「高気圧」と「低気圧」の定義と特徴は? 大人も意外と答えられない天気との関係をやさしく解説

高気圧と低気圧は、天気予報を見ているとよく出てくる言葉です。天気を正しく理解するために避けては通れない用語なので、基本を押さえておきましょう。高気圧と低気圧それぞれの定義や、気圧を理解する上でのポイントを紹介します。

高気圧・低気圧の「気圧」って何?

高気圧と低気圧を理解する前に、気圧について理解を深める必要があります。気圧とは一体何なのか、見ていきましょう。

大気が持つ圧力を指す言葉

気圧は空気がものを押す力のことで、あらゆる方向から加わっています。気圧の原因は空気の重さであり、空気が少なければ気圧が下がる仕組みです。

高い場所に行くと気圧が低くなるので、空気の押す力は小さくなります。山の上に行ったときスナック菓子などの袋が膨らむのは、袋の外から押す力より袋の中にある空気が外に出ようとする力が強くなるためです。

気圧の大きさを数で表すときは、hPa(ヘクトパスカル)を使用します。以前はmb(ミリバール)という単位が使われていましたが、現在は国際単位系のhPaに統一されました。

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高気圧と低気圧の違い

高気圧と低気圧はどちらも天気に影響を及ぼし、空気の流れ方や向きが異なる特徴があります。両者の違いや、天気図での表示方法を見ていきましょう。

気圧の高さ

まずは何を基準に高気圧と低気圧を決めているのか、見ていきましょう。1気圧が約1,013hPaと定義されているので誤解されがちですが、高気圧や低気圧には「○○hPa以上(以下)でなければならない」という、数値上の決まりはありません。周囲に比べて気圧が高いところを高気圧、低いところを低気圧と呼びます。

天気図にhPaが表示されていることがありますが、数字を見て判断しているわけではなく、周囲との比較によって決めている点を押さえておきましょう。

「高気圧」「低気圧」は、まわりと比べたときの相対的な呼称であることに注意。
「高気圧」「低気圧」は、まわりと比べたときの相対的な呼称であることに注意。

空気の流れ

高気圧と低気圧では、空気の流れ方が違います。高気圧に覆われている場所では、上空から地上へ向かって「下降気流」が流れているのが特徴です。雲が発生しづらいので晴天になる場合が多く、中心部では時計回りに風が吹きます。

一方、低気圧に覆われている場所では、地上から空へ向かう「上昇気流」が発生しています。雲が多くなり、天気が悪くなりやすいのが特徴です。中心部では反時計回りに風が吹きます。

高気圧(左)と低気圧(右)の気流の違い。低気圧の上空は上昇気流により雲が発生し、天気が悪くなりやすい。
高気圧(左)と低気圧(右)の気流の違い。低気圧の上空は上昇気流により雲が発生し、天気が悪くなりやすい。

天気図での表示

高気圧や低気圧が日本のどこに位置しているかを見れば、天気のパターンが見えてきます。

天気図を見ると×印のそばに「高」や「低」などと書いてあり、これが高気圧と低気圧の中心を示す目印です。高気圧が青、低気圧が赤で描かれていますが、このような色分けをしている理由ははっきりとしていません。

天気図に描かれているたくさんの線は、「等圧線」と呼ばれています。同じ気圧同士が線で結ばれ、太い線は20hPaごと、細い実線は4hPaごとに描かれています。線が込み入っている場所ほど、強い風が吹いていることが特徴です。

ある日の天気図(気象庁ホームページより), Wikimedia Commons

日本で見られる高気圧・低気圧の種類

日本の近くで見られる高気圧や低気圧には名前が付けられており、それぞれ特徴が異なります。日本の天気に影響を与えることが多い、高気圧や低気圧の種類をチェックしましょう。

高気圧の種類

日本の近くによく現れる高気圧の種類と、特徴を見ていきましょう。

●オホーツク海高気圧:梅雨ごろに現れることが多く、太平洋側に冷たく湿った空気を運ぶ
●シベリア高気圧:寒い時期にシベリアやモンゴル方面に現れ、西高東低冬型の気圧配置のときに西にいる
●太平洋高気圧:太平洋上に現れ、夏の暑さを運んでくる
●移動性高気圧:温帯低気圧と交互に現れ、春と秋に多い

春と秋に天気の変化が起こりやすいのは、移動性高気圧と温帯低気圧の影響によるものです。移動性高気圧は、西から東へ向かって吹く「偏西風」によって流され、移動しています。高気圧と低気圧が交互に通過するので、天気が変わりやすくなるのです。

低気圧の種類

日本の近くによく現れ、天気に影響を与える低気圧の種類と特徴を見ていきましょう。

●熱帯低気圧:熱帯域の海上で発生し、強い暴風雨を伴う
●温帯低気圧:冷たく乾燥した空気と暖かく湿った空気の境目にでき、中国・東シナ海・シベリアなどで発生
●日本海低気圧:日本海を東から北東方面に移動し、立春ごろに強い南よりの風「春一番」をもたらすことがある
●東シナ海低気圧:東シナ海で発生し、東から北東方面へ進み、太平洋側に大雪を降らせることがある

熱帯低気圧が発達し、中心部の風速が17.2mを超えると「台風」になります。単純に低気圧という場合は、温帯低気圧を指すことが多いでしょう。

「爆弾低気圧」も確認

爆弾低気圧は、熱帯低気圧のように激しい風雨の原因になる低気圧の呼び名です。具体的には、中心気圧が24時間で24hPa以上低下するものを指します。

短時間で急速に発達するため、暴風や高波などの災害をもたらすこともあります。夏から秋に発生する台風とは違い、冬から春にかけて発生することが特徴です。

なお「爆弾」という表現は好ましくないとされ、気象庁の発表などでは「急速に発達する低気圧」と言い換えられています。しかしながら、インパクトが大きい言葉なので、マスコミやメディアなどが使用するケースが珍しくありません。

台風は発達した低気圧のこと。

高気圧と低気圧の違いを正しく理解しよう

高気圧と低気圧の違いが分かれば、天気図を正しく理解できるようになります。気圧の数値ではなく、周囲と比べて気圧が高いか、低いかで判断することがポイントです。

気圧が天気に与える影響や、風が吹く方向などは学校のテストなどで出題されやすい部分なので、しっかりと整理して押さえておくとよいでしょう。日頃から天気予報を注意深く聞くなどして、日本の四季や天候に影響を与える高気圧と低気圧の種類を押さえておくと、天気の予測にも役立つかもしれません。

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構成・文/HugKum編集部

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