いま、話題のスーパーアーティスト、Laraちゃんを知っていますか?
ベビーブック4月号から、親向け別冊表紙のイラストを担当している12歳の女の子です。バッグブランド『サマンサタバサ』の最年少デザイナーに就任したことで一躍有名になり、それで名前を知った方も多いのでは? 現在は、フレンチスクールに通いながら、イラストレーターをはじめ、デザイナーとしても活躍中なんです!
そう聞くと、どうやって育てたらこんな子になるの? と思う方も多いと思います。ベビーブック4月号の別冊付録で、Laraちゃんママの育児インタビューを紹介していますが、今回は超特別版! そこでは語りきれなかった内容をはじめ、両親ともに日本人で日本生まれ、日本育ちにもかかわらず、英語・フランス語が堪能なトリリンガルに育てた語学育児についても、た~っぷりとお届けします。
写真右側がLaraちゃんが実際に担当した『ベビーブック 別冊付録』4月号の表紙。やさしい色使いが特徴です。
目次
Laraちゃんママは絵を
うまいと思っていなかった⁉
―Laraちゃんはどんな幼少期でしたか?
Laraちゃんママ(以下Lママ) 本が大好きで空想好き。私が仕事で忙しかったこともあり、色々な人や場所に預けていたのですが、人なつこく人見知りしない子で、周りを巻き込んで楽しんでいるような子でしたね。この子はどこでもたくましく生きていける子だな、と感じていました。
―ではLaraちゃんの絵についてはどうでしたか?
Lママ 小さな子はみんな絵が好きですよね。彼女も同じで、よく絵を描いているなと。特にスゴイと感じたことはありませんでした。
―それがプロデューサーのマキ・コニクソンさんの目に留まったんですよね。
Lママ 「この子は才能ある」と言っていただいたのですが、私は上手いとも思っていなかったので「そんなことありません!」とソク全否定(笑)。でも、子供の感性や夢の世界は、大人になると失われてしまう。「Laraは今だよ!」とマキさんに言っていただき、思い切って託すことにしたんです。
―では、絵を習ったことはないんですか?
Lママ 絵だけでなく塾や習いごとはこれまで何もしていません。12歳違いの長女を育てた経験で“習い事=習うこと”となり、自発的な気持ちが消えてしまう気がして。そうすると、受け身になり、本来の好きという気持ちが消えてしまうことがある、と感じることが多くあったんです…。
‟好きこそものの上手なれ“の言葉どおり、人生を通して好きであり続けられることをたくさん見つけてほしいなぁと。幼少期に良かれと思い、親が焦ってはいけないというのが私の経験論です。
色んな人に会って、色んな話をするのが
Laraちゃんにとっての習いごと
―習いごと合戦の昨今、小さい頃から始めなきゃと焦る必要はないんですね。逆に力を入れていることはありますか?
Lママ 私が旅好きなので、Laraと一緒に世界中の色んな場所にでかけています。彼女は好奇心いっぱいでおしゃべりなので、飛行機で隣の席に座った人、空港からのタクシーの運転手さん、宿のフロントの人、ふらっと入ったお店の店員さん…という具合に、行く先々で、様々な人と友達になって話をします。私が手を貸さなくても、自由に色んなことを学んでくる。それが、彼女にとってのいちばんの習いごとかもしれませんね。
―その刺激が絵の感性につながっているのかもしれませんね。そして、周りがLaraちゃん自身を育ててくれている部分もあるんでしょうね。
Lママ そうなんです。私は、私の母が“子供は社会のもの、みんなで育てるもの”というのが口ぐせだったので、私自身も子育ては子供が成長するお手伝いをさせていただき、いずれは社会にお返しするものという感覚を持っているんです。母が自分の人生を楽しんで生きたように、私も私の人生を。そして、子供にも子供の人生を、楽しんで生きられるように、好きなことをいっぱいみつけてほしいんです。
語学が自由なら世界中の人と友達になれる!
―Laraちゃんは日本語以外にも英語とフランス語が話せるんですよね。いま、語学教育に興味を持っているママやパパも多いと思うので、語学教育についても聞かせてください。
Lママ 英語に関しては生まれたときから『ペッパピッグ』というイギリスの教育番組的なアニメのDVDを毎日流していました。ひとつひとつの物語が短いし、内容も大人でも楽しめるのでおススメですよ。
―0歳から英語とはスゴイですね!
