「梅花祭」は菅原道真の命日? 代表的な梅花祭と見どころを紹介【HugKumお祭りガイド】

梅花祭(ばいかさい)は、日本全国の天満宮・天神社で行われる梅の祭礼です。菅原道真に関係するといわれていますが、どのような由来があるのでしょうか。梅花祭の目的や日程とあわせて、代表的な天満宮での開催情報を紹介します。
<上画像:太宰府天満宮の梅>

梅花祭とはどんな行事?

梅花祭は文字どおり、梅の花にちなんだ祭礼です。春の訪れを感じさせる、梅花祭の内容や開催日などを紹介します。

天満宮・天神社で行われる梅にちなんだ祭礼

梅花祭は、菅原道真(すがわらのみちざね)を祭る神社、天満宮や天神社で行われる祭礼です。代表的なものとしては、京都の北野天満宮や福岡の太宰府天満宮、大阪の道明寺天満宮の梅花祭が挙げられます。

祭礼は梅が咲く2月に行われ、神職や巫女が梅の花や特別な神撰(しんせん・神様に捧げる食事)を、祭神の菅原道真に捧げます。

天満宮や天神社にとって、梅花祭は重要な祭礼の一つです。祭神に捧げる儀式が終わった後で、特別な野点(のだて)や餅まきを行うところもあります。

開催日は2月25日

梅花祭の開催日は、例年2月25日と決まっています。2月25日は、菅原道真が亡くなったとされる日です。祭礼では道真が好んだ梅の花を捧げ、その魂を鎮めます。

生涯にわたって梅を愛した道真は、京都から太宰府へと移る際、有名な次の句を詠みました。

東風吹かば  匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ

(春風が吹いたら、その匂いを太宰府まで送っておくれ、梅の花よ。私という主人がいないからといって、春を忘れてはならないぞ)

出典:飛梅のご案内|太宰府天満宮

まるで道真の句を聞いたかのように、梅の木は京都から太宰府まで飛んできたそうです。このエピソードは梅と道真の深い関わりを示す「飛梅(とびうめ)伝説」として、現代まで長く語り継がれています。

目的は菅原道真の魂を鎮めること

月命日や梅花祭で菅原道真の魂を鎮める理由は、彼が無念の死を遂げたと考えられているからです。学者の家に生まれた道真は幼少期より優秀で、学者としてだけでなく政治家としても、表舞台で活躍しました。

しかし道真は、出世をねたむライバルの謀略により、無実の罪を着せられてしまいます。華やかな都から遠く離れた太宰府に左遷(させん)され、失意のうちに亡くなりました。

道真の死後、都ではさまざまな災いが起こったようです。怨念を恐れた人々は彼を神格化し、その魂を鎮めるために神社を建てたといわれています。

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北野天満宮の梅花祭

梅花祭の中でも、とりわけ有名なのが北野天満宮の祭礼です。北野天満宮の情報と、人気の行事を詳しく見ていきましょう。

北野天満宮の基本情報

北野天満宮は、京都市上京(かみぎょう)区にあります。社格は高く、全国に約1万2,000社ある天満宮・天神社の総本社としてあがめられています。創建は947(天暦元)年にさかのぼり、代々の皇室や豊臣秀吉とも縁の深い天満宮です。

北野天満宮本殿と梅

北野天満宮では、梅花祭以外にも平安時代をしのばせる祭礼を実施しており、京都を代表する神社の一つといっても過言ではありません。

梅花祭の季節には、敷地内にある梅園「花の庭」に梅が咲きます。梅園には50種類・約1,500本の梅が植えられており、優雅な観梅(かんばい)が可能です。境内には、樹齢300年以上といわれる神木「紅和魂梅(べにわこんばい)」もあります。

出典:北野天満宮

華やかな「梅花祭野点大茶湯」が人気

北野天満宮の梅花祭当日は、祭神に白梅・紅梅の小枝を挿した特別な神饌が捧げられる習わしです。この祭事は平安時代から行われており、約900年もの歴史があります。

梅花祭の見どころは、上七軒(かみしちけん)の芸舞妓たちが抹茶を振る舞う「梅花祭野点大茶湯(ばいかさいのだておおちゃのゆ)」です。

1587(天正15)年、豊臣秀吉は北野天満宮の境内で1,000人規模の大茶会を開きました。梅花祭の野点は、この大茶会にちなんで行われます。

2024年の野点は、2月25日(日)の午前10時から開催される予定です。ただし参加には「野点拝服券」が必要で、当日の飛び込み参加はできません。

出典:梅花祭【北野天満宮】|【京都市公式】京都観光Navi

太宰府天満宮の梅花祭

太宰府天満宮も、菅原道真と強いつながりを持つ天満宮の一つです。太宰府天満宮の梅花際について見ていきましょう。

太宰府天満宮の基本情報

福岡県太宰府市にある太宰府天満宮も、北野天満宮と並び、全国の天満宮・天神社の総本宮とされています。社殿が菅原道真の墓所の上にあることから「菅聖庿(かんせいびょう)」とも呼ばれます。

菅聖庿とは、菅原道真が眠る神聖な建物のことです。見どころも多く、社殿に至るまでには江戸時代初期の福岡藩主・黒田長政が寄進したとされる「太鼓橋」や、鎌倉時代末期に建てられたといわれる大鳥居などがあります。

太宰府天満宮の太鼓橋

出典:太宰府天満宮|全国天満宮総本宮

梅の花と伝統的な儀式を楽しめる

太宰府天満宮の梅花祭では、神饌・玉串の奉納や、巫女による舞の奉納が行われます。儀式や舞を捧げる神職や巫女は、冠に梅を飾ったり梅を手に持ったりして奉仕します。

花玉串として梅の木が捧げられるのも、梅花祭ならではの見どころです。梅と縁の深い太宰府天満宮の境内には、約200種類・約6,000本もの梅が植えられています。

本殿から向かって右側には神木の「飛梅」があり、梅の季節らしい華やかな風情を楽しめます。

太宰府天満宮と、伝説の「飛梅」

2024年も例年通り2月25日(日)の開催が予想されますが、詳細な情報は公開されていません。気になる人は、公式サイトをこまめに確認しましょう。

梅花祭で春の訪れを感じよう

梅花祭は、各地の天満宮や天神社で2月25日に行われる祭礼です。祭神である菅原道真が梅をこよなく愛したことから、梅の季節に実施されるようになりました。北野天満宮や太宰府天満宮が有名ですが、このほかにもさまざまな天満宮・天神社で梅に関する祭礼が行われます。

優れた学者だった道真は、学業の神様としても知られています。梅の季節には、親子で近くの天満宮や天神社に足を運び、学業成就を祈願するのもよい記念となるでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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