「初地蔵」とは? 開催日とおすすめの過ごし方、有名なお寺をピックアップ

初地蔵について、詳しくは知らないという人も多いでしょう。初地蔵の意味を知ると、全国各地で祭られているお地蔵様を、より身近な存在として感じられるかもしれません。初地蔵の開催日や過ごし方、有名な寺を紹介します。
<上画像:とげぬき地蔵尊高岩寺(東京都豊島区)のお地蔵さま>

初地蔵とはどんな日?

初地蔵とは、どのような日を指すのでしょうか。お地蔵様の特徴もあわせて、初地蔵の意味や地蔵盆との違いなどを見ていきましょう。

お地蔵様と縁を結ぶ日

お地蔵様は、仏教における仏様の一人です。

神仏と縁を結ぶ日を縁日と呼び、お地蔵様の縁日は毎月24日と決まっています。初地蔵の日は、その年最初のお地蔵様の縁日である、1月24日です。毎月の縁日よりも盛大に催され、お地蔵様を祭る各寺では大祭を営みます。

少しでも早くお地蔵様と縁を結ぶために、23日から祈願のお参りをする人も少なくありません。また、人が亡くなって四十九日を終え、最初の大祭を初地蔵と呼ぶ場合もあります。

地域や子どもの守り神

お地蔵様とは、地蔵菩薩(ぼさつ)のことです。敬う意味を込めて、地蔵尊とも呼ばれています。日本では、平安時代ごろから信仰されるようになりました。

お地蔵様は、地域の人々を導く役割を持ち、子どもを守る神としても有名です。親より先に亡くなり、賽の河原(さいのかわら)に行った小さな子どもたちを、地獄の鬼から救ってくれる存在ともされています。

街角にたたずむお地蔵様は、道祖神(どうそじん)とのかかわりが深いとされ、人々の暮らしになじみ深い仏像です。右手に錫杖、左手に宝珠を持っており、柔和な顔立ちで描かれることが少なくありません。

自らが悟りを開こうとするだけでなく、人々を助けて苦しみを取り除こうとする、慈愛に満ちた仏像として知られています。

「地蔵盆」との違い

お地蔵様の縁日とかかわりのある行事には、初地蔵のほかに「地蔵盆(じぞうぼん)」があります。地蔵盆は、子どもが主役の行事です。お盆の時期や、8月24日ごろを中心に開催されます。

お地蔵様が子どもの守り神であることにちなみ、主に関西地方で子どもの成長や幸福を祈る信仰が広まり、定着したとされています。

地蔵盆の詳しい内容は、地域によって異なります。お菓子の配布やゲーム大会など、参加した子どもが楽しめるイベントを企画するところも少なくありません。

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初地蔵の過ごし方

初地蔵の日は、どのように過ごすのがおすすめなのでしょうか。基本的な過ごし方をチェックしましょう。

地蔵尊をお参りし縁日を楽しむ

初地蔵では、お地蔵様に感謝を込めてお参りすることで、普段よりも多くの御利益があるとされます。お地蔵様を本尊にしている寺では、特別な法要や、普段は見られない本尊の御開帳が行われる場合もあるので、チェックしてみましょう。

寺の門前に露店が並んだり、地域のイベントが開催されたりすることもあります。規模や内容は場所によって異なりますが、お参りのついでに参加してみるのもよいでしょう。

巣鴨地蔵通り商店街(東京都豊島区)の縁日

初地蔵の縁日がある主な寺

お地蔵様は全国各地に存在し、宗派を問わず信仰されています。初地蔵の縁日があることで知られる、主な寺を紹介します。

東京都「とげぬき地蔵尊高岩寺」

「とげぬき地蔵尊高岩寺(こうがんじ)」は、東京都豊島区の巣鴨にあり、地域の人々に親しまれている寺です。本尊の「延命地蔵菩薩(えんめいじぞうぼさつ)」は、高岩寺の檀徒でもある又四郎という人が、妻の病気を治すために祈っていたとき、夢の中に現れた地蔵菩薩が授けたものだといわれています。

ただし本尊は秘仏とされ、一般公開はされていません。高岩寺は、水をかけて洗ったところがよくなるという「洗い観音」も有名です。こちらは誰もが参拝できるように設置され、御利益を得ようと多くの観光客が訪れます。

とげぬき地蔵尊高岩寺(東京都豊島区)の洗い観音

大祭が行われるのは、1月24日・5月24日・9月24日です。中でも初地蔵は盛大で、参道には多くの露店が並びます。

とげぬき地蔵尊高岩寺 | 曹洞宗萬頂山高岩寺公式サイト

神奈川県「板橋地蔵堂」

神奈川県の小田原市にある地蔵堂です。弘法大師によって作り出された「延命子育地蔵大菩薩(えんめいこそだてじぞうだいぼさつ)」を、本尊として祭っています。

本尊は秘仏のため、姿を見られるのは大祭期間中だけです。8尺(約2.4m)にもなる大坐像の懐に安置され、腹の中にいるように見えることから胎内仏とも呼ばれます。

大祭は年に2回あり、夏は8月23日・24日、冬は1月23日・24日です。大祭では露店が出て、多くの参拝者で賑わいます。

小田原板橋地蔵尊 | 弘法大師の御作「延命子育地蔵大菩薩」を本尊とする地蔵堂

和歌山県「子安地蔵寺」

和歌山県の「子安地蔵寺(こやすじぞうじ)」は、東大寺の建立に尽力した奈良時代の名僧「行基(ぎょうき)」が開いた寺です。本尊の地蔵菩薩も行基が彫ったもので、安産祈願のために安置されたことから、「子安地蔵」と呼ばれます。

子安地蔵寺和歌山県橋本市)Photo by Kansai explorer, Wikimedia Commons

紀州徳川家が代々安産を祈願してきたことで知られ、現在も全国各地から安産を願う妊婦たちが訪れるそうです。毎年1月24日の初地蔵法会では、本尊の御開帳や餅まきが行われます。

子安地蔵寺 公式ウェブサイト

初地蔵でお地蔵様の御利益を得よう

初地蔵はその年初めて、お地蔵様と縁を結ぶ日です。お地蔵様は子どもを導いてくれる存在としても知られ、夏には子どもを中心とした地蔵盆を開催する地域もあります。

初地蔵は秘仏の公開や特別法要など、通常の縁日よりも盛大に催されるのが一般的です。お地蔵様の御利益を期待しつつ、家族で参加してみるとよいでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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