今、子ども新聞がアツい!「デジタルよりも紙の新聞が読まれるワケ」って?発行部数を伸ばし続け、20万部を誇る読売KODOMO新聞編集者に聞いた

子どもにもわかりやすく解説したニュース記事や、生活や学習に役立つ記事が満載の「子ども新聞」。デジタル情報媒体が発達した昨今ですが、大手新聞社が発行する子ども新聞は、子どもだけでなく親からも根強い人気があり、「成績が上がる」「中学受験にも役に立つ」といった声も聞かれます。今回は、そんな子ども新聞のなかでも発行部数20万部を誇る人気ナンバーワンの「読売KODOMO新聞」について、その人気の秘密に迫ります!

「読売KODOMO新聞」は、読売新聞社が発行する週刊の小学生向け新聞。20ページのタブロイド版(一般紙の約半分の大きさ)で子どもの手でも広げて読みやすく、写真や図、イラストなどをたくさん使ったカラフルな紙面が特長です。

 新聞の一面には、その時の大きな出来事や関心事を扱った「時事ニュース」や、記者が注目したテーマで取材した「話題の記事」が大きく紹介されていて、読者の目を引きます。ほかのページにも社会やスポーツニュースのほか、時事ワード、本やマンガの紹介、流行情報、学習マンガ……などワクワクする記事が満載です。

なぜ今、紙の「子ども新聞」が注目されるの?

読売KODOMO新聞の石川剛編集長
読売KODOMO新聞の石川剛編集長

現在はパソコンやスマホなどのデジタル媒体で、簡単にニュース記事を読める時代。そんななか、なぜ紙媒体の子ども新聞が注目されるのでしょうか?

「親は子どもにはまだデジタルデバイスを与えたくないと考えたり、与えてもインターネット制限を設けたりするケースが多いです。子どもに社会のニュースを知ってほしくても、子どもにもわかりやすい情報をネットから安心して得るのはかえって難しいのかもしれません。その点、紙媒体である読売KODOMO新聞は漢字にふりがなも振られており、安心して読ませられるということはあると思いますね」と話すのは、石川剛編集長。

紙の新聞は子どもの興味関心の幅を広げてくれる

「今は多くの子どもたちが好きな動画をネットで見るようになりましたが、それを繰り返すと、画面には次から次へと興味のあるテーマの動画ばかりが提案されるようになります。それがデジタルの良さでもあるのですが、反面、好きなものだけを見るので、子どもたちの興味は広がりにくい。紙媒体である子ども新聞は、ページを開けば政治や経済、国内外のニュースだけでなく、スポーツや芸術、流行や文化など、さまざまな話題が目に飛び込んできます。子どもにいろんなテーマのニュースに触れさせたい、興味関心の幅を広げてほしいと考える親が紙媒体を選んでくれているのではないかと思います」と続けます。

本紙社会部の記者がニュース記事を作っている

社会部の記者で読売KODOMO新聞も担当の染木彩さん
社会部の記者で読売KODOMO新聞も担当の染木彩さん。手に持っているのは染木さんが企画・執筆した記事「ハーブのパワー」。

子ども新聞のなかでも、とくに読売KODOMO新聞は小学生にわかりやすい解説や、「何だろうこれ?」と引き込まれる記事が満載です。制作しているのは石川編集長と8人の記者。全員が読売新聞本紙(大人が読む一般紙)社会部の記者で、日々ニュースの最前線で取材し記事を書きながら、KODOMO新聞の原稿も書いていると言います。記者の一人で2人の子どものお母さんでもある染木彩さんに、KODOMO新聞の制作で工夫していることについて聞いてみました。

「一面の記事はとっても重要です。例えば社会的なニュースでインパクトのある写真や、スポーツ選手の躍動感あふれる写真を大きくドーンと載せることもあれば、時事ニュースではないけど記者が見つけたおもしろいテーマの記事はデザインを工夫するなど、どのように伝えると子どもが興味を持ってくれるか一生懸命考えて作っています。子どもが読むので文字だけではなく写真や図、イラストを多く使う、漢字だらけにならないように文章をわかりやすく書く、ということも意識しています。いつも‶私が小学4年生だったらわかるかな?〟と自分に問いかけながら作っているんですよ」

染木さんが書いた一面の記事「ハーブのパワー」。時事ニュースではありませんが、染木さんが関心を持って取材していたテーマで「おもしろいからぜひ子どもたちにも知ってほしい!」と提案し、編集長と話し合って一面の記事に決めたといいます。ハーブの効用を説明するのにロールプレイングゲーム風のキャラクターのイラストを使うなど、楽しくてわかりやすい、工夫された紙面になっています。

子どもの目線や疑問を常に意識

 同じニュースでも、大人と子どもでは、知りたいことが違います。編集部には毎週子どもたちからの質問ハガキが100通近く届くこともあるとか。記者はそのハガキを11枚読んで、「子どもはこういうことを考えるんだ」「こんなことを不思議に思うんだ」と、子ども目線の考えや疑問にていねいに向き合う感覚を忘れないようにしていると言います。

