「初大師」っていつ? そもそも大師様はひとりではない! 有名な大師や訪れたい寺を紹介

「初大師」と聞いて、どのような行事なのかをイメージできない人もいるでしょう。参拝するなら、開催日やその由来などを知り、充実した時間を過ごせるようにしたいものです。初大師の内容や有名な大師、寺院を紹介します。
<上画像:金剛寺・子安大弘法大師像(愛知県蒲郡市)>

初大師とは何をする日?

初大師(はつだいし)とは、何をするための日なのでしょうか。「大師」の意味もあわせてチェックしましょう。

その年初めての大師の縁日

初大師(はつだいし)は、その年初めての「大師の縁日」です。縁日とは、神仏が現れた日や祭られた日など、この世での縁がある日を指します。1カ月を30日として各神仏の縁日が決まっており、参拝すると、普段よりも多くの御利益を得られるとされています。

大師は高僧に対する尊称で、偉大な師という意味です。一般的には弘法大師(こうぼうだいし)を指しますが、仏教界には他にもさまざまな大師がいます。このため、どの大師を本尊としているかによって、初大師の日は異なります。

有名な大師

仏教の歴史は長く、多くの大師が存在します。日本でよく名前を聞く機会がある、有名な大師について理解を深めましょう。

「弘法大師」空海

空海は平安時代初期の僧で、真言宗の開祖です。青年時代は学問を追究していましたが、困っている人を助けるために僧の道へ進みます。遣唐使の一人として唐に渡り、密教の勉強に励んだ後、帰国して真言密教を布教しました。

弘法大師像 (松山市太山寺)wikimedia commonsより(PD)

835(承和2)年、3月21日に62歳で亡くなったので、毎月21日が縁日となり、初大師の日は1月21日とされています。

弘法大師とは死後に決められた呼び名のことで、死後に贈られる特別な名前を「諡号(しごう)」といいます。弘法大師の諡号は、空海の生前の行いをたたえて醍醐天皇(だいごてんのう)から贈られたものです。

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「慈恵大師」良源

良源は、第18代天台座主(てんだいざす)として、天台宗の発展に貢献した平安時代の僧です。天台座主とは、天台宗の総本山・延暦寺の住職を指します。慈恵大師(じえだいし)は諡号で、一条天皇から贈られました。

慈恵大師坐像(1286年)蓮妙作・重要文化財[滋賀県愛荘町金剛輪寺(東京国立博物館寄託)] Photo by Myshkin. Wikimedia Commons

良源は角大師(つのだいし)・豆大師とも呼ばれ、おみくじを考案した人物としても有名です。985(永観3)年1月3日に亡くなったことから、「元三大師(がんざんだいし)」とも呼ばれています。慈恵大師の縁日も亡くなった日にちなんでおり、初大師は1月3日です。

だるまのモデル「達磨大師」

達磨大師(だるまだいし)は、縁起物として知られる「だるま」のモデルになった人物です。約1,600年前に南インドで王子として生まれたと伝わり、出家後の名前を菩提達磨(ぼだいだるま)といいます。禅宗の開祖として知られ、坐禅(ざぜん)の教えを広めた人物としても有名です。

縁起だるまの発祥は、群馬県高崎市にある「少林山達磨寺(しょうりんざんだるまじ)」とされています。1783(天明3)年に浅間山が噴火した際、住職が困窮に苦しむ民衆のために「一筆達磨坐禅像」を元にして、張り子のだるまを作ったのが始まりです。

現代では、初大師をはじめさまざまな縁日で、だるま市が開かれることも多いようです。

だるま寺で知られる法輪寺 (京都市上京区)。達磨堂には全国から奉納されたさまざまな達磨が並ぶ。

初大師に訪れたい各地の寺

初大師では参道や境内に屋台が出て、多くの人でにぎわうことも珍しくありません。各地にある、初大師が有名な寺を紹介します。

東京都「西新井大師 總持寺」

「總持寺(そうじじ)」は、東京都足立区西新井にある、真言宗豊山派の寺です。弘法大師に縁が深い寺として知られています。

西新井大師(東京都足立区)

昔、弘法大師が関東各地を巡っていた際に、流行病に悩む人々を救うために「十一面観音像」と自身の像を彫って、枯れた井戸の近くに安置しました。すると井戸から澄んだ水が湧き、流行病が収まったそうです。

お堂の西側に井戸があったので、「西新井」という地名になったといわれています。1月21日の初大師には、境内にだるまなどの縁起物を売る露店が立ち並び、多くの参拝者が訪れます。

西新井大師

神奈川県「川崎大師 平間寺」

「平間寺(へいけんじ)」は、厄よけでよく知られている寺です。成田山新勝寺・高尾山薬王院とともに、関東にある真言宗智山派の本山の一つに数えられます。

川崎大師(神奈川県川崎市大師町)

平間寺の本尊は、海中から引き揚げられた「厄除弘法大師尊像」です。平安時代の末期、無実の罪で故郷を追われた平間兼乗(ひらまかねのり)という人が、夢のお告げに従って海中から尊像を引き揚げます。兼乗は像を大切に祭り、朝晩欠かさず供養しました。

やがて高野山の高僧・尊賢(そんけん)が、諸国を巡る途中で兼乗からこの話を聞き、いたく感動します。その後尊賢と兼乗が協力し、平間寺(へいけんじ)を建立したとされます。なお兼乗は大師の御利益により、無実の罪が晴れて故郷に帰れたそうです。

平間寺の初大師は1月20日・21日に開催され、全国から多くの人が参拝します。初大師に祈祷された護摩札(ごまふだ)は、「初大師修行」の文字が入った特別なものです。

川崎大師

埼玉県「川越大師 喜多院」

「喜多院(きたいん)」は、埼玉県川越市にあります。創建は古く、奈良時代ともいわれています。1205(元久2)年に、戦乱による火災で焼失したものの再興し、慈恵大師を祭るようになりました。

川越大師(埼玉県川越市小仙波町)

1月3日の初大師で開かれるだるま市は、多くの人でにぎわうことで有名です。また、境内には江戸幕府3代将軍・徳川家光の命により、江戸城紅葉山から移築された建物がいくつかあり、文化財として保存されています。

川越大師 喜多院

初大師に参拝して厄よけをしよう

初大師とは、弘法大師や慈恵大師など偉大な高僧たちの、その年最初の縁日のことです。厄よけなど普段よりも多くの御利益を得られるとされ、大師を祭る寺には多くの人が参拝します。

当日は境内や参道に縁起物や飲食物を売る露店が出て、にぎわうことも珍しくありません。気になる寺があれば、家族で初大師に参拝し、縁日の雰囲気を感じてみるとよいでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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