Lママ 単にDVDをかけていただけですけど、耳に入ることが大切かなと(笑)。 本人は意味も分からなかったと思うのですが、ごはんを食べたら、ヤミーと言うんだなとか、場面と言葉をセットで覚えられるのが良かったと思います。海外では言語として習得するなら7歳までという説があり、小さいうちから2つめの言語を習う国が多いそうです。勉強としての英語ならもっと先でもいいと思うのですが、言語として手に入れてほしいな、という気持ちが強かったので、早めに開始しました。
―その後、3歳からブリティッシュスクールに通ったんですよね?
Lママ Laraには12歳年上の姉がいるのですが、彼女が通っていて教育方針がとてもよかったので。また、私自身が海外に短期留学したときに、現地の学生たちが自由に楽しそうに学んでいるのが印象的で。それもブリティッシュスクールを選んだ理由かもしれません。
―実際に通ってみてどうでしたか?
Lママ もともとLaraは人見知りをしない性格なので、すぐに溶け込んでいました。言葉も割とすんなりと出た気がします。インターでは宗教もバックグラウンドも国籍もバラバラなので、お互いを認め合うしかない。人と比べることがないのもLaraには合っていた気がします。
個性を尊重する環境がLaraちゃんの才能を伸ばしてくれた
―個性が伸びやすい環境なんでしょうね。その後、都内にあるフレンチスクールに移ったと聞きました。
Lママ Laraの姉である長女がこの学校いいよ、とアドバイスをくれたのがきっかけです。長女はフランス語が好きで、学校で勉強もしたのですが、日常会話くらいしか習得できなかったんです。それで、妹にはもうひとつ言語をプレゼントしてもいいかも、と思ったようです。
―Laraちゃんはその時フランス語はできたんですか?
Lママ いえ、全然できませんでしたし、私もまったく話せません。そんな状況ですが入れますか? と校長先生に聞いたら、まったく問題ないとの答えが。フランスは、すごく子供の教育に力を入れている国なんです。‟学校が子供を育てる“という意識が高いせいか「我々のほうですべて教育しますので、ご心配なく」という感じで、両親はノータッチ。教育への自信を感じましたね。
―それで思い切って学校を移ったんですね?
Lママ 学校によってどんな先生がいるのか、どんなことを学べるのか、私自身も興味があるんです。親自身が楽しいことも大切ですよね(笑)。Laraが9歳のときに移りましたが、個人を尊重してくれる分、すべて自己責任という厳しい面も。その分、自主性が高くなった気がします。
―親も楽しめる学校選びというのも新鮮ですね。
Lママ 育児全般ですが、お母さんが楽しめることって大切だと思います。この子のために、ああしなきゃ、こうしなきゃと自分を縛りつけたら、苦しくなってしまいますから。現在は教育という部分では、学校を信頼してお任せしているので、私が口を出すことはまったくありません。日本の学校教育もいい部分がたくさんあるので、これはあくまで我が家の場合という感じですが…。
―そうですね、どの学校を選んでも不正解というのはないと思います。
Lママ Laraは語学という部分はクリアできているので、どこに行っても友達を作れるのはいいですよね。あと、人は人、自分は自分という環境のせいか、他人と自分を比べたり、人を羨ましがったりしないのもよかったと思います。
―そんな環境がLaraちゃんの絵の才能にも影響しているんだと感じました。最後に、育児で気をつけていることはありますか?
Lママ この子が18歳になったとき、今からは自分の好きなことを学ぶんだと、学ぶことを楽しめる人になっていることが、私の子どもの成長を見守るゴールだと考えています。
なので、子供の頃のような好奇心をいっぱい持ち続けられるように、親があえてあれこれ手を出さないようにしています。いい意味でほったらかす、というか(笑)。自由に好きなことをしている時間が、今のLaraを作ったのではないでしょうか?
語学という面では早くから教育を取り入れつつ、絵など子供が好きなことはおおらかに見守っているLaraちゃんママ。人生のコアとなる大切な部分だけは親が道筋を立て、あとは本人の自由を尊重する…。子供のためにとあれもこれも、とつい欲張ってしまいがちな時代に、とても参考になるお話でした!
【Profile】
Laraちゃん
英語・フランス語が堪能で、現在はフレンチスクールに在学しながら、イラストを手がける。趣味のイラストが話題になり、10歳で『リトル ララ ランド』を出版。
Laraちゃんママ(太田真理子さん)
洗練されたドレスが揃うと人気の、ウェディングドレスブランド『フォーシス アンド カンパニー』の創業者。旅が好きで仕事やプライベートで、世界中を飛び回る日々。
撮影(2人の顔写真)/阿萬泰明(PACE MONKEY) イラスト/Lara 構成/久永さつき ベビーブック4月号別冊付録より加筆