「子どもの立場で考えると、同じニュースでも取材先が本紙とKODOMO新聞で違うことがよくあります。本紙では‶この先どうなるの?〟と、最先端の研究をしている人に取材することが多いけど、KODOMO新聞は‶なぜこんなことが起きるの?〟というような、そもそも論を解決してくれる人を探すことが多いですね」と石川編集長。

国立科学博物館の記事。
国立科学博物館の記事。クラウドファンディングのニュースとともに「そもそも博物館はどのように運営されているの?」が詳しく紹介されている。

例えば、国立科学博物館への寄付金クラウドファンディングの話題では、一般紙なら目的や目標金額、目標達成できるかといった予測が取り上げられがちですが、子ども新聞の記事は「そもそも博物館ってどうやって運営しているの?」「博物館に寄付ってどうやってするの?」といった大前提の話や、「他の国はこうやって寄付を集めているよ」といった話題の広げ方をするのです。

「だから大人が読んでもためになる、ニュースがよくわかるといった声も聞くんですよ」と石川編集長は話します。

読者にもっと考えてほしいと呼びかける「調べよう」コーナー
読者にもっと考えてほしいと呼びかける「調べよう」コーナー

写真右下の「調べよう」コーナーは、読者にこの記事についてもっと考えてほしい、という工夫のひとつ。「新聞を読んでいるだけだと、どうしても受動的になってしまうので、自分で調べて考えて、周りの人と話し合うきっかけになるといいなと思います」と石川編集長の思いが込められています。

エンタメ性の高い記事は、小学館も制作を担当

実は読売KODOMO新聞は、このHugKumサイトを運営している小学館も協力して、一部の記事の制作を請け負っています。一つの話題を掘り下げて紹介する「なるほど!調査隊」やファッションページでは、図鑑や女性ファッション誌のようにわかりやすくて楽しい写真が並んでいますし、「読売KODOMOツアーズ」では、世界の民族の暮らしがイラストで細部まで詳しく描かれています。『名探偵コナン』や『妖しとりもの手帖』といった人気コミックの学習マンガは2ページ分とボリュームもあり、エンターテインメント要素たっぷりのページに、子どもたちが喜ぶ様子が目に浮かびます。

人気のファッションコーナー
人気のファッションコーナー。実際に以前女性誌の編集をしていた小学館のスタッフが作っているとか。

新聞内には、トレンドを取り入れたファッションページもあります。女の子のページがとても人気なので、最近は男の子のファッションページも登場。今の流行を取り入れた、「カッコいい」「かわいい」ファッションが一目でわかります。

報道と雑誌コンテンツの両方の要素を兼ね備えている読売KODOMO新聞。「今」を生きる子どもたちの「知りたい」を丁寧に作り込んでいます。

雑誌と新聞という「異文化」を融合させた読売KODOMO新聞

読売KODOMO新聞のなかで、小学館制作の紙面を担当する明石修一さん。
読売KODOMO新聞で、小学館制作部分の紙面を担当する明石修一さん

小学館でつくるページの制作を担当している明石修一さんは、「これまで子ども向きの学習雑誌を‶おもしろくてためになる〟を念頭に置いて作ってきました。そのノウハウを活かして、媒体としての文化が違う新聞と、いかに子どもが夢中になるページを作っていけるか。毎号がとてもチャレンジですが、新聞と雑誌という垣根を越えて子どもたちに伝えることはまだまだたくさんあると実感しています」と話します。

読者から届いたハガキを一挙に紹介するページも人気。子どもたちの意見に記者が共感したり意見を言ったりするコーナーは子どもと編集部員たちのリアルなやりとりが目に浮かびます。記者の顔のイラストも楽しく、編集部をより身近に感じさせています。

「こどもボイス」は記者と読者の距離がぐっと近くなるコーナー。
「こどもボイス」は記者と読者の距離がぐっと近くなるコーナー。「子どもたちのお便りを読むのがとても楽しみ」と染木さん

制作する人たちが楽しんでいる、おもしろがっていることが伝わってくる読売KODOMO新聞。石川編集長に、ズバリ発行部数ナンバーワンの理由を聞いてみました。

「週刊で値段も安いので、試しに読んでみようというきっかけになりやすいのでは? 読んでみると‶このニュースって、こういうことだったんだ!〟と、そもそもの話やニュースの背景がわかることや、写真やイラストなどいろんな素材が入ったエンターテインメント要素の多い、楽しい記事になっているところが子どもたちに喜ばれているのかなと感じますね」

お話を伺ったのは・・・

【左】読売KODOMO新聞編集室 記者 染木彩さん 【中央】読売KODOMO新聞編集室 編集長 石川剛さん 【右】小学館 第一児童学習局『読売KODOMO新聞』編集長記者 明石修一さん

「読売KODOMO新聞」は20113月創刊、毎週木曜日発売の週刊子ども新聞で現在の発行部数は20万部。購読料は1カ月550円。大人向けの新聞を制作する政治や経済、スポーツ、文化などの各部署で作った原稿を子ども向けにリライトするのではなく、現役社会部記者が子ども目線の疑問をもってゼロから取材し、子どもにわかりやすい記事作りをしているのが特長。大手進学塾と提携した学習ページや中学受験に役立つ内容も毎号掲載。

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取材・文/船木麻里 撮影/五十嵐美弥

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