電車内のマナー、守れていますか?
ここで皆様と一緒に見ておきたいアンケート結果があります。一般社団法人日本民営鉄道協会の方が2022年10月1日から11月30日までの2か月間WEB上で「駅と電車内のマナーに関するアンケート」を実施し集計された結果です。
この中に“お客様が迷惑と感じる行為”が掲載されています。
1位 座席の座り方
2位 騒々しい会話・はしゃぎまわり
3位 乗降時のマナー
でした。ワースト1位の座り方のなかで、お客様が最も迷惑と感じる座席の座り方の中に“(子どもが)靴を履いたまま座席に立つ”という項目があります。
皆様も経験があるかもしれません。子どもが「窓の外を見たい」と言ったので立膝で窓の外の景色を見せたこと。もしくは、少し飽きてきて騒がしくなってしまい、なだめるため座席に立たせて外を見せたことなど。
今回アンケートの結果は、決して外の景色を見せることが悪いと言っているのではないです。その時の親の行動や子どもの状態に、周りの方への配慮がないと感じたことが不快であったことを示しています。
子どもに「う・さ・ぎ」を伝えよう
子どもが少し大きくなってきたら、お尻を椅子にしっかり着けて長時間座っていることもできるようになるでしょう。しかし、まだ小さいうちは集中できる時間が短いので難しいこともありますよね。
私が子どもに伝えるときには一駅ごとに『さあ、うさぎさんになるよ~』といって(うごかない・さわがない・ぎょうぎよく)を定着させていきました。
座るときは「今からお尻にのりをつけます~」と言ってお尻をポンと軽く触れてから座らせ、絵本を一緒に見てお話をし、手遊びで時間を持たせました。
「うさぎ」について詳しくはこちらの記事をチェック!
今は後ろを向いて窓の外を見ていい時? 子どもと一緒に考えてみよう
例えば「ママ、外見たい」と言われたとき「今、人がいっぱいだからだめ」と言うだけでは、子どもは“だめだと言われた”ことで自分の頭がいっぱいになります。欲求が満たされないことに頭と心がいっぱいで「やだ!見る!」と自分の要求を繰り返すばかり。その状態から「ほら、周りを見てごらん」「人がいっぱいだから無理よ」といくら伝えても無理でした。
そこで、まず自分で周りに目を向けられるよう言葉をかけてみました。
「今〇〇ちゃんの周りに人は少し? いっぱい? 立膝してお外をみたときにぶつかったり足があたったりしないかな?」と声をかけます。すると周りを見て「今、人いっぱいいる」「今、人いないよ」と伝えてくれました。親と意見が違う時も、親としての意見を加えたいときも、まず子どもの意向を私(親)が理解したことを伝えてからこちらの想いを伝えました。
「分かった。〇〇ちゃんは今、人が少しだから外の景色見られると思ったんだね。ママもそう思う。今なら大丈夫だね。足が人にあたることもない。ただ、次の駅は大きな駅だから、着いたらすごく沢山の人が乗ってくると思う。それまで見ていようか」というように一緒に行動を考えました。
すると子どもでも次の行動が予測できるのか「次の駅着いたからもう終わり?」と確認してくれるようになりました。続けていると「今、人が少ないからお外見てもいい?」と状況を自分で確認してから、こちらに尋ねるようになりました。言葉も行動も少しずつですが変わっていきましたよ。
子どもの靴、どうしていますか
電車の座席に子どもを立膝させることになったとき、皆様は子どもの靴をどうされていますか? 電車に乗るときのルールに「〇〇するときは靴を脱ぎなさい」という項目はありません。だから靴は履いたままでしょうか。一駅だけだったとき、人がいないとき、足の裏が誰かに触れることはないからいいだろう、と思われますか?そう感じた時は、ぜひマナーってなんだろう・・ということを思い出してみてください。マナーの基本は「思いやりの心を行動で表す」ことです。
子どもでも、大人でも外に出るときに履く靴は土足です。人は靴を履いて様々な人が行き交う公共の場を歩きます。お手洗いにも行くし、フードコートで食べこぼしを踏んだかもしれない、雨の日には濡れているかもしれない、公園で遊んだ時の砂が残っているかもしれない。その可能性がある靴を底の部分はもちろん、甲の部分であっても、人が座る座席に触れることは次に利用する方に対して思いやりをもった行動でしょうか。
このことも、子どもに命令するのではなく、是非一緒にどうしたらいいか考えられるといいですね。「もしも~だったら」を沢山子どもと一緒に考えてみるのです。“もしも次この席に大切なお友達の〇〇ちゃんが座ることになったら”“もしも前に立った人の大事なお洋服に靴の裏が当たってしまったら”・・・。“もしも”のことを一緒に考えることは、子どもの想像力や思いやりの心、危険を予測する力に繋がります。そして同時に自分が座る席が汚れていたらどういう気持ちかな? 綺麗な椅子に座れたら嬉しいよね。と導いてあげましょう。
一番の見本は周りの大人
子どもへの伝え方も大切ですが、一番効果があるのは大人が子どもの見本となる座席の座り方を普段から行うことですよね。子どもは目にする大人の振る舞いをしっかりと見ています。座席にみんなが座れるよう詰める、荷物はひざの上もしくは網棚に置く、通路で歩く人が困らないよう足を前に出さないなど…大人の行動を見て子どもが自然に学べる環境にしてあげたいものです。
そしてアンケートでは“嬉しいと感じる行為”についても記載がありました。「お年寄りや妊婦さんへ座席を譲る姿を見た」「一緒に座れるよう動いてくれる人がいた」などの行為はどんどん増えるといいなと思います。思いやりの心が溢れる楽しい電車の時間となりますように。
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文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子