併せて解説【親子でプチ科学】

月を始め宇宙には多くの衛星があり、人類による調査研究も進んでいます。衛星について親子で正しく理解することは、宇宙への興味を高めるきっかけになるかもしれません。惑星との違いや人工衛星のことなど、気になるポイントを分かりやすく解説します。

衛星とはどのようなもの?

星はその特徴によって、恒星や惑星、衛星などと分類されています。まずは衛星の特徴と、他の星との違いを押さえましょう。

惑星などの周囲を回っている天体

衛星とは、惑星などの周囲を回る天体のことです。地球は惑星なので、その周りを回る月は地球の衛星です。

地球が所属する太陽系の中では、軌道が確定されていないものも含めて、すでに200個以上の衛星が発見されています。天体望遠鏡や探査機の進化により、今後もその数は増えると考えられています。

また2018年には太陽系の外にある惑星(系外惑星)に、衛星と思われる天体が初めて確認されました。2022年には2番目の衛星候補も見つかっており、確認が待たれます。

惑星や恒星との違い

惑星とは、以下の条件を満たした星のことです。

●恒星の周囲を回っている
●質量が大きく、自身の重みで丸くなっている
●軌道上に衛星以外の天体が存在しない

恒星は太陽のように、自らのエネルギーで光を発する天体を指します。太陽の周囲を回っている天体は多数ありますが、このうち惑星と呼ばれるのは水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の八つです。

惑星以外では、準惑星や小惑星、彗星などがあり、中には衛星を持つものもあります。図のように、恒星の周りを回るのが惑星や準惑星で、さらにその周りを回るのが衛星と覚えておきましょう。

衛星に関するさまざまな豆知識

同じ惑星同士でも大きさや地表の様子が異なるように、衛星にもさまざまなタイプが存在します。知っておくとためになる、衛星に関する豆知識を紹介します。

最も衛星数が多い惑星・少ない惑星

地球には衛星が一つしかありませんが、他の惑星はどうでしょうか。2023年5月の時点で、最も多くの衛星を持つ惑星は土星です。報告された衛星の数は149個あり、不確定なものを除いても146個となっています。

2番目に多いのは木星で、95個の衛星の存在が報告されています。ただし土星と木星には未発見の衛星がたくさんあると考えられており、順位は今後入れ替わる可能性がある点に注意しましょう。

逆に衛星が少ない惑星は、水星・金星・地球・火星です。水星と金星には衛星が一つもなく、火星にもフォボス・ダイモス(ディモス)の二つしかありません。

参考:惑星の衛星の一覧|国立天文台

衛星の大きさランキング

太陽系で最大の衛星は、木星の「ガニメデ(半径2,631.2km)」です。2番目は土星の「タイタン(半径2,574.7km)」で、この二つは惑星である「水星(半径2439.7km)」よりも大きな衛星として知られています。

3位の「カリスト」・4位の「イオ」・6位の「エウロパ」は、いずれも木星の衛星です。ガニメデとこの三つの衛星は、1610年にガリレオ・ガリレイが発見したことから「ガリレオ衛星」とも呼ばれています。

なお5番目に大きな衛星が、地球の月です。

太陽系の衛星、大きさTop10。月は5位。
太陽系の衛星、大きさTop10。月は5位。

生命の存在を期待される衛星も

ガリレオ衛星の一つ「エウロパ」は、生命が存在する可能性があるとして注目されています。木星以遠の衛星は、ほとんどが氷でできた「氷衛星」です。

エウロパも氷衛星ですが、氷の下には液体の水でできた海があると考えられています。また表面には酸素を主成分とする大気があり、海に酸素が溶け込んでいる可能性も高いとされています。

水と酸素は生物にとって欠かせない物質なので、両方を持つエウロパに生命が存在すると考えるのは、自然な流れといってよいでしょう。

2023年4月にはヨーロッパ宇宙機関の主導で、エウロパ・ガニメデ・カリストを調査する探査機「JUICE(ジュース)」を搭載したロケットが打ち上げられました。JUICEは約8年で、木星系に到達する見込みです。

アメリカ航空宇宙局(NASA)にも、2024年にエウロパの探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げる予定があります。もしかすると数年後には、エウロパで生命の存在が確認されたとのニュースが聞けるかもしれません。

人類が作り上げた天体「人工衛星」

衛星と聞くと、「人工衛星」をイメージする人も多いでしょう。人工衛星の歴史や役割についても簡単に解説します。

人工衛星の歴史

世界初の人工衛星は、1957年にソ連が打ち上げた「スプートニク1号」です。以降は毎年のように、世界各国から多くの人工衛星が打ち上げられています。日本も例外ではなく、1970年に初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げています。

2022年12月時点で、人工衛星を世界で一番稼働させている国はアメリカです。稼働中の人工衛星の総数6,718基のうち、4,529基がアメリカのものです。

参考:Satellite Database | Union of Concerned Scientists

人工衛星の種類

人工衛星は利用目的によって、主に「地球観測衛星」「通信・放送衛星」「測位衛星」の3種類に分けられます。天気予報で活躍する気象衛星は、地球観測衛星の一つです。

通信・放送衛星はBS放送やTV中継などに、測位衛星はGPSなどの位置情報の計測に使われています。有人の宇宙ステーションなども地球の周りを回る軌道上にあるため、人工衛星とみなされます。

なお探査機のような、地球以外の惑星に向かう物体は、基本的に人工衛星とは呼びません。ただし調査対象の星の周りを回っている間は、その星にとっての人工衛星といえます。

人工衛星の種類。目的によって大きく3種に分かれる。
人工衛星の種類。目的によって大きく3種に分かれる。

衛星を通して宇宙の様子を知ろう

衛星は恒星と違って自ら光を発しない上に、ほとんどが惑星よりも小さいため、観測が難しい天体です。月以外の衛星については不明な点が多く、未発見の衛星もたくさんあると考えられています。

ただし今後観測技術が発達すれば、衛星についてより多くの情報が得られることが期待できます。子どもと一緒に未知の衛星の姿を想像しつつ、宇宙の様子を学んでいきましